ようやく仕事も一段落という雰囲気になってきました。
しかし最近の天候の異常不順は???
今日も朝はカンカン照り、昼と突風、そして今は大雨です。
そこで――
■All Kinds Of Weather / Red Garland (Prestige)
レッド・ガーランドは和み派の名人ピアニストですが、その中でも一等の秀作盤が本日のアルバムです。
内容はタイトルどおり、四季の天候にちなんだ有名無名のスタンダード曲を、本当に気持ち良くモダンジャズにしたピアノトリオの決定盤でしょう♪
録音は1958年11月27日、メンバーはレッド・ガーランド(p)、ポール・チェンバース(b)、アート・テイラー(ds) というお馴染みの面々ですから、悪いはずもないのです――
A-1 Rain
いきなり「雨」の曲なんで、憂鬱な雰囲気かと思えば、全く逆に明るく小粋な演奏です。レッド・ガーランドが十八番のブロックコード弾きによるテーマメロディの歌わせ方が、とにかく絶品♪ 続けて入るアドリブパートでの単音弾きでは、コロコロと転がるようなスイング感も素晴らしく、もちろん歌心も最高です。
もちろんブリブリのドライブ感が満点のポール・チェンバースのベース、小気味良いアート・テイラーのブラシも、当たり前の凄さが強烈です。
当にレッド・ガーランドが全盛期というよりも、生涯の名演だと思います。
あぁ、何回聴いても飽きません♪
A-2 Summertime
説明不要の名曲を、レッド・ガーランドは幾分陰鬱に弾いてくれますが、緩いテンポでもダレていないのは流石です。
まあ、一時は、スロー物が苦手なレッド・ガーランド……、と言われていた事もあったようですが、この演奏あたり聴いていると、ブロックコードでグイグイに盛り上げていく力強さがあって、こういうテンポで勝負に出ている感じがしています。
A-3 Stormy Weather
これもリラックスしたテンポでレッド・ガーランドのソフト&ソウルフルなピアノスタイルが楽しめる名演になっています。
また寄り添うポール・チェンバースが素晴らしいですねぇ~♪ 何気ないようでいて、モダンジャズの真髄を披露しているような凄みが感じられます。
全体的には所謂カクテルピアノに近い雰囲気ですが、それを硬派なジャズにしているのが、ポール・チェンバースだと思うのですが……。
う~ん、やっばり、このトリオは最高だと痛感させられますねっ♪
B-1 Spring Will Be A Little Late This Year
またまた小粋にスイングする名曲・名演♪
しかもレッド・ガーランドの元ネタというか、アーマッド・ジャマルの音符を切詰めたスタイルとか、エロル・ガーナーの意図的遅れビートあたりを良いとこ取りしていますから、これが本当に快適なんですねぇ~♪
もちろんレッド・ガーランド自身の歌心の豊かさやドラムス&ベースのグルーヴィな助演が一体となった、当然の結果ではありますが♪
B-2 Winter Wonderland
お馴染みのクリスマスソングを、レッド・ガーランドは楽しく快適に弾いてくれますから、年末にはジャズ喫茶で良く鳴っていたという名物トラックです。
実際、全篇が完璧に素晴らしい演奏なんですよっ♪
けっこうブルース魂も入っていますし、コロコロ転がるスイング感、ブロックコードのソフト&ハードの使い分け等々、これまた何度聴いても最高です。
またポール・チェンバースのアルコ弾きも、なかなか良いと、納得出来たりします。
B-3 'Tis Autumn
オーラスは泣きと涙が入った、リラックス&グルーヴィな快演です。
あぁ、このテーマの解釈なんて、原曲の良さを存分に引き出して、尚且つピアノトリオとしての魅力を、たっぷりと披露した代表的名演ではないでしょうか!?
もちろんアドリブパートでの充実度も高く、レッド・ガーランドのピアノからは、とても即興とは思えない美メロが連続して流れ出します。
余計な手出しをしないアート・テイラーのドラムスも逆に存在感があり、どっしり構えたポール・チェンバースは、グループの源でしょう。
ということで、一種のトータルアルバムとしての企画も素晴らしい作品です。
レッド・ガーランドとしては、時期的にマイルス・デイビス(tp) やジョン・コルトレーン(ts) と別れた直後あたりの演奏で、これ以降、ほとんどが自己のトリオ中心の活動・レコーディングとなり、ますますソフト&リラックス路線に進む、その端境期に残された名演というわけです。
つまり後年の演奏よりは緊張感が維持されているというか、それでいてリラックスした雰囲気が最高なんですから、レッド・ガーランドを代表する名盤ではないかと思います。