Sixteen Tones

音律と音階・ヴァイブ・ジャズ・ガラス絵・ミステリ.....

東大とバークリー

2009-04-30 08:00:40 | ジャズ
菊地 成孔・大谷 能生「東京大学のアルバート・アイラー―東大ジャズ講義録」歴史編,キーワード編 文春文庫 (2009/03)
の感想みたいな文章です.

単行本はメディア総合研究所から2005年に刊行.講義はその1年前.講師の東大生のからかいかたがワンパターンで鼻につく.授業料を払ってからかわれるのではいい面の皮だが,近頃の東大生は大人だから?笑って受け流しているようだ.

講師にとって東大は揶揄の対象だが,バークリーは劣等感の対象かなと思われる部分がある.コードでジャズを演るってバークリーから始まったんですか.ナベサダがバークリーから帰ってきたときのマスコミの騒ぎは覚えているが,今ではこの本キーワード編にある佐藤允彦の「自分の知ってることしか教えてなかった」という言のほうがもっともらしい.

脱線だが,ビブラフォンのゲイリー・バートンがバークリーの教務主任だ (だった?) そうだが,同じヴァイビストの浜田均さんがご自身のHP http://www.linkclub.or.jp/~hihamada/index.html でバークリー・メソッドに異議を唱えておられる.

本は歴史編とキーワード編の2冊に分かれている.近現代音楽史は12音平均律→バークリー→midi という流れだそうだが,midi については駆け足.

知らないことがいっぱい書いてあるのはキーワード編のほう.最後のほうは,「ジャズ理論とはこんなもの」という免疫がない人には絶対にちんぷんかんぷんであろう.
本文で分からなかった下方倍音が,おまけの本條晴一郎「聴覚研究の歴史と展望 - 音高近くの仕組みを探る」ですっきりする.要するに錯視ならぬ錯聴である.それでも分からないことに変わりはない. しかし何が学界で解明されていないか (何が分からないか) がはっきりする.さすが東大院生! でも,このおまけを付けてくれた著者も偉い!
本條さんは「ハラスメントは連鎖する 「しつけ」「教育」という呪縛 」(光文社新書 2007/04)の著者と同一人物と思う.

図,特に楽譜が小さいのが不満.索引もほしかった.
タイトルに名前が出ているアルバート・アイラーの影は薄い.
コメント (2)
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