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板倉聖宣,仮説社(1987/10).
全 410 ページの大著.第1部 日本の科学を本当にきずいてきた魅力ある科学者を求めて,第2部 日本の教育を本当にきずいてきた魅力ある教育者を求めて の2部構成.第1部は井上円了,沢田吾一,狩野亨吉,長岡半太郎,小倉金之助,永海佐一郎,第2部は藤森良蔵についての1章と,渡辺敏に関連する3章で,三沢勝衛と藤森栄一も登場する.
著者があちこちに書いた文章を束ねた格好で,第2章は 12 ページ,最後の第10章は 84 ページと,長さはまちまちである.また,第5章の小倉金之助だけが「です,ます」調.
この中で16トンが名前を知っていたのは,井上,長岡,小倉,永海.幕末から明治生まれが多いが,この時代は学歴がなくても科学者になれ,大学教授になった人もいる.科学者として功なり名を遂げたのは長岡と小倉だと思う.あの環境で電子論にまで長岡を,筆者は高く評価しているが,お好きなわけではないようだ.著者は「外国語で論文を書いたりしている」「毛並みの良い」科学者がお嫌いなのだ.
井上円了は科学的に妖怪を否定したのだが,この章に平野威馬雄 平野レミの父が登場.妖怪肯定派として三枚目扱いされていて,すこし気の毒.藤森栄一は受験数学の神様.16トンもそのうち受験数学について,ここに書いてみたい.
巻末にここに登場する人物を中心とする年表.装幀 安野光雅...でも,この人は誰?
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