藤谷 治,小学館文庫 (2016/10).
単行本刊行は 2013/10.
ちょっと気恥ずかしいタイトル.
世界でいちばん美しいのは,主人公の性格か,あるいは彼が作り出す音楽のことだろうか.名前が雪踏文彦で「せったくん」と呼ばれるのだが,この命名がうまい.音楽の天才,作曲に関してはすごい集中力,天真爛漫,無欲だが自分勝手で,生活能力はない.精神に障害はないらしい.
せったくんを幼馴染の目から描く前半はメルヘン的だが,せったくんに恋人ができ,その恋人の元交際相手 (津々見勘太郎) が登場する後半で,ストーリーが下世話に展開し,最後は悲劇に終わる.この幼馴染は音楽家になるはずだったのに,作家になってこの小説を書くという設定.
解説によると,「きらら」に連載したふたつの小説を合体させてひとつの長編に作り直したものだそうで,津々見勘太郎は独立したひとつの小説の主人公だったらしい.せったくんのような人間も,彼の作る音楽も絵空事だが,勘太郎のような人間はいくらでも存在する,著者にも勘太郎に深い思い入れがありそうだ.
ちょっと長すぎる.著者には「船に乗れ」という青春音楽小説もある.本屋で手に取ったことはあるが,分厚い文庫本3部作で読む気が起きない.
2014 年度織田作之助賞受賞作.
単行本刊行は 2013/10.
ちょっと気恥ずかしいタイトル.
世界でいちばん美しいのは,主人公の性格か,あるいは彼が作り出す音楽のことだろうか.名前が雪踏文彦で「せったくん」と呼ばれるのだが,この命名がうまい.音楽の天才,作曲に関してはすごい集中力,天真爛漫,無欲だが自分勝手で,生活能力はない.精神に障害はないらしい.
せったくんを幼馴染の目から描く前半はメルヘン的だが,せったくんに恋人ができ,その恋人の元交際相手 (津々見勘太郎) が登場する後半で,ストーリーが下世話に展開し,最後は悲劇に終わる.この幼馴染は音楽家になるはずだったのに,作家になってこの小説を書くという設定.
解説によると,「きらら」に連載したふたつの小説を合体させてひとつの長編に作り直したものだそうで,津々見勘太郎は独立したひとつの小説の主人公だったらしい.せったくんのような人間も,彼の作る音楽も絵空事だが,勘太郎のような人間はいくらでも存在する,著者にも勘太郎に深い思い入れがありそうだ.
ちょっと長すぎる.著者には「船に乗れ」という青春音楽小説もある.本屋で手に取ったことはあるが,分厚い文庫本3部作で読む気が起きない.
2014 年度織田作之助賞受賞作.