Sixteen Tones

音律と音階・ヴァイブ・ジャズ・ガラス絵・ミステリ.....

加田伶太郎全集

2008-05-25 06:57:43 | 読書
カットの文庫本を書店で見て,これなら買ったはずと書棚をあさった.というわけで手許のは,新潮社 福永武彦全小説V 1974.

全集とはいえ一冊で完結.文庫版のコマーシャルを転載すると
---推理小説の分野における、著者の業績を余すとこなく網羅した決定版!
十数年前に迷宮入りした密室殺人事件を、データのみから解決することはできるのか? 古典学者・伊丹英典氏の推理が冴える名作「完全犯罪」をはじめ、著者が“加田伶太郎”名義で発表した本格ミステリをすべて収録! これまでの版に付された序文、解説、月報の類にミステリエッセイ4篇も。---

ほとんど本格もので,出来はまあまあ.ぼくのベストは「温室事件」.「完全犯罪」は機械的なトリックがちょっと.しかしあくまで「品が良く」,しかものんびりした昭和の香りがして,読後感はとてもいい.

「序」「素人探偵誕生記」と付録の4編がおもしろい.覆面作家として書いたので,ペンネームは「だれだろうか」のアナグラム.伊丹英典はmeitanteiのアナグラム...これこそ最悪なねたばれかもしれない.著者はミステリを書くことを遊びと考えていたのは明らか.この対極が中井英夫などのシリアスな文学としてのミステリだろうか.
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