忘れた頃に夢に出てくる家がある
その家はいかにも夢に出てくる家らしく間取りが変わる
庭も広く日当たりも良く二階への階段は三か所にある
大きな家なのだ
二階の一つの部屋が何か起こりそうな部屋で日暮れ前 早々と窓を閉めてカーテンを引き 部屋のドアにまで鍵をかける
ならば昼間もその部屋に行かなければいいのに
夢の中で律儀に朝には窓を開けて部屋に風を入れている
何かのしきたりのように
そして必ず暗くなる前に窓を閉めていくのだ
その部屋から何者も出られないように鍵までかけて
夢の中で私は何を怖れているのか
部屋で寝ていると何故だか水音が聞こえてくる
よせばいいのに浴室を覗きに行く
脱衣室の奥に黒枠のガラス戸の向こうーそこが浴室だ
夜
暗く気味が悪い・・・
戸の向こうに何かが居る気配がする
それを確かめるのが ひどく怖ろしい
怖いのだ 怖い
なのに夢の中の私は それを見ようとしている
止したほうがいい・・・
そういう気持が働き目が覚める
見ないで良かった
けれど見たい気持ちもある
その恐ろしいものが何か既に知っているような気さえするのだ
そう それは あれは
再び半ば起きているような眠っているような そんな束の間の
声がした
私は 浴室の中に居る
入ってしまっている
そして私の目の前に居るものは
それは
ーそう お前だよー
と それは言った
ーいいコぶりっこのお前が抑えつけてきた念 それはこうして凝りかたまってしまったー
それはにやりと笑う
ーいい加減 押し込められているのは飽きたのさ
一つになろうかねー
それが口を開ける 大きく 大きく
私は呑みこまれる
私だったものは もう何処にも無い
私を呑みこんだそれは また誰かを待つようだ
夢にある家の中で
その家はいかにも夢に出てくる家らしく間取りが変わる
庭も広く日当たりも良く二階への階段は三か所にある
大きな家なのだ
二階の一つの部屋が何か起こりそうな部屋で日暮れ前 早々と窓を閉めてカーテンを引き 部屋のドアにまで鍵をかける
ならば昼間もその部屋に行かなければいいのに
夢の中で律儀に朝には窓を開けて部屋に風を入れている
何かのしきたりのように
そして必ず暗くなる前に窓を閉めていくのだ
その部屋から何者も出られないように鍵までかけて
夢の中で私は何を怖れているのか
部屋で寝ていると何故だか水音が聞こえてくる
よせばいいのに浴室を覗きに行く
脱衣室の奥に黒枠のガラス戸の向こうーそこが浴室だ
夜
暗く気味が悪い・・・
戸の向こうに何かが居る気配がする
それを確かめるのが ひどく怖ろしい
怖いのだ 怖い
なのに夢の中の私は それを見ようとしている
止したほうがいい・・・
そういう気持が働き目が覚める
見ないで良かった
けれど見たい気持ちもある
その恐ろしいものが何か既に知っているような気さえするのだ
そう それは あれは
再び半ば起きているような眠っているような そんな束の間の
声がした
私は 浴室の中に居る
入ってしまっている
そして私の目の前に居るものは
それは
ーそう お前だよー
と それは言った
ーいいコぶりっこのお前が抑えつけてきた念 それはこうして凝りかたまってしまったー
それはにやりと笑う
ーいい加減 押し込められているのは飽きたのさ
一つになろうかねー
それが口を開ける 大きく 大きく
私は呑みこまれる
私だったものは もう何処にも無い
私を呑みこんだそれは また誰かを待つようだ
夢にある家の中で