左は和田誠さん描くライオネル・ハンプトン.和田誠,村上春樹「ポートレイト・イン・ジャズ」新潮文庫 (2001/1) による.
ライオネル・ハンプトン・オールスターズのスターダストを初めて聴いたのは高校生のときだった.ジャズ通と称する友達のところだったが,延々と続く演奏にうとうとしていたら,ライオネル・ハンプトンの登場でびっくりして目を覚まし,笑われた.
ウィリー・スミス (as), チャーリー・シェイヴァース(tp), コーキー・コーコラン (ts), スラム・スチュアート (b), トミー・トッド (p), バーニー・ケッセル (g) と,締まらない ? ソロが続き,10 分くらい経ったところでやおら御大が登場する.それと同時に場がきりりと引き締まるのだから,役者が違う.10 インチ LP だった気がするが違うかもしれない,4曲のうちハンプトンが登場するのは1曲だけだった.
スラム・スチュアートの弾きながらオクターブで歌うスタイルに接したのもこれが初めてのはずだが,寝ていて認識できなかったらしい.今聴くと,ソロの作文が上手い.続くバーニー・ケッセルはモダンだ.ヴァイブはいやにビブラートが細かく,フレーズがメカニカル.今どき誰もこんな弾き方は誰もできないだろう.
クリスマスが近づくとスターダストが話題になる.ハンプトン以来この曲ならビブラフォン...となったかどうかは知らないが,この鈴木章治とリズムエースの演奏でもたっぷり松崎龍生のピプラフォンが視聴できる.ミルト・ジャクソンの影響はなく,ラストに至る盛り上げ方はハンプトン流だが,ずっと洗練されている.