Sixteen Tones

音律と音階・ヴァイブ・ジャズ・ガラス絵・ミステリ.....

僕僕先生

2009-04-09 10:04:49 | 読書
仁木 英之著 新潮文庫 (2009/03)

*****内容 (「BOOK」データベースより)*****
舞台は中国唐代。元エリート県令である父親の財に寄りかかり、ぐうたら息子の王弁は安逸を貪っていた。ある日地元の黄土山へ出かけた王弁は、ひとりの美少女と出会う。自らを僕僕と名乗るその少女、実は何千何万年も生き続ける仙人で…不老不死にも飽きた辛辣な美少女仙人と、まだ生きる意味を知らない弱気な道楽青年が、天地陰陽を旅する大ヒット僕僕シリーズ第一弾!「日本ファンタジーノベル大賞」受賞作。
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2006/11刊行の単行本を面白そうと思いながら読みそびれていたので,文庫化を機会に購読.
芥川龍之介の杜子春は,親を見捨てることが出来ないので仙人になれなかったのだが (この小説では芥川のタネ本がちゃんと引用されている),こちらの王弁くんは仙人になりたいなどという高望みはしない.この小説での主人公と父親との距離感は,主人公と美少女仙人との距離感に負けずに面白い.

杜子春の仙人よりもっと,美少女仙人は人間好きらしい.それとも,主人公をからかっているうちに,次第に人間好きになったのかもしれない.芥川のはどことなく説教臭いが,こちらは軽くて,期待したとおり恋愛小説みたいに展開する.

蝗大発生に出向いて,蝗退治をしてやろうとして仙人は出ばなをくじかれる.人間の科学の進歩のためである.この仙人は時流に逆らって人間にちょっかいが出したいらしい.しかし時代とともに仙人の出番はなくなり,天界・仙界と人界の交渉が完全に切れたのが現代ということか.

このシリーズはすでにこれを含めて3冊出ていて,解説によれば著者のライフワークになるらしい.
でもこの第一作を超えるのは難しそう.
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