最近、イジメの陰湿な事件が多く、いろいろと考えさせられます。
何よりも愕くのは教師や教育委員会の勘違い! 生徒を導く側に心の豊かさが欠如しているとしか思えませんねぇ……。
そこで本日は心が豊かになる、この1枚を――
■Jazz On Broadway / Paul Smith (Vertical Jazz)
ジャズの世界はテクニックばかりでなく、創造力と個性が無いと認められません。上手いだけではリーダー盤を作れない、個性重視の世界なのですが、それを逆手とったというか、クセが無いのが個性という優れたピアニストが、ポール・スミスだと思います。
その芸暦は1940年代からレス・ポール(g) のサイドメンとして名を上げ、ビックバンドからスタジオの仕事まで多岐に渡る演奏は、決してジャズ一筋ではありません。
そして1950年代になると自己のバンドを率いての活動が多くなり、それはフルートやギター、クラリネット等を加えた、お洒落なアンサンブルがウリのイージー・リスニング調でしたから、広く一般大衆に人気がありました。
それは日本では想像もつかないほどで、1960年代になるとエラ・フィッツジェラルドの伴奏者となって世界巡業していても、スタア歌手と同等、あるいはそれ以上の拍手を貰っていたことは、いろいろなライブ盤や映像でも明らかです。
もちろん実力は本当に大したもので、抜群のテクニックと余裕の演奏は聴いていてリラックスしすぎるほどですから、その素敵なリーダー盤は、日本のジャズ喫茶では、ほとんど無視状態でした。
しかしジャズ魂は本物です!
このアルバムは比較的最近出たもので、録音は2000年5月、メンバーはポール・スミス(p)、Jim De Julio(b)、ジョー・ラバーバラ(ds) というトリオ編成♪ ポール・スミスのビアノは相変わらず歌心と余裕に満ちていますから、技術的に難しいフレーズを弾いていても、嫌味になっていません。
むしろ聴いているうちに和んできて、心が豊かになってきます。
共演者では、やはりビル・エバンスの晩年のトリオに抜擢されていたジョー・ラバーバラが流石ですねっ♪ 私はこの人の入っている盤は無条件で入手するほどのファンですが、ハズレが無い、保証書のようなドラマーです――
01 My Favorite Things
02 Spring Can Really Hang You up the Most
03 I Could Have Danced All Night
04 Where or When
05 I Got Rhythm
06 Falling in Love With Love
07 Hello, Young Lovers
08 I've Got You Under My Skin
09 Surrey With the Fringe on Top
10 On a Clear Day
演目については、いちいち述べるまでも無い、全てが金太郎飴状態の好演ばかりです。ご想像どおりの、スマートでリラックスした音がたっぷり詰まっています。
個人的には静謐でゴージャスな雰囲気に満ちた「Spring Can Really Hang You up the Most」や「Where or When」の温か味のある表現に惹かれます♪
また「I Got Rhythm 」での意外なガチンコぶり、「On a Clear Day」の遊び心にもグッときますねぇ♪
最近、人気の若手ピアニスト=ビル・チャーラップがお気に入りの皆様にも、オススメ致します。
イブシ銀なんて言葉は似合わない、当に熟練の熱いハートと物分りの良さを併せ持った、素敵なピアニストがポール・スミスだと思います。