レビュー一覧は、こちらから。
登場人物のそれぞれの人生が、少しずつ集約されるように集まってきてる気がします。
サンを中心として。
カバンはどこかと、サンに問われ、ドンジュはすぐに言葉が出ませんでした。
記憶が全て戻ったのかと、ドンジュは焦る気持ちもあったでしょう。
ドンジュは、必死に自己弁護を始めました。言い訳の羅列です。原稿を横取りしてしまった事に対してです。
が、サンは、それを事故に対する言い訳だと思い込んだようです。
それより、カバンの中に身元を証明する何かが入って無かったかと言う事が知りたかったのです。
サンが覚えているのは、誰かに追われていたということだけ。その理由も分かりません。
ただ、背負ってるカバンの中に、何か大事な物が入っていたと言う感覚だけ。それが何かも分かりません。
確かに、リュックの中で何かがぼぉっと光るのが見えましたよね。
すぐにでもドンジュの家にカバンを取りに行くと言うサン。
ドンジュは、病人なんだからと必死に止めました。まぁ、出来るなら、ずっと隠しておきたいでしょうからね。
が、その時、サンの口から息のような白い気体が見えたかと思うと、意識が朦朧とし、座り込んでしまいました。
ドンジュは医師を呼びに病室を飛び出しました。
ところが、医師と共に戻ってくると、サンの姿が消えていたのです。
サンも何が何だか分からない内に、イ医師の部屋に瞬間移動していました。
そこで見たのは、先日幻覚の中で見た、スカーフ。イ医師が自ら首を絞めようとしたモノです。
いろんな情報が一気にサンの頭に入って来たようです。
苦しくなって吐いてしまいました。
イ医師も、同じ状況に陥っていました。
理由がありました。
拘置所から運ばれて来た急患が、夫を殺した殺人犯だったからです。
ドンジュは、サンのすることなすことが理解出来ません。
いったい何者なんだとサンに言いました。
サン自身も自分が何者なのか、全く理解出来ていません。
ただ、苦しむ人の声が聞こえるんだそうです。多くの声が入り混じって聞き取りにくい中で、老患者の声だけがはっきりと聞こえて来たんだそうです。
だから、老患者の死が分かったと言いました。
そんな話を聞かされても、ドンジュは信じられません。
万が一本当の事だとしたら、交通事故の後、その能力が備わったのか?とドンジュは思いました。
その頃、ドンジュの家に何者かが忍び込んでいました。
右腕に、火傷のような痕がある男で、シン・ギョンチョルを殺したのも、この男です。
サンのリュックを見つけ、中から『神は死んだ』の原稿を取り出していました。
ドンジュが帰宅した時、リュックは無くなっていました。
ただ、原稿だけが机の上に置かれていたのです。
原稿の表紙に言葉が書かれていました。
“どっちだ?光か影か カイ”・・・と。
一方、シン・ギョンチョル殺人事件で、被害者の口の中に押し込まれていたUSBに入っていたのは、シン・ギョンチョルの起こした暴行事件の映像でした。
パク・ヒョンス刑事は、この一件と過去の事件との共通点に気づきました。
2年前のチョン・ドゥヒョン殺人事件です。パク刑事が担当していた事件ですが、結局迷宮入りになっています。
現場の状況が酷似していることと、被害者の口の中にどちらも木片があったからです。
そしてもう一つ、富裕層の月刊誌に載った10年前の写真がチョン・ドゥヒョンの服に入っていたのです。
その写真に写っていたのは、テガングループ会長イ・テマン。次期検事総長有力候補のソウル地検チェ検事。今回の被害者で映画監督のシン・ギョンチョル。大学教授のナ・サンウ教授の4人。
この中で、ナ教授以外の2人が、シン監督が最後に会った人物でした。
ナ教授は行方不明になって、既に7年が経過しています。
つまり、2年前の被害者が持っていた写真の中で、シン監督と、もしかしたら、ナ教授も殺されているのかもしれないと、パク刑事は考えたのです。
「被害者は3人かもしれません。」
強行班の面々は、重い表情になりました。
パク刑事は先輩のイ刑事と一緒に、シン監督たち4人と親しいバーの店長に話を聞きに行きました。
カン・ヘギョンと言う店長は、4人と長年の知り合いで親しく、彼女の店で飲み会を開く事も多々ありました。
シン監督は、ヘギョンの店を出た後、事件に遭ってしまったのです。
パク刑事は、例の木片の写真を見せましたが、ヘギョンは何も知らない様子です。
イ・テマンは、『神は死んだ』を読んだようです。
何か引っかかる事があるのか、ドンジュについて調べるよう部下に命じました。
と同時に、口が堅くて仕事のできるヤツも・・・と言いました。
えドンジュが危険
サンを暴行で訴えると言う男が現れました。
先日、老患者の病室で娘にサンが“母の最期の言葉”を伝えようとしたとき、邪魔しようとしたので、サンが特殊能力で突き飛ばしたのです。
それで怪我をしたと言って来たってわけ。
男を見つめるサンの目が青く光るのを見たドンジュは、慌ててサンの前に立ちはだかりました。
能力を見せてはマズイですもんね。
ま、この時は、老患者の娘で男の妹が駆け付けて事なきを得ました。
娘はサンに感謝していますからね。
ところで、サンはどうも現代の人じゃなさそうです。
アプリの事を知らないし、リュックにカセットテープが入っていたのも、そのせいかも知れません。
サンが、また不吉な感覚に陥りました。不安を感じると言います。
イ医師のせいでした。
イ医師は、入院している殺人犯を殺そうとしていたのです。
点滴に何らかの薬を入れたイ医師。
しかし、その薬が体に入る寸前に時が止まった
サンです。
イ医師が殺人を犯そうとしていることを察知し、止めようともがいた瞬間、彼はまた瞬間移動し、時を止める事も出来たのです。
サンは、患者がイ医師の夫を殺した通り魔だということも分かっていました。
サンはイ医師と殺人犯の手を取りました。
すると、イ医師の体の中から記憶と苦痛が抜け出し、殺人犯の中に乗り移ったのです。
サンが意図して行ったわけではありません。
何故そんなことが出来るのかも、サンには分からないのです。
ただ、殺人犯には、生きて苦しんでほしいとサンは思ったのです。
そう思っただけで、出来てしまった・・・。
イ医師は、これまでサンが訴えて来た幻聴や幻覚が決して嘘ではなかったと知りました。
「怪物になったのかも。」
と、サン。
「人と違うだけで、怪物じゃない。多数決が正解じゃ無いのと同じように。」
と、イ医師。
医学的には不明でも、サンに起こっている事は、何か理由がある筈だとイ医師は言いました。
そして、自分にとってサンは怪物じゃなく、救世主だと言ったのです。
サンも、その言葉で救われた気がしたでしょうね。
ある夜、ドンジュに電話がかかって来ました。
「非常に危険なことをしたな。世に出てはならない小説だ。上手く修正してあった。しかし、エンディングは私の望みとは違っていた。第二刷では結末を変えろ。結末は私のやり方にすべきだ。」
会って話しましょうと、ドンジュ。
「時が来れば会う事になる。また連絡する。」
そう言って電話は切れました。
右手に火傷らしき痕が3つある男=オ・マンソクssiです。
謎が多くて面白い