浄土真宗の僧となり教誨師として囚人に接することもする高遠顕信は 大学時代同じサークルに属し 己の命の恩人でもある関根と再会する
彼は死刑囚となっていた
衝動的にアベックを殺し その後自首したと
関根の人柄を知る高遠には納得いかない事件だった
あの関根がわけもなく人を殺すはずがない
かつてこの事件担当した文屋の協力を得て高遠は関根の事件を調べて やがて意外な事実に突き当たる
関根には認知していない子供がいたのだ
どんでん返しを得意とする中山七里さん 物語の結末近く 予想外の真犯人をだしてきます
犯罪被害者の家族にとって 事件は何処で終わるのかー
たとえ犯人が死刑になっても 失われた時間や命は戻ってこない
物語の中ではそうしたことにも触れています
いつか心の傷は癒えるのか
ぽっかり空いた穴は開いたままか
人は強くて弱い生き物で 愚かしくもあり賢くもあり
できうるならば正しい側にありたいと願いながら
解説は書評家の村上貴史さん