夫が浮気しての離婚 遠藤から旧姓の三上に戻った洋子 娘の香織との二人暮らしが始まる
別れた夫が慰謝料と養育費を振り込んでくれるものの仕事もなかなか決まらない
将来への不安はたっぷり
目に入ったのは草野球のメンバー募集ポスター
「わたし 水原勇気になりたかったんだ」と思い出す
漫画のヒロイン
女のこだから野球なんてもってのほか
反対されて野球部には入れない
だけどソフトボール部に入るのも何かに負けたようで嫌だった
小学生の頃は野球得意だったのだ
娘に呆れられながら草野球始めることを決意
けれど電話番号を見に再びポスターの前に行くとガタイの良い青年が!
性別も年齢も問わないはずーとカントクを押し切り 娘の香織と共にそのチームへ
ちぐさ台カープ
カントクは広島県出身
広島カープを応援し続けたファン
原爆で家族を喪い 結婚した妻も被爆者でもう此の世にはいない
キャプテンの田村も広島出身
老いた両親が広島で暮らしている
介護の問題も抱えている
エースのヨシヒコは苦労知らず 金持ちのボンボンで傲慢な性格ゆえに中学で同じ野球部だった人間からは嫌われ恨まれている
現役のプロ投手と同じ野球部だった将大は 試合での選択を悔やみつつ それでも野球を続けたい
今度は楽しめる野球を 野球が好きだという気持を大切に
香織と同級生の沢松は野球がうまかったゆえにーーーイジメにあって野球部を退部
人間不信となり無口になった
かつて送りバントの達人だったウズマキは フルスイングする快感を味わいたくて
両親と同居がネックか見合いしても断られ続けている男
単身赴任の孤独を草野球で忘れられた男
それぞれクセあるメンバー
いつしか一つにまとまり それぞれへの理解も深め 良いチームになっていく
しかし終わりはある
カントクが故郷で入院
他のメンバーにも生活の変化が訪れる
人生の転機は色々な形でやってくる
それでも それでも どんまい どんまい
大丈夫 きっと大丈夫だから
著者自身のあとがきによれば
「ドンマイ」は和製英語
「ああ かまわないよ」「気にしないから どうぞ」
それが 日本ではいつしか「気にするな」「大丈夫」と励ます言葉になったと
私が学生時代 試合などで誰かがミス(へま)しても 大丈夫 へっちゃらよーなんて意味で「どんまい」と使っていたように思う
挽回できるよーって意味で
本当に人生しんどいことも多いけれど うわって思うこともあるけれど
自分に「どんまい」
大丈夫 人生終わったわけじゃないから
まだまだ続くからーなんて励ましの言葉かけつつ 明日に向かって生きていけたらー
さてさて ちぐさ台カープ
個性的なチームとの対戦があるのですが
中でも高齢者チーム(みんな還暦すぎのメンバー)との対戦ルールには笑いました
スライディングは禁止
ファウルフライも捕らない
外野を抜けた打球は全てツーベース 無理して追いかけんでもええ
そして認定ヒットーバッターが打ったあと 走らなくていいルール
ー走ると疲れるけえ
誰しもーそんな野球ってあるのかーとなりますよね
読みながら想像するだけでも
だけど みんな野球が好きだから
野球がしたいから
そして根っ子のところでは優しくあったかい