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H・C・ベイリー,水野恵 訳「ブラックランド,ホワイトランド」論創社 (論創海外ミステリ,ホームズのライヴァルたち 2022/12).
探偵役は医師でスコットランド・ヤードの顧問でもあるレジナルド (レジー) ・フォーチュン.イギリスでは長編 9 短編 84 の人気シリーズだという.本作は 1937 年の長編第2作.ちなみにドイルによるホームズ長編の第2作は 1890 の「四つの署名」である.
比較して,40 年の間にミステリが現代化したことを痛切に感じた.
探偵は厭な性格を隠そうとせず,ギリシャ語をひけらかして,無能で閉鎖的な田舎警察をいびったりする.「ホームズのライヴァルたち」というシリーズ名はちょっといただけないかも.
舞台はイギリス南海岸で,この地方では肥沃なプラックランドに住む先住民を,新住民が痩せたホワイトランドに追い出す,いう歴史が繰り返されている.こうした社会的背景とある種の倫理観がこの作品の特徴かも.最後はまぁまぁのハッピーエンド.
本筋に入る前に疲れてしまう小説が欧米には多いが,出だしは好調.だが後が長すぎた.
出番が少なかった人物が真犯人で,本格ものを期待したがハズレであった.探偵が殴られたり,穴に突き落とされたりするのが,活劇っぽくおもしろかった.
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