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サイケおやじの生活と音楽

貴公子!?

2007-05-16 16:48:16 | Weblog

昨日はネットの通信障害のために、更新出来ませんでした。

最近、私用のPCが不調なので、また機嫌が悪いのか……。なんて思っていたんですけどねぇ。

ということで、本日は――

Flavours / Vito Giordano (Videoradio)

Vito Giordano については、例によって私は何も知らないのですが、ジャケ写では二枚目なんで、どことなく「ムードトランペットの貴公子」という雰囲気ですが、その実態はアート・ファーマー直系のスタイルにマイルス・デイビスのエッセンスが仄かに漂うという、なかなかの好ましさです。

しかも、このアルバムはピアノトリオのリズム隊を従えたワンホーン編成ですから、そのあたりの「味」をじっくりと楽しむ事が出来ますので、これぞ私的愛聴盤♪

録音年月日は残念ながら不明ですが、発売は2001年、メンバーは、Vito Giordano(tp,flh)、Paolo Di Sabatino(p)、Carlos Puerto(b)、Horacio Hernandez(ds) となっています。また演目は有名スタンダード1曲を除いて、全て Vito Giordano のオリジナル曲ですが、これがなかなかの佳曲揃い――

01 The Time Was
 躍動的なリズム隊をバックに、哀愁のテーマメロディを柔らかく吹奏する Vito Giordano は、完全にアート・ファーマーの世界です♪ まあ、物真似と言われれば、それまでなんですが、憎めないものが確かにあります。
 またピアノの Paolo Di Sabatino もハービー・ハンコック直系のスタイルながら、失敗を恐れない張り切りには好感が持てますし、重さも兼ね備えたシャープなドラミングを披露する Horacio Hernandez も良いですねぇ。
 私のような者には、こういう演奏こそが愛しいのでした。

02 Blue Sea
 なんかイントロを失敗したようなスタートから、擬似ボサビートで演じられる泣きのテーマメロディが、たまりません♪ あれっ? 我国に似たようなニューミュージック曲があったのでは……。
 全体的には緩いリズム隊ゆえに緊張感が無い演奏なんですが、それが妙に心地良いという、些かトホホではありますが、Vito Giordano の歌心は素晴らしいと思います。

03 Minton's
 これが軽快なハードバップの名曲・名演になっています。調子が良くて「泣き」を含んだテーマメロディが、まず最高ですし、溌剌としたリズム隊と軽妙に歌う Vito Giordano のコンビネーションが、ジャズの楽しみに満ち溢れています。
 あぁ、こんなのブラインドフォールドに出されたら、アート・ファーマーと答えて疑心暗鬼になっちゃいますねぇ~♪ そして Paolo Di Sabatino のピアノもクールで熱い!

04 Letter For My Daughter
 一転して、スローで優しさ溢れる演奏です。
 もちろん Vito Giordano が書いたテーマメロディは、どっかで聞いたことがある雰囲気なんですが、やはり作曲能力と自己の演奏スタイルが見事に合致した証でしょうねぇ、地味ながら、キラリと光る出来栄えになっています。
 あぁ、素敵な歌心♪ いつまでも浸りきっていたい世界が現出されているのでした。

05 Body And Soul
 このアルバム中で唯一のスタンダード曲ですが、これを軽快なラテンビートで変奏するバンドの和みモードが、最高です。
 それは4ビートも巧みに織り交ぜた旨味のある展開ですから、これぞ、スリルと安らぎが交錯するモダンジャズ王道! 淀みなくアドリブしまくる Vito Giordano は、決して超一流ではありませんが、完全に私の好みです。
 また、いささか荒っぽいリズム隊も存在感があると思います。ピアノの Paolo Di Sabatino は自分で楽しんでいる雰囲気でしょうか? 本当に憎めない奴です。

06 Zagara
 これも Vito Giordano のオリジナルですが、ミディアムスローで展開される、なかなかの名曲です。もちろん自在に歌う Vito Giordano のトランペット(フリューゲル?)は絶品の泣き節♪ ややハスキーな音色にもグッときます。
 また、ちょっと聴きにはバラバラなリズム隊が、実は強力なグルーヴを弾き出しているあたりも侮れず、特に Paolo Di Sabatino が、ここではシダー・ウォルトンやビル・エバンスに憧れた本音を吐露♪ 全く微笑ましい限りです。

07 South Department
 最初っから痛快なハードバップを狙ってハズした雰囲気ではありますが、なんだかバラバラの演奏がひとつに収斂していく、1分過ぎあたりからのグルーヴが強烈です。
 あぁ、やっぱり狙っていたのかっ!? と気づいた時には、もう遅いというか、もう完全にこのバンドの虜になっているんですねぇ~♪ やっぱりこれは、痛快な演奏でした。特にリズム隊の頑張りは、やや走ってしまう部分もありますが、熱気がありますし、終盤での丁々発止はバンド全員で盛り上げていこうという意思表示が鮮明で、本当に気持ちが良いです。

08 Dry Land
 オーラスは1970年代のジャズ喫茶では御用達のような、アフロビートのモード曲ですが、テーマメロディの哀愁度は天下一品! しかも Vito Giordano がミュートで迫りますから、マイルス・デイビス味も強く、しかも王道路線で泣きまくりです♪
 あぁ、私はこんなジャズを聞きたかったという思いを強くします。

ということで、これも無名の隠れ盤ではありますが、見つけたら即ゲットを強くオススメ致します。ただし非常に「味」の世界の仕上がりです。正直、アート・ファーマーを聴いた方がマシと思われる皆様もいらっしゃるでしょう。

しかし、それでもこのアルバムは素敵です! と本日も断言モードで終了致します。

コメント
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