11 年前の単行本.北村薫「朝霧」東京創元社(1998)
語り手《私》と噺家の春桜亭円紫師匠が登場するシリーズの最後.シリーズ第一作「空飛ぶ馬」は北村薫氏のデビュー作だったはず.当時十代だった《私》も大学を卒業し,出版社に勤めている.現在は三十台半ばのはず.このあたりでもう一作...なんて無理だろうか.
ちなみにこのシリーズのカバーは高野文子さんで,《私》がいつも同じようなポーズで登場するが,次第におとなになっていく.文庫のカバーも単行本を踏襲している.ただし,たとえばこの朝霧の場合,文庫のカバーではスコップがなかったりする.
シリーズは5冊で,これを含め3冊が短編集.創元クライムクラブというシリーズに入っているが,この本では (そしてたいていこのシリーズでは) クライムは何もない.枕だけでおわってしまう落語のようなだが.そこが良い.はっきり言って,この作家に関してはこのシリーズが最高だ.
「空飛ぶ馬」時代は覆面作家で,あのころネットで男性か/女性か 話題になったのを思い出す.
当時北村さんは高校の先生だったそうだが,初期の作品には小説を書く喜びが感じられる.
初版の美本.だれも開けたことがないのではと思われる状態.古書ではしおりひもの先っちょがぱさぱさにほぐれているものだが,先までページの中に平たくなっていた.
これで105円では,なんだか《私》さんに悪いみたい.
語り手《私》と噺家の春桜亭円紫師匠が登場するシリーズの最後.シリーズ第一作「空飛ぶ馬」は北村薫氏のデビュー作だったはず.当時十代だった《私》も大学を卒業し,出版社に勤めている.現在は三十台半ばのはず.このあたりでもう一作...なんて無理だろうか.
ちなみにこのシリーズのカバーは高野文子さんで,《私》がいつも同じようなポーズで登場するが,次第におとなになっていく.文庫のカバーも単行本を踏襲している.ただし,たとえばこの朝霧の場合,文庫のカバーではスコップがなかったりする.
シリーズは5冊で,これを含め3冊が短編集.創元クライムクラブというシリーズに入っているが,この本では (そしてたいていこのシリーズでは) クライムは何もない.枕だけでおわってしまう落語のようなだが.そこが良い.はっきり言って,この作家に関してはこのシリーズが最高だ.
「空飛ぶ馬」時代は覆面作家で,あのころネットで男性か/女性か 話題になったのを思い出す.
当時北村さんは高校の先生だったそうだが,初期の作品には小説を書く喜びが感じられる.
初版の美本.だれも開けたことがないのではと思われる状態.古書ではしおりひもの先っちょがぱさぱさにほぐれているものだが,先までページの中に平たくなっていた.
これで105円では,なんだか《私》さんに悪いみたい.