天気が良かったんで、久々にバイクでブッ飛ばしてきました。
風をきる気分の良さ、これが止められませんねっ♪
革ジャンに「番長シャロック」口ずさみ♪ 気分爽快でした。
うん、今度は「不良番長シリーズ」を特集してみようか……、なんて事まで画策しています。
が、その前に本日はこのDVDを――
■Shadows And Light / Joni Mitchell (= DVD / Warner)
女性シンガー・ソングライターのジョニ・ミッチェルが製作に深くかかわった映像作品の決定版です。
それはライブ映像をメインにしつつも、イメージフィルムや既存の映画の名場面、さらに彼女自身のプロモ映像等々を嫌味なく混ぜ合わせた、非常に完成度の高い傑作になっています。
もちろん何よりも凄いのが、ライブ演奏の中身です。
それは1979年9月の巡業からサンタバーバーラのステージが中心で、メンバーはジョニ・ミッチェル(vo,g)、パット・メセニー(g)、ジャコ・パストリアス(b)、ドン・アライアス(ds,per)、ライル・メイズ(key)、マイケル・ブレッカー(ts) ! これだけのメンツが勢揃いしているだけで、震えが止まりません。しかも怖ろしいばかりのテンションに満ちた演奏が展開されているのです。
皆様良くご存知のように、ジョニ・ミッチェルはデビュー当時から、密かにジャズっぽい部分を内包していましたが、それが1970年代前半のトム・スコット(ts,ss,as) とのコラボレーションを経て、1975年頃からはジャコ・パストリアスとの共演に発展していきました。
もちろんこの間に発表されたアルバムは全てが傑作♪ そして集大成的な作品として屹立するのが、このDVDというわけです。ちなみに同じ音源を仕様した同名のライブ盤も発売されていますが、収録曲や編集に相違があるので要注意とは言え、やはり動くバンドメンバーの魅力が優っています――
01 Shadows And Light - Juvenille Delinquent
作品全体の印象を表したパートで、ジェームス・ディーン主演の「理由なき反抗」や少年黒人歌手のフランキー・ライモンといった1950年代の映像が使われています。
02 In France They Kiss on Main Street / フランスの恋人たち
そして始まるのが、この素敵なフュージョン・フォーク・ロックです。
オリジナル演奏は1975年に発表された「夏草の誘い」に収録されていましたが、ここでのライブバージョンが決定的な名演でしょう。
特にパット・メセニーのギターがブッ飛んだ素晴らしさで、伴奏に、ソロに間然すること無い出来栄え! ここは何度見てもトリハダです! 本当にピッキングが上手いなぁ~♪ 映像からして、同じフレーズを弾くのにもワザワザ難しい押さえ方をしているパット・メセニーは天才です。もちろん、その方が綺麗な音が出せるはずですからねぇ!
ちなみに映像中には、1950年代の映画から「暴力教室」やジルバのダンスが流用使用され、雰囲気を盛り上げています。
03 Edith and the Kingpin / イーディスと親玉
これも前述のアルバムに収められていた、極めてジャズ色の強い曲です。
ここでの演奏はジョニ・ミッチェル自身の変態コードが入ったギターから始まり、そして抑揚の無いメロディを彩る伴奏陣の凄さが浮彫りになっていきます。
中でもジャコ・パストリアスの的確な音選び、パット・メセニーの浮遊感のあるコード変奏が素晴らしいと思います。
04 Coyote / コヨーテ
ジョニ・ミッチェルの代表作で、ザ・バンドの解散コンサートでも披露されていましたが、ここではドン・アライアスのパーカッションを中心にした伴奏が、やはり素敵です。
特にパット・メセニーとジャコ・パストリアスのハーモニクスの飛ばし合いが強烈! 押されたジャコが突如、暴れのフレーズを弾いてドン・アライアスをニヤリとさせる名場面が見所でしょうか♪
もちろん、そんな事にお構いなしに歌いまくるジョニ・ミッチェルが、一番最高なんですけど♪ 挿入されたコヨーテの映像も印象的です。
05 Free Man in Paris / パリの自由人
さてここでマイケル・ブレッカーが登場し、あの因数分解フレーズを存分に披露します。またドン・アライアスのディープなドラムスとジャコ・パストリアスのコンビネーションも最高ですし、ジョニ・ミッチェルも気持ち良く歌っています。尤も何を歌ってんだか、意味深長な歌詞が???
06 Goodbye Pork Pie Hat
ジャズベースの頑固おやじ=チャールズ・ミンガスが、天才ジャズメンのレスター・ヤング(ts) に捧げた名曲に、ジョニ・ミッチェルが歌詞をつけた演奏です。
したがって完全なジャズになっていますが、ミステリアスな伴奏をつけるバンドの恐さは流石で、聴いている私は、本当に緊張感に苛まれてしまいます。
特に本領発揮のライル・メイズのエレピが!
07 Jaco's Solo
ここはジャコ・パストリアスの一人舞台で、例のディレーマシンを使った無伴奏ソロが存分に楽しめます。
詳しくは見てのお楽しみ♪ とは言え、実はこの時期を境にして、ジャコ・パストリアスは常軌を逸した世界に行ってしまうので、その紙一重の絶頂期が、このライブには残されています。当然ながら、このパートでも狂気と円熟の狭間が楽しめるのでした。発狂しそうです。
08 Dry Cleaner From Des Moines / デ・モインのおしゃれ賭博師
今度は4ビートで歌いまくるジョニ・ミッチェルが素敵です♪
ビートのウラから入るあたりは流石ですねぇ~♪ アニタ・オデイ(vo) のフレーズをかなり借用していますが、憎めません。
インストのパートではジャコ・パストリアスのベースがバカノリ♪ 後に「ジャコる」と形容された独特の4ビートが楽しめます。
またマイケル・ブレッカーも「ブレッカー節」を炸裂させて烈しく反抗するあたりが、この時期のジャズ・フュージョンの花園でしょうか♪ 映像を見るとエア・タンギングを駆使するマイケル・ブレッカーの喉の膨らみが凄いです。
そしていきなり演奏を止めて、何事もなかったかのように振舞うバンドメンバーは貫禄でしょう。
09 Amelia - Pat's Solo
ジョニ・ミッチェルの弾語りで、映像には古い飛行機や女性飛行士の映像等々が使われています。
そして後半からパット・メセニーが密やかに参入し、魅惑のギターソロ♪
ジョニ・ミッチェルが作り出す変態コードが気持ち良かった分だけ、パット・メセニーは自分の世界を一人舞台で演じていくのでした。メセニー・ファンは必見です♪
10 逃避行
そして続く映像は、ジョニ・ミッチェルのスケート姿!
カナダ生まれだけに、ごく自然にやっていますねぇ。
たぶんプロモ映像でしょうが、音源はライブのようで、ドン・アライアスのパーカッションが鮮やかです。
11 Black Crow
さて、これが強烈なジャズロックです!
なにしろ全篇でジャコ・パストリアスのベースが唸りまくりですし、テンションの高いリフとマイケル・ブレッカーの咆哮! さらにライル・メイズの幻想的なコード伴奏にパット・メセニーの恐いサイドギター! ドン・アライアスも容赦ないドラミングです。
う~ん、マイケル・ブレッカーの全盛期も、この時期だったのかも……♪
12 Furry Sings the Blues
これもジョニ・ミッチェルの静かな弾語りから始まり、途中でパット・メセニーの神業スライドギターが入ってくるのですから、たまりません!
そしてドン・アライアスのブラシも絶妙なんですねぇ~。
13 Raised on Robbery / 陽気な泥棒
スバリ、ファンキーロック大会です!
もちろんジャコ・パストリアスが大暴れ! ライル・メイズの生ピアノは見事にロックン・ロールしていますし、パット・メセニーのオチャメなフレーズ、マイケル・ブレッカーの爆裂テナーサックスにドン・アライアスのハードロックなドラムスも冴えています。
もちろん観客も大喜びですが、田舎の会場ということもあって、素朴な美女が散見されますねぇ♪ 本当に楽しいです♪
14 Why Do Fools Fall in Love ?
前曲の盛り上がりが、このオールド・ロックンロールで最高潮となります。
ゲストには黒人コーラスグループのパースエイションズが登場、マイケル・ブレッカーのテナーサックスが楽しく炸裂して、ステージと会場は一体となった楽しい雰囲気に満たされます。
ちなみにこのビデオの冒頭に登場したフランキー・ライモンが、この曲のオリジネイターなんですから、二重の仕掛けにニンマリです。しかもここでの演奏はドン・アライアスのドラムスだけが伴奏の擬似アカペラですからねぇ~♪
クライマックスに相応しい、どこまでも楽しい演奏です。
15 Shadows And Light
そして最後に、冒頭で流れたタイトル曲の完全バージョンが演じられます。
それはジョニ・ミッチェルとパースエイションズのアカペラですから、仄かなゴスペル風味が心地良く、さらに途中から絶妙なコードで伴奏するライル・メイズのキーボードが味わい深い感動を呼ぶのでした。
ということで、これは数ある音楽ライブ映像作品の中でも筆頭格の素晴らしさです。
なにしろ参加メンバーが夢のようですし、単にロックとジャズの好ましい邂逅に止まらず、より奥深い世界に進歩したフュージョンの最高峰でしょう。
ジャコ・パストリアスの凄さはもとより、、ぜひとも全人類に楽しんでいただきたいと、せつに要望する私でした。12月頃に再発されるようです。