みんなが待ってる言葉を、私は知ってる。
全てが丸く収まる言葉を、私だけが持ってる。
皆の視線が、想いが、私に向かっているのも知ってる。
”早く、言い出して”
って、
”その言葉さえ言ってくれたら、問題は一挙に解決するのよ”
・・・って、皆の期待が私だけに向かってる。
でも、言えない。
言いたくない。
その言葉に、1%も私自身の気持ちは入ってないから。
私にとっての真実は、一欠けらも入ってないから。
それでも言わなきゃいけない時が来るのかなぁ。
押し通しちゃいけないのかなぁ。
無実の人が、余りの苦しさに、楽になりたい一心で罪を認めてしまう。
ちょっと例えが変だけど、でも、その”楽になりたい”という気持ちは、よく判る。
自分が我慢すれば、眼をつぶれば、今の、この苦しさからは逃げられる・・・。何処を向いても真っ暗闇のトンネルからは出られるかもしれない。
・・・そういう、”今”からの脱出だけを願ってしまう刹那的な想いも真実。
だけど、その言葉を発した後、私には何が残る?
皆のほっとした賞賛と感謝の言葉だけ。
そんなもの、一瞬で消えていくモノ達。
”迷ったら、苦しい道を選びなさい”
と先人、賢人達は言うけれど、それは、あなた達のポリシー。
凡人以下の私のポリシーとは、相反する。
自分の人生、何を選んでも後悔するのなら、自分の真実のこもった言葉を発したい。