OLD WAVE

サイケおやじの生活と音楽

ノロノロと和む

2007-05-31 16:54:15 | Weblog

今日は、まあまあ安逸な日だったなぁ、と思っています。

ここんとこ、ゴタゴタが多かったし、仕事もメッチャ、忙しかったですから、たまには良いでしょう。

ということで本日は、のっそり聞いて和むという――

Far Away Lands / Hank Mobley (Blue Note)

モブレー大好き人間の私にしても、かなり後になって入手したアルバムですが、元々レコーディングされてから、かなり長い間オクラ入りしていた作品です。

つまり発売された時、ハンク・モブレーは既に第一線から引退していたわけで、時代は肝心のリーダーを置き去りにしていたという、現実の厳しさがあったのです。

しかし内容は、如何にもモブレー流というハードバップ! もちろんリアルタイムで流行のボサロックとかモード色が強い演奏も入っています。

録音は1967年5月26日、メンバーはドナルド・バード(tp)、ハンク・モブレー(ts)、シダー・ウォルトン(p)、ロン・カーター(b)、ビリー・ヒギンズ(ds) という、お馴染みの面々です――

A-1 A Dab Of This And That
 アタックの強いリズム隊のテンションを活かしたテーマ曲が、なんとも魅力です。もちろん作曲はハンク・モブレーですから、アドリブパートがシンプルなテーマメロディを凌駕する「モブレー節」の大洪水♪ リズム隊との相性もバッチリです。
 続くドナルド・バードも気心の知れた面々との共演だけあって、お約束のフレーズを巧みに使っておりますが、このあたりは、所謂マンネリという感がありますねぇ……。これは、まあ、ハンク・モブレーにも言えるわけですが……。
 しかし、それを救っているのが、シダー・ウォルトンを中心したリズム隊のハードのウネリ! 豪快で整合性もある煽りは強烈です。

A-2 Far Away Lands
 アルバムタイトル曲は黒人テナーサックス奏者のジミー・ヒースが書いた、なかなかに緊張感のあるテーマメロディです。
 アドリブパートでは、まずシダー・ウォルトンがアップテンポで疾走する大名演! ロン・カーターの図太いベースワークと歯切れの良いビリー・ヒギンズのシンバルとの、一蓮托生のノリが素晴らしいです♪
 するとフロント陣も煽られたような快演で、まずはドナルド・バードがモード系のフレーズを用いながら熱演すれば、ハンク・モブレーは悠々自適に自分だけの世界を作り出していきます。
 しかし、やっぱりここはリズム隊の強靭なグルーヴが、本当に最高だと思います。

A-3 No Argument
 ハンク・モブレーが作曲の上手さを知らしめるような、実に緊張感があるテーマを提示してくれます。
 しかしそれも、続く作者のアドリブの妙にはかないません。全くモブレーマニアが歓喜悶絶のフレーズとノリ♪ これがハンク・モブレーです。力んでいない姿勢も好ましいところ♪
 そしてドナルド・バードも、このセッションでは一番の快演かもしれません。
 またリズム隊の充実度は言わずもがなで、ビリー・ヒギンズは、ある意味でブルーノート・レーベルの真髄を敲き出している名ドラマーだと痛感! シダー・ウォルトンの気持ち良いピアノも、当たり前になってしまう力感があります。

B-1 The Hippity Hop
 ハンク・モブレーが作曲した擬似ジャズロックですが、ややオトボケ気味……。というか、リズム隊の頑張りにもかかわらず、アドリブパートが面白くないんですねぇ……。ホント、マンネリでしょうか。
 いやいや、こういう当たり前の事が、他のミュージシャンに出来るでしょうかねぇ……。ハンク・モブレーやドナルド・バードだからこそ、許される世界!?
 それに比べて、リズム隊は素直に凄いです。ツッコミ鋭いロン・カーターやビシバシのビリー・ヒギンズ!
 そしてラストテーマに入る直前のホーン陣のリフは、異様なカッコ良さがありますねっ♪

B-2 Bossa For Baby
 これもハンク・モブレーが作曲したボサロックの隠れ名曲だと思います。ちょっと哀愁をおびた魅惑のテーマメロディには、実にホノボノとさせられます♪
 もちろん、こういう曲になるとビリー・ヒギンズの妙技が冴えまくりで、リムショットとタムのコンビネーションやシンバルの歯切れの良さを聴いているだけで、満足させられてしまいます。
 肝心のハンク・モブレーは、幾分、朴訥とした音色と全てが「歌」のアドリブフレーズが魅力です。まあ、はっきり言うと、やや緊張感に欠けているところもあるんですが、やっぱり和みます♪
 それに比べるとドナルド・バードとシダー・ウォルトンは、やや不調気味……。
 ですから、ラストテーマが一層、楽しく響くのでした。

B-3 Soul Time
 ロン・カーターがベースを担当している所為でしょうか、基本のリフがマイルス・デイビスの「All Blues」にそっくりです。そんな思惑を秘めたテーマメロディの重さも意味深長でしょうか、作曲はドナルド・バードです。
 で、アドリブパートに入っては、モード系の印象が強いドナルド・バードに対して、ハンク・モブレーはR&B風のノリで勝負に出ていますが、途中に入る2管の絡みも良い感じです。
 それとシダー・ウォルトンの力感溢れる伴奏が、凄いです。ほとんどソロパートみたいなところまであるんですねぇ♪ アドリブに入っても、正統派ハードバップブルースからモードの展開まで、自由自在のノリは流石です!
 もちろんロン・カーターのベースは重く蠢き、ビリー・ヒギンズのドラムスはビシッと場を引き締めています。

ということで、けっして構えて聴くアルバムではありません。何気なく聴いて、ジャズの魅力というか、和みに浸るという感じでしょうか。

しかし、ここに収められた曲は、いずれもテーマメロディがカッコ良くて、素敵です。誰かがカバーしても良さそうなんですがねぇ~。

中身とはウラハラに、ジャケ写のハンク・モブレーは、何を悩んでいるのでしょうか?

コメント
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