OLD WAVE

サイケおやじの生活と音楽

アルトの熱いやつ♪

2006-10-16 18:04:28 | Weblog

秋晴れの爽やかな天候が続いていますから、体力的にも情熱系の演奏に耐えられるようです。

というか、体がそういうものを欲しているような……♪

そこで――

Soul Eyes / George Robert & Phil Woods (Mons)

昨日のソフトなアルトサックスから一転、本日は情熱のアルトサックス・バトル盤を聴きました。

主役はジョージ・ロバートという、何処の国の人かは知りませんが、とにかく白人で、実は正直言うと、共演のメンツと演目に惑わされて買ったCDです。

録音は2000年5月10日、スイスでのライブセッションで、メンバーはジョージ・ロバート(as)、フィル・ウッズ(as)、ケニー・バロン(p)、ルーファス・リード(b)、アルヴィン・クイーン(ds)! このクレジットを見て震えないジャズ者はいないと思われますが、演目も最高なんです――

01 Alone Togehther
 哀愁系の人気スタンダード曲が熱く、熱く演奏されています。
 テーマをリードするジョージ・ロバートにフィル・ウッズが絡むという構図も美しいのですが、それにしてもジョージ・ロバート本人のスタイルが、共演した巨匠と酷似しています。
 で、先発のアドリブソロがフィル・ウッズ♪ 相変わらずタフに吹きまくっていますが、往年に比べると音色がやや、細くなっています。そして、それゆえにジョージ・ロバートとの判別が難しくなっているのです。
 ただし猛烈なドライブ感は健在ですから、ご安心下さい。
 リズム隊ではケニー・バロンのピアノがやはり熱くて上手く、アルヴィン・クイーンのドラムスもハードパップの真っ只中!
 そしていよいよ登場するジョージ・ロバートは、フィル・ウッズばかりでなく、さりげなくキャノンボール・アダレイやディビッド・サンボーンあたりのフレーズまでも取り込んで、情熱のアドリブを聴かせてくれます。ただし、ややノリが性急なのが若気の至りでしょうか。
 演奏はこの後、ルーファス・リードのアルコ弾きを経て、ジョージ・ロバートが先発でドラムスとのソロチェンジ♪ フィル・ウッズの余裕が光りますが、まあ、これは顔見世の小手調べというところでしょうか、それでも充分に熱くなれます。

02 Kin Tama
 ちょっと日本人にはドキリっとさせられるタイトルですが、作曲はジョージ・ロバートの猛烈なハードバップです。
 イントロからスピード感満点に2本のアルトサックスが絡み合い、テーマに入ってもウラにオモテに縦横無尽な展開がビバップ色!
 そしてアドリブパートでは先発がジョージ・ロバート、続いてフィル・ウッズの順で、情熱の吐露と泣きじゃくりの掛け合いが繰り広げられますが、それは若さにまかせてヒステックになるジョージ・ロバートに対し、余裕で多彩なフレーズを連発するフィル・ウッズは流石という、本当に楽しい演奏です。
 もちろんリズム隊にも破綻は無く、流麗でタイトなビートには安心感がありますし、ケニー・バロンのビアノはソロに伴奏に、とにかく炸裂モードで爽快です。
 最後のソロチェンジにドラムスが参入するのは、お約束♪

03 Blues For C.T.
 ジョージ・ロバートが書いたミディアムテンポのブルースで、如何にも白人らしいファンキーさがあり、和みます。
 ここでのアドリブ先発はフィル・ウッズで、往年に比べれば音色に力みが感じられますが、ツボを押さえたフレーズが多く、やっぱり上手いですねぇ~♪
 続くケニー・バロンのピアノも安らぎ狙いのフレーズが多く、個人的には、もう少しファンキー色を出して欲しかったところ……。
 そしてジョージ・ロバートは、モロにフィル・ウッズというか、それよりもジーン・クイルの味で勝負しています。もちろん黒っぽさよりも、激情のモード的展開とでも申しましょうか、とにかく泣いて、叫んで、ドライヴしまくりの名演だと思います。あぁ、これにはフィル・ウッズも、ニンマリしながら、心中穏やかではないでしょうねぇ♪

04 I'm Confessin'
 リズム隊だけの演奏ですが、ネタが楽しいスタンダード曲なので、初っ端からケニー・バロンがストライドピアノでテーマを変奏したり、一人舞台で大活躍♪ さらにドラムスとベースを従えてのパートに入っても、和みの姿勢を崩さないあたりに好感が持てます。
 もちろん演奏が進むにつれて、それはハードバップ~モード風の展開になるのでした。 

05 Soul Eyes
 マル・ウォルドロンが書いたネクラの名曲を、ジョージ・ロバートがじっくりと歌い上げます。もちろんそこには、フィル・ウッズのフレーズが頻発されますので、一瞬、どちらが吹いているのか疑心暗鬼にとらわれるほどですが、とにかく音色の若々しさからして、ジョージ・ロバートがメインで吹奏していると思われます。
 そして流石はアルバムタイトルにしただけあって、素晴らしい出来栄えですねぇ~♪ ほどよい情熱の発露、原曲に潜むシミジミとした情感が、とても熱い演奏に集約されています。
 リズム隊も流石のサポートで、何気なく聴いていて、思わず惹き込まれてしまいます。多分、フィル・ウッズは参加していないと思われますが……。

06 Cannonization
 オーラスは、タイトルからして、多分キャノンボール・アダレイに捧げられたと思われるファンキー・ハードバップです。
 イントロからアルヴィン・クイーンがゴスペルピートを敲き、2本のアルトサックスが絶妙のユニゾンと絡みを聴かせてくれますから、先発でアドリブに突入するジョージ・ロバートは、最初っから出来上がっているようです。
 実際、そのアドリブは魅力的なフレーズの連発ですし、熱き心の吐露、絶妙なタメとモタレがファンキーで新しい!
 するとフィル・ウッズは、いきなり「ワークソング」のテーマを流用してアドリブを始めるのですから、もう、たまりません♪ しかしこれが、アッという間の短さなんですねぇ~。まったく憎いことをやるもんです。
 またケニー・バロンがバカノリです! 俺はファンキーだって大好きなんだよぉ~、と告白のフレーズがドンドン出てきます。ただし、ここも短いのが残念であります。まあ、ラストテーマの楽しさで帳消しでしょうか。

ということで、歴史的な傑作盤にはなれそうも無い演奏集ですが、これも日常的ハードバップ中毒者には必須の1枚かもしれません。

なにしろ演奏が熱いんですからっ!

そしてジョージ・ロバート、この人についても気になる存在ということで、いろいろと音源漁りをしていますので、機会があれば、またご紹介しようと思います。

コメント
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