Sixteen Tones

音律と音階・ヴァイブ・ジャズ・ガラス絵・ミステリ.....

生きてみよ、ツマラナイと思うけど

2016-11-19 09:34:25 | 読書
小林 茂子,小学館 (2009/9).

Amazon の内容紹介
*****落語家一家に生まれた女性の半生記昭和の名落語家・三代目桂三木助の娘として、8年前に自死した四代目三木助の姉として……。ふたりの三木助とともに歩んできた小林茂子氏の自叙伝。書名は、立川談志が著者に贈った言葉。前書きも立川談志が執筆。*****

3代目桂三木助は高校・大学時代におもにラジオで聞いただけだが,話しぶりはよく覚えているし,名人としての世間的な評価が定着している.その息子の4代目は,テレビタレントという印象しか持っていなかったが,自死したときはおどろいた.鬱病だったそうだ.著者もその後鬱病にかかり,そのとき贈られた言葉が「生きてみよ...」である.

「三木助歳時記」のことをブログに書いたとき,Wikipedia の4代目の記述を読んだら,父親に劣らず小説的だった.そこでこの本を,ということになった.そうでなければ手が出ないタイトルだが,これはまた著者のブログのタイトルでもある.ブログから本に直した部分もあるようだ.文章が改行が多くブログ的で,深追いしないところが,いいような悪いような.

8割が弟・4代目のこと,残りが父・3代目と息子・桂三木男のことという感じ.
3代目は 50 歳すぎにできた子供たちを溺愛し,それが弟分だった小さんに受け継がれ,談志,志ん朝などにも伝染する.小さんが百万円の札束を持って,著者が就職したばかりの銀行にやって来たりする.姉 = 著者は本で読む限り真っ当だが,弟 = 四代目はこれでスポイルされたかもしれない.

ただし,著者の視点で書かれているので,4代目が何を考えていたかはあまりわからない.落語の芸のこともほとんど書かれていないから,4代目は単なる性格破綻者と思えてしまう.まぁ江戸っ子としては身内を褒めることを潔しとしないのだろう.この本の4代目像は,Wikipedia の4代目像と相補的に思えた.
コメント
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