魔王 (講談社文庫) 伊坂 幸太郎 講談社 このアイテムの詳細を見る |
韓流ファンならほぼ間違いなく、チュ・ジフン氏のドラマを思い浮べますよね。
現に、私もそーでした(;^_^A
でも、これは伊坂幸太郎氏の作品。
私には、ちょいと難関でしたな(;-_-+
一介のサラリーマン安藤は、ある時、自分に不思議な能力が備わっている事に気付きます。
念じれば、狙った相手に自分が思う言葉を喋らせる事が出来る…と言う能力。
例えば、電車の中で、立ったままの老人の前で、二人分の席を占めて平然としている若者に向かって、老人の言葉で
「偉そうに座ってんじゃないぞ、てめえは王様かっつうの。ばーか」
と。
そして、会社で横暴な課長に罵倒されている先輩社員に
「課長、それどういう意味だ?もう一回言ってみろ」
続けて
「偉そうにしてんじゃねえぞ。責任とらねえ上司のなにが上司だ」
…と。
だからといって、その能力をむやみやたらに使う安藤じゃありません。
ただ、人に知られないよう自分の中にしまい込んで毎日変わりの無い日々を過ごしています。
ある時、彼は野党の党首‘犬養’の存在を知ります。
犬養は、まだ議席数の少ない野党の立場でありながら、存在感は与党を凌ぐものがありました。
政党の力と言うより、彼自身の貫禄、彼の話術が、人をひきつける何かを持っていると安藤は感じ取ります。
しかし同時に安藤は、彼がいつかファシズムに走るんじゃないかという不安をも持つのです。
かつてのムッソリーニやヒトラーの様に、国家や国民を統制の名の下に支配しようとするんじゃないかという不安を持つのです。
不思議な能力と言っても、それは小さなモノにすぎません。
それでも安藤は“腹話術”能力で、犬養によって創られようとしている流れを変えようと試みるのです。
しかし、それは、あと少しと言うところで、阻止されてしまいます。
表向きには、安藤の突然死ですが、本当のトコロは誰にも判りません。
安藤には、仲の良い弟が居ます。
彼は、兄の死後、直感が異常に冴え始めます。
それを、彼は‘兄貴が憑いた’と表現します。
じゃんけんは負け知らずだし、競馬の予想もことごとく当たるのです。
そして弟もまた、その能力が、世の中を変える為に役に立つんじゃないかと考えるのです。
で、ですよ。
「魔王って、誰?」
国を掌握しようとしてる犬養の事なのか、不思議な力を持った兄弟の事なのか、それとも…?
その辺りが、イマイチ理解出来なかった私です。
判ったのは、安藤兄弟が小さな力であっても、世の流れに立ち向かおうとしていた…と言う事。
難解でした。