前回4/4への補足.
ドレミを低いほうから ド0 レ0 ミ0 ファ0 ソ0 ラ0 シ0 ド1 レ1 ミ1 .....ド2 レ2 ミ2 ...等と書くことにする.すなわち,ドレミの後の数字はド0 から何オクターブ上にあるかを示す.
ド0の波に対して,純正律では,2倍波はド1,3倍波はソ1,4倍波はド2,5倍波はミ2,6倍波はソ2...の高さの音となる.2倍波・3倍波・4倍波・5倍波...は管の中の空気の振動や弦の振動に含まれている.だから管楽器や弦楽器ではド-ド,ド-ミ,ド-ソ等の響きが良い.
しかし平均律では,無理数を2の12乗根を物差しにしているので,ド1・ド2・ド3...は確かに2倍波・4倍波・8倍波...になるが,ソ1は3倍波からずれているし,ミ2も5倍波からずれている.
そこで,ずれているソ1・ミ2・ソ3...の高さの倍音もどきを計算機で作ってしまい,これらの「もどき倍音」を足し合わせて,楽器の音もどきを作ろうという作戦であった.
本日のふたつのグラフはいわゆる不協和曲線である.左端がドで,このドともうひとつの音を重ねる.第2音は右へ行くほど音が高くなる.めもりは半音に対応する.縦軸はドと第2音が重なったときの響きの「悪さ」で,曲線が下がっていれば第2音はドと良く響きあう.
上のグラフが平均律の不協和曲線である.ミ・ファ・ソ・ラの位置では曲線は確かに下がっているが,谷が最も深い位置とは微妙にずれている.ミのずれが相対的に大きい.
だから平均律のピアノはいまいち響きが悪い,ということになっている.
下のグラフは4/4のブログの計算結果に基づいて整数倍波の位置をずらした合成音の曲線である.ここでは全音のみならず半音の位置でも曲線が谷になり,しかもいちばん深い位置は平均律の音高とぴったり一致する.
ここまでの記述は
[1] W.A.Sethares ”Tuning, Timbre,Spectrum, Scale” 2nd. ed., Springer(2005).
[2] J.R. Pierce, "Attaining consonance in arbitrary scales", J. Acoust.Soc.Am. 40 (1966) 249.
を参考にした.
下のグラフでは,12音のほとんどの音が互いによく響くはずだが,こういう音律ではめりはりがなくて,演奏してもかえってつまらないんじゃないの...という気もする.
この項続きます.
ドレミを低いほうから ド0 レ0 ミ0 ファ0 ソ0 ラ0 シ0 ド1 レ1 ミ1 .....ド2 レ2 ミ2 ...等と書くことにする.すなわち,ドレミの後の数字はド0 から何オクターブ上にあるかを示す.
ド0の波に対して,純正律では,2倍波はド1,3倍波はソ1,4倍波はド2,5倍波はミ2,6倍波はソ2...の高さの音となる.2倍波・3倍波・4倍波・5倍波...は管の中の空気の振動や弦の振動に含まれている.だから管楽器や弦楽器ではド-ド,ド-ミ,ド-ソ等の響きが良い.
しかし平均律では,無理数を2の12乗根を物差しにしているので,ド1・ド2・ド3...は確かに2倍波・4倍波・8倍波...になるが,ソ1は3倍波からずれているし,ミ2も5倍波からずれている.
そこで,ずれているソ1・ミ2・ソ3...の高さの倍音もどきを計算機で作ってしまい,これらの「もどき倍音」を足し合わせて,楽器の音もどきを作ろうという作戦であった.
本日のふたつのグラフはいわゆる不協和曲線である.左端がドで,このドともうひとつの音を重ねる.第2音は右へ行くほど音が高くなる.めもりは半音に対応する.縦軸はドと第2音が重なったときの響きの「悪さ」で,曲線が下がっていれば第2音はドと良く響きあう.
上のグラフが平均律の不協和曲線である.ミ・ファ・ソ・ラの位置では曲線は確かに下がっているが,谷が最も深い位置とは微妙にずれている.ミのずれが相対的に大きい.
だから平均律のピアノはいまいち響きが悪い,ということになっている.
下のグラフは4/4のブログの計算結果に基づいて整数倍波の位置をずらした合成音の曲線である.ここでは全音のみならず半音の位置でも曲線が谷になり,しかもいちばん深い位置は平均律の音高とぴったり一致する.
ここまでの記述は
[1] W.A.Sethares ”Tuning, Timbre,Spectrum, Scale” 2nd. ed., Springer(2005).
[2] J.R. Pierce, "Attaining consonance in arbitrary scales", J. Acoust.Soc.Am. 40 (1966) 249.
を参考にした.
下のグラフでは,12音のほとんどの音が互いによく響くはずだが,こういう音律ではめりはりがなくて,演奏してもかえってつまらないんじゃないの...という気もする.
この項続きます.