バブルが弾けて経営が破綻した銀行 その罪を引き受けて柏木雪雄は服役した
婿養子であった雪雄は妻とも離婚した
有り余る独房で雪雄は幼少時代を思い返していた
忘れていたはずの封印した記憶
雪雄はフィリピンで生まれ 実の両親の死後は現地の女性に育てられた イナ(お母さん)と呼んでいた女性の本当の名前すら知らない
終戦後 日本へ
暮らした地「カリナン」その地名がー行かねばならない土地として雪雄の中に浮かぶ
昔 雪雄がイナと呼んでいた女性は裕福な暮らしをしており 孫娘のアリシアは医者になろうとしていた
アリシアの祖母は若い頃に育てた日本人の子供ユキオの事を アリシアに話す
出所後 フィリピンへ向かった雪雄は雨に打たれて病気となり 行き倒れとして病院へ運ばれる 治療にあたったのはアリシアだった
不思議な縁で雪雄はイナと再会する
雪雄はストリートチルドレンの姿に心を痛め 力になりたいと考えるようになっていた 領事の堀江亮介の言葉を胸に まずは子供達の心を開かせようと試みる
しかし雪雄に恨み持つ日本人と 雪雄の父が遺した手帳を奪おうとする人間達が手を組み 雪雄を狙っていた
ストリートチルドレンを守る施設を作る計画の為に雪雄が帰国している間に アリシアが誘拐された
連絡が入りフィリピンへ向かった雪雄は アリシアを取り戻す為に誘拐犯の条件を呑み 指示された場所へ行く
解放されたアリシアの目の前で雪雄は撃たれた
志し半ばに雪雄は死んだ
アリシアはアメリカで博士号を取る為の研鑽の日々
著者の分身ともいえる堀江亮介がちらりと出てくる フィリピンのダバオ総領事館にも勤務経験ある著者が 現在は故人となった人物からの「貴重な情報と資料提供」を得て書き上げられた物語
力の入った一冊です
知っているようで よく知らない国フィリピン
勉強にもなる作品です
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