今日はギンギンにジャズモードに入っています。朝、起きぬけから、これ聴きました――
■The Meeting / Jackie Mclean & Dexter Gordon (Steeple Chase)
1970年代前半のネオバップ・ブームを決定付けたアルバムです。
主役はハードパップ男のジャッキー・マクリーンと大御所のデクスター・ゴードンですが、私には参加したリズム隊が生み出す強烈なグルーヴが魅力になっています。
録音は1973年7月20&21日、コペンハーゲンのライブハウス「モンマルトル」でのライブセッションで、メンバーはジャッキー・マクリーン(as)、デクスター・ゴードン(ts)、ケニー・ドリュー(p)、ニールス・ペデルセン(b)、アレックス・リール(ds) です――
A-1 All Clean
短いメンバー紹介があって演奏がスタートしますが、ノッケからリズム隊のグルーヴが強烈です。跳ねるケニー・ドリューのピアノに捻れたようなニールス・ペデルセンのベース! そして如何にもバリバリの若手らしいアレックス・リールの新感覚ドラミングが良いですねぇ~♪
こういう快適なバックに煽られて、まずデクスター・ゴードンが貫禄の大ブロー! 自作のブルースということもあって、余裕と楽しさに満ち溢れたアドリブは、とことん安らぎます。
そして続くジャッキー・マクリーンが、これまたギスギスと永遠の青春物語を吹き綴りますが、やや緊張気味でしょうか……? なにしろ大先輩が横にいますからねぇ。それでも徐々にアグレッシブなフレーズを繰り出していくあたりは、全く憎めない奴です。
しかし本当の聴きものはケニー・ドリューを中心としたリズム隊のパートです。このファンキーでグイノリのグルーヴは、従来のハードバップには感じられないもので、それはニールス・ペデルセンとアレックス・リールという欧州組の新感覚とケニー・ドリューという、クラシックの素養をたっぷりと身につけていた黒人が、奇跡の合体を果たして生み出されたものでしょう。これこそがネオバップやそれを引張っていたスティプルチェース・レーベルの人気の秘密ではないでしょうか!?
特にニールス・ペデルセンが大ブレイクしたのも、ここに由来していると思います。
A-2 Rue De La Harpe
ちょっと1960年代ブルーノートを連想するハードバップです。
もちろん先発のジャッキー・マクリーンにとっては十八番の展開ですから、泣いて、泣いて、泣きじゃくるフレーズの連発、と言いたいところですが、実は「嘘泣き」を混ぜているところが油断なりません。
そしてそこを鋭く突くのがアレックス・リールのドラムスです♪ ジャッキー・マクリーンが、ウッと我に返って吹きまくるあたりがジャズの楽しさですねぇ。
そこにいくとデクスター・ゴードンは愚直なまでに正攻法です。自然体で吹きまくり、リズム隊を逆に煽ってしまう場面は流石! ついついボリュームを上げてしまいます。
ケニー・ドリューの「跳ね」と「疾走」は言わずもがな♪
B-1 Sunset
ケニー・ドリューが書いた哀切のスロー曲です。
それをジャッキー・マクリーンが、例のギスギスした音色でテーマをリードするのですから、たまりません。ハーモニーをつけるデクスター・ゴードンと彩りを添えるケニー・ドリューも、匠の技です。
ただしアドリブパートでは全員が、やや冗漫な雰囲気に陥っています。
もう少しコンパクトに纏めてほしかったのです……。
B-2 On The Trail
オーラスは楽しい和みのハードバップ大会♪
いきなりジャッキー・マクリーンがギスギスとテーマを提示すれば、続くデクスター・ゴードンはバリバリ・グイグイとアドリブを爆発させ、もうここで、辺りはモダンジャズのグルーヴに満たされてしまいます。あぁ、これがジャズです♪
それはリズム隊のイキイキとした躍動と呼応したものであり、本当に何時までも聴いていたですねぇ~♪ 若気の至りが丸出しなったアレックス・リールのドラムスも最高です。
するとジャッキー・マクリーンも負けていません。激情の音色と泣きのフレーズで対抗すれば、聴いている私は、身も心も躍りだしたくなりますねぇ♪ 指パッチンに足は4ビートの世界です♪
そしてケニー・ドリュー! 飛んで弾ける独特のグルーヴは、この時期にますます磨きがかかったようで、それはニールス・ペデルセンとの邂逅を抜きにしては語れない、その証明がここで聴かれます。
ということで、実は発売当時はマンネリの事なかれジャズと陰口もたたかれていましたが、今聴くと、やっぱり良いです。いや、むしろ年々その奥底の価値が分かってきた私なのです。
こういうアルバムって、他にも沢山あるはずですから、いろいろと聴かなくなった盤を引っ張り出してみようと思います。