路地裏のバーのカウンターから見える「偽政者」たちに荒廃させられた空疎で虚飾の社会。漂流する日本。大丈夫かこの国は? 

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【政府】:AI戦略「司令塔」強化、OPの重要性も明記…有識者会議中間案

2024-12-21 05:00:00 | 【政策・閣議決定・予算・地方創生・能動的サイバー防御・優生訴訟・公権力の暴力】

【政府】:AI戦略「司令塔」強化、OPの重要性も明記…有識者会議中間案

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【政府】:AI戦略「司令塔」強化、OPの重要性も明記…有識者会議中間案

 AI(人工知能)の法規制などを検討する政府の有識者会議「AI制度研究会」の中間とりまとめ案の全容が判明した。政府の司令塔機能の強化や戦略の策定などを盛り込んだ法整備を進めるよう求めた。情報流通の適正性の確保に向け、発信者情報を明示するデジタル技術「オリジネーター・プロファイル(OP)」の重要性も明記した。

首相官邸
首相官邸

 中間とりまとめは近く公表し、生成AIに関する法案などに反映させる。とりまとめ案では、リスク対応と技術革新促進の両立を図る方針を強調。司令塔機能の強化で、研究開発から活用まで一体的な施策を推進するよう促し、安全・安心な研究開発・活用のための戦略が必要だとした。 

 技術的対応では、OPを含む来歴証明や、AIが生成したことを示す電子透かしを例示した。AIがサイバー攻撃に悪用される事例など安全保障に関わるリスクに触れ、関係省庁による対応の検討を要請した。

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 元稿:讀賣新聞社 朝刊 主要ニュース 政治 【政策・財務省・文部科学省・残業代の代わりとして公立学校の教員の給与に上乗せして支給する「教職調整額」】  2024年12月21日  05:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【政府・与党】:北陸新幹線延伸ルート、年内の決定は見送り…地下水影響や財源負担に懸念の声が根強く

2024-12-20 05:00:10 | 【政策・閣議決定・予算・地方創生・能動的サイバー防御・優生訴訟・公権力の暴力】

【政府・与党】:北陸新幹線延伸ルート、年内の決定は見送り…地下水影響や財源負担に懸念の声が根強く

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【政府・与党】:北陸新幹線延伸ルート、年内の決定は見送り…地下水影響や財源負担に懸念の声が根強く

 北陸新幹線の敦賀―新大阪間の延伸を巡り、政府・与党は当初目指していた年内の詳細ルート決定を見送る方向で調整に入った。延伸先の自治体で工事に伴う地下水への影響や財源負担などを懸念する声が根強く、丁寧な説明を求める意見が出ていた。

石川県内を走行する北陸新幹線(今年3月)
石川県内を走行する北陸新幹線(今年3月)

 政府・与党では、現在検討されている京都市内の駅位置が異なる3案から2案に絞ったうえで、検討を続ける選択肢が浮上している。2025年度末としていた着工時期の目標は変えず、引き続き地元の理解が得られるよう調整を続ける。

 元稿:讀賣新聞社 朝刊 主要ニュース 政治 【政策・政府・与党・北陸新幹線の敦賀―新大阪間の延伸計画】  2024年12月20日  05:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【自公・与党】:北陸新幹線の延伸計画、進め方に疑いの目「ご自身の首絞めることになるのでは」整備委員会の内幕

2024-12-02 04:45:30 | 【政策・閣議決定・予算・地方創生・能動的サイバー防御・優生訴訟・公権力の暴力】

【自公・与党】:北陸新幹線の延伸計画、進め方に疑いの目「ご自身の首絞めることになるのでは」整備委員会の内幕

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【自公・与党】:北陸新幹線の延伸計画、進め方に疑いの目「ご自身の首絞めることになるのでは」整備委員会の内幕

 北陸新幹線を新大阪まで延伸する計画を巡り、自民党と公明党の与党プロジェクトチーム(PT)が年内の詳細ルート決定を急いでいる。現行の「小浜ルート」決定時から建設費や工期想定が大幅に上振れする中でルート見直しを求める声が強まっているが、PTは「すでに決まったこと」と一蹴する。

 折しも11月29日、自民党1強が崩れた国会では、「熟議」を指向する石破茂首相(党総裁)が「真摯(し)に、謙虚に、誠実に」との政治姿勢を強調した。最大5兆円超の国家プロジェクトを巡り、国民へ情報を広く公開しないまま与党の一部議員のみが推し進める旧来の手法に対し、疑いの目が向けられている。

 11月20日の与党整備新幹線建設推進PT敦賀-新大阪間整備委員会(委員長・西田昌司参院議員)は、委員の人数を半減させた中で開かれた。

 元稿:京都新聞社 朝刊 主要ニュース 政治 【政策・自公与党・北陸新幹線を新大阪まで延伸する計画】  2024年12月02日  04:45:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。
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【卓上四季・12.02】:石破さん、行動を

2024-12-02 04:03:30 | 【政策・閣議決定・予算・地方創生・能動的サイバー防御・優生訴訟・公権力の暴力】

【卓上四季・12.02】:石破さん、行動を

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【卓上四季・12.02】:石破さん、行動を

 初冬の日高路を車で走った。太平洋に陽光がきらめき、遠くには白く輝く日高山脈。牧場でサラブレッドがゆったりとした時を過ごす。癒やされる風景の所々に心が痛む場所が見えた。日高線鵡川―様似間の廃線跡である

 ▼護岸工事に要する巨額の費用がJR北海道や自治体では賄えなかった。国の責任で何とかできなかったのかとの思いが廃止から3年8カ月の今も消えぬ

 ▼残る赤字路線の展望も開けない道内の鉄路。この人に期待できるだろうか。石破茂さんである。2017年4月、JR北海道問題を特集した「週刊プレイボーイ」に載ったインタビューが興味深い

 ▼「雪も多い所を重いディーゼルカーがぶっ飛ばす北海道はそりゃ線路が傷む」。リニア新幹線建設資金の「一部でも北海道を救うスキームに回せないか」「赤字の道路を廃止したという話は聞かない。そもそも鉄道が黒字にならないといけないと言っているのは日本だけ」。どれも正論だ

 ▼当時、本紙夕刊コラムは発言を引用し「石破さん、政治家なら言いっ放しでは済まされない」とJR救済へ行動を起こすよう促した。そこから首相候補の存在感も生まれるのでは、と

 ▼やる気次第で行政と国会を動かせる地位に就いた。少数与党でも真心を持ち鉄路存続への熱意を語れば、野党の納得と共感は得られるのではないか。 

 元稿:北海道新聞社 主要ニュース 社説・解説・コラム 【卓上四季】  2024年12月02日  04:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。
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【社説②・11.25】:強制不妊補償法 被害者の救済漏れなく

2024-11-25 04:03:40 | 【政策・閣議決定・予算・地方創生・能動的サイバー防御・優生訴訟・公権力の暴力】

【社説②・11.25】:強制不妊補償法 被害者の救済漏れなく

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説②・11.25】:強制不妊補償法 被害者の救済漏れなく 

 旧優生保護法に基づき不妊手術を強制された被害者を救済する補償法が先月成立した。
 
 来年1月17日に施行され、被害者は都道府県に補償金を請求できるようになる。
 各地の被害者が起こした一連の訴訟も名古屋高裁で最後の和解があり、終結した。
 1948年に成立した旧法は「不良な子孫の出生を防止する」との目的を掲げて96年まで半世紀にわたり維持された。
 障害などを理由に不妊手術を強いられた人は約2万5千人に上るとされ、戦後最大の人権侵害と言われる。その全面救済にようやく道が開かれた。
 命に優劣をつけられた被害者の悔しさと痛苦を国と自治体はしかと受け止め、漏れのない救済に力を尽くさねばならない。
 旧法について最高裁は7月、「個人の尊厳と人格の尊重の精神に著しく反する」として違憲と断じた。これを受け、裁判に参加していない人も救済するためにできたのが補償法だ。
 手術を受けた本人に1500万円、配偶者に500万円を補償する。本人や配偶者が亡くなった場合は遺族が受け取れる。人工妊娠中絶の被害者には一時金200万円を支給する。国会と政府の謝罪も明記した。
 2019年にできた一時金の支給制度は金額が320万円と十分と言えず中絶は対象外で、おわびの主語は「われわれ」と曖昧だった。補償法は、より被害実態を踏まえたと言える。
 最大の課題が被害者への補償をどう行き渡らせるかだ。補償を請求しようにも、偏見を恐れ名乗り出られない人もいよう。
 一時金ではプライバシー保護を理由に支給対象であることを本人に知らせないケースが多かった。請求は低調で、被害者が3200人超と全国最多の北海道も約100件に過ぎない。
 補償の周知を徹底する必要がある。職員が本人や親族に会い一時金の請求を促す取り組みをする県もある。各都道府県はプライバシーに配慮しつつ、個別通知を含め踏み込んだ対応を検討すべきだろう。
 国が長く被害を放置したため被害者は高齢化し、亡くなった人も多数に上ると思われる。手術や中絶の証明が困難になっている被害者も多いに違いない。
 責任は国にある。証拠が不十分でも幅広く被害認定するよう都道府県に伝えるべきだ。
 補償法の成立に際し、衆参両院はあらゆる偏見と差別の根絶を誓った決議を可決した。
 個人の尊厳が尊重される社会の実現に向けた不断の取り組みが求められている。
 
 元稿:北海道新聞社 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2024年11月25日  04:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。
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【社説②・11.23】:経済対策決定 惰性でバラマキを続けるのか

2024-11-23 05:00:40 | 【政策・閣議決定・予算・地方創生・能動的サイバー防御・優生訴訟・公権力の暴力】

【社説②・11.23】:経済対策決定 惰性でバラマキを続けるのか

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説②・11.23】:経済対策決定 惰性でバラマキを続けるのか

 政策効果を吟味せず、規模ありきで歳出を膨らませたと言わざるを得ない。日本の成長力を高める施策にこそ、資金を重点的に投じるべきだ。 

 政府は、物価高への対処などを掲げた経済対策を閣議決定した。これを受けた2024年度補正予算案は、一般会計からの支出が13・9兆円程度で、前年度補正予算の13・1兆円を上回る。

 民間支出を含めた事業規模は39兆円程度に上るという。

 日本経済は、賃金と投資がともに増える「成長型経済」へと転換を図るべき局面にあり、資金は戦略的に使っていく必要がある。

 コロナ禍の影響も薄れ、景気が緩やかな回復を続ける中、政府自らが昨年6月、経済成長と財政健全化を両立させるために、「歳出構造を平時に戻していく」との方針を決めていたはずだ。

 それにもかかわらず、予算規模が膨らんだのは、石破首相が、先の衆院選の期間中に内容の吟味がないまま、前年度を上回る規模にすると言及したことが大きい。

 その結果、必要な施策を精査して積み上げたものではなく、はじめから規模ありきで、バラマキ型の補正予算案となった。

 巨額な支出に見合う効果が乏しく、惰性で続けている施策の典型が、住民税の非課税世帯への3万円の給付金だろう。コロナ禍以降、この種の給付金は何度も繰り返され、昨年秋の対策でも7万円の給付金が盛り込まれた。

 住民税の非課税世帯は、65歳以上の世帯が大半を占め、金融資産が多い高齢者にも恩恵が及ぶ。むしろ現役世代への支援を手厚くすべきだとの声も根強い。

 電気・ガス代への補助金制度を、来年1月から3月まで再開し、年内を期限としていたガソリン補助金を延長することも問題だ。

 こうした補助制度には既に、総額11兆円を超える予算が充てられた。財政を圧迫するだけではなく脱炭素の流れにも逆行しよう。

 物価高を克服して、日本経済を強化していくためには、脱炭素やデジタル化、人手不足を解消する省力化といった重要分野に、資金を活用していくことが大切だ。

 AI(人工知能)・半導体分野へは、30年度までに10兆円以上の支援を行うという。リスクを精査しながら着実に進めてほしい。

 対策には、年収103万円を超えると所得税がかかる「103万円の壁」の見直しも明記した。人手不足の緩和などの利点と財源確保策のバランスを考慮し、適切なあり方を検討してもらいたい。

 元稿:讀賣新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2024年11月23日  05:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【石破政権】:低所得世帯へ3万円を目安に一時金、子ども1人当たり2万円加算…総合経済対策を閣議決定

2024-11-22 22:39:30 | 【政策・閣議決定・予算・地方創生・能動的サイバー防御・優生訴訟・公権力の暴力】

【石破政権】:低所得世帯へ3万円を目安に一時金、子ども1人当たり2万円加算…総合経済対策を閣議決定

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【石破政権】:低所得世帯へ3万円を目安に一時金、子ども1人当たり2万円加算…総合経済対策を閣議決定 

 政府は22日の臨時閣議で、物価高への対応などを柱とする総合経済対策を決定した。2024年度補正予算案に計上する一般会計の支出は13・9兆円程度、民間の支出を含めた事業規模は39・0兆円程度に上る。23年度に策定した経済対策を上回る規模とし、低所得世帯への給付金や電気・ガス代の補助などで暮らしを支える姿勢を強調した。

総合経済対策の閣議決定後、取材に応じる石破首相(22日午後、首相官邸で)=源幸正倫撮影
総合経済対策の閣議決定後、取材に応じる石破首相(22日午後、首相官邸で)=源幸正倫撮影

 石破首相は22日、首相官邸で記者団に「現在、将来の賃金、所得が増えることが必要だ。経済対策を速やかに実行に移すべく、補正予算の早期成立を期す」と述べた。28日召集の臨時国会で財源の裏付けとなる補正予算案の成立を目指す。

 

政府は22日の臨時閣議で、物価高への対応などを柱とする総合経済対策を決定した。2024年度補正予算案に計上する一般会計の支出は13・9兆円程度、民間の支出を含めた事業規模は39・0兆円程度に上る。23年度に策定した経済対策を上回る規模とし、低所得世帯への給付金や電気・ガス代の補助などで暮らしを支える姿勢を強調した。

 石破首相は22日、首相官邸で記者団に「現在、将来の賃金、所得が増えることが必要だ。補正予算を速やかに編成し、各党の協力を得ながら早期成立を目指す」と述べた。28日召集の臨時国会で財源の裏付けとなる補正予算案の成立を目指す。

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首相官邸

 経済対策の3本柱では、〈1〉「日本経済・地方経済の成長」で5・8兆円程度、〈2〉「物価高の克服」で3・4兆円程度、〈3〉「国民の安心・安全の確保」で4・8兆円程度を一般会計から支出する。国・地方と財政投融資を合わせた財政支出は21・9兆円となる。

 物価高の影響を受けやすい低所得世帯への支援として、住民税非課税世帯を対象に3万円を目安に一時的な給付金を支給し、子育て世帯には子ども1人当たり2万円を加算する。

 家庭の電力使用量が多くなる25年1~3月使用分の電気・ガス料金を補助する。年内を期限としていたガソリン補助金も、段階的に縮小して25年1月以降も継続する。

 経済産業省によると、来年1~2月は一般的な家庭の補助は電気代が月額で約1000円、都市ガス代は約300円となる。3月はこの半分程度となる。寒さが厳しく光熱費が高くなる1~2月を手厚くした。

 AI(人工知能)・半導体分野に30年度までに10兆円以上の公的支援をする。能登半島地震など自然災害で被災した社会基盤や病院などの復旧費用なども手当てする。AI技術を活用した偽情報への対応や、社会問題となっている「闇バイト」による強盗、詐欺などへの対策も盛り込んだ。

 内閣府は今回の経済対策で、実質国内総生産(GDP)を3年程度にわたって年1・2%程度押し上げると試算した。電気・ガス代などの負担軽減策によって、25年2~4月の消費者物価指数を平均で0・3%程度押し下げるとした。

 経済対策の策定にあたり、自民、公明、国民民主の3党の政調会長は5回にわたり協議を重ねた。3党で合意した年収103万円を超えると所得税が課される「103万円の壁」の引き上げについては、「25年度税制改正の中で議論して引き上げる」と明記した。ガソリン税を下げる「トリガー条項」の凍結解除を含むガソリン減税については「自動車関係諸税全体の見直しに向けて検討し、結論を得る」と記した。

 元稿:讀賣新聞社 主要ニュース 政治 【政策・石破政権の総合経済対策・「年収103万円の壁」の引き上げ】  2024年11月22日  22:39:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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《社説①・11.20》:優生訴訟が終結 被害の回復はこれからだ

2024-11-20 09:31:50 | 【政策・閣議決定・予算・地方創生・能動的サイバー防御・優生訴訟・公権力の暴力】

《社説①・11.20》:優生訴訟が終結 被害の回復はこれからだ

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:《社説①・11.20》:優生訴訟が終結 被害の回復はこれからだ 

 宮城県の女性が最初に裁判を起こしてから6年半余。旧優生保護法下の不妊手術の被害をめぐり、各地で係属中だった訴訟は、すべて和解が成立した。

 けれど、それで被害の回復が済んだわけではない。裁判の原告のほかに多くの被害者がいる。声を上げられず、置き去りにされることがないよう、政府は補償の責任を果たさなければならない。

 裁判は2018年以降、全国の12地裁・支部に39人が起こした。先行した5件について最高裁はこの7月、大法廷の判決で、旧法を違憲と断じ、損害賠償を国に命じる統一判断を示している。

 残る訴訟について、原告側は政府と和解の合意を結び、手続きが順次進んでいた。並行して、被害者への補償法が先月の臨時国会で与野党の議員立法により成立し、来年1月に施行される。

 不妊手術を受けた本人に1500万円、配偶者に500万円の補償金を支払うほか、妊娠中絶を強いられた人に一時金として200万円を支給する。被害当事者が自ら訴えを起こし、旧法の改定から30年近くを経てようやく、補償の枠組みができた。

 とはいえ、壁はなお残る。被害者側が申請する期限を施行から5年と区切ったほか、当事者への個別の通知について都道府県に判断を委ねたことも、被害者を埋もれさせる懸念がある。

 「不良な子孫」の出生防止を掲げ、障害者らに不妊手術や中絶を強いた旧法は、戦後半世紀近くにわたって存続した。根強い偏見や差別を恐れて、声を上げられない当事者は少なくない。

 また、それと知らずに手術を受けさせられ、本人が被害に気づいていない場合もある。手厚い支援の態勢を整えるとともに、当事者に補償を受ける権利があることを知らせなければならない。

 旧法による人権侵害は、政府のかけ声の下、優生政策を実際に担った都道府県にも重大な責任がある。長野県も例外でない。個人が特定できる場合は、プライバシーに最大限配慮しつつ本人に伝える手だてを考えるべきだ。

 裁判の和解とは別に、原告側と政府は、第三者機関による調査・検証を柱とする基本合意を結んでいる。被害の実態の解明はいまだ尽くされていない。

 被害者の尊厳を回復し、差別を根絶していくには、優生政策を後押しした社会のあり方を含め、徹底した検証が不可欠だ。それもまた、政府だけでなく各都道府県が取り組むべき責務である。

 元稿:信濃毎日新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2024年11月20日  09:31:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【社説・11.17】:地方創生再起動 まず集権的発想を改めよ

2024-11-19 06:03:10 | 【政策・閣議決定・予算・地方創生・能動的サイバー防御・優生訴訟・公権力の暴力】

【社説・11.17】:地方創生再起動 まず集権的発想を改めよ

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説・11.17】:地方創生再起動 まず集権的発想を改めよ 

 この10年で地方創生のスローガンは色あせた。これまでと同じ手法で再起動しても、成果は期待できない。

 石破茂首相は、今後10年間に取り組む地方創生の基本構想を策定する「新しい地方経済・生活環境創生本部」を内閣官房に設置した。内閣の最重要課題とあって、全閣僚が名を連ねる。

 首相が初代担当相に就いた2014年以降、国は地方創生で思い描いた成果を上げられなかった。とりわけ人口の東京一極集中には歯止めがかからない状況が続く。

 再起動するなら、失敗の原因や教訓を整理した上で本部を発足させ、新しい戦略に着手するのが当然だろう。

 残念ながら、過去10年の総括は十分にできていないようだ。本部初会合で首相は「反省をきちんとしないと展望はない」と述べた程度で、具体的に語らなかった。

 今後は有識者を交えて、新たな地方創生の「基本的考え方」を年内にまとめる。

 初会合では5項目のポイントが示された。(1)安心して働き、暮らせる地方の生活環境の創生(2)東京一極集中のリスクに対応した人や企業の地方分散(3)付加価値創出型の新しい地方経済の創生-などだ。

 これでは過去の延長線の印象しか持てない。地方創生全体の目標も曖昧である。

 甚だ疑問なのは、新たな地方創生の目標や手段が決まらないうちに、地方に配る交付金を増やす方針が決まっていることだ。当初予算ベースで倍増するという。

 しかも年内にまとめる経済対策に絡め、前倒しで支出すると首相は明言している。その対象は地場産業から医療、介護、交通、デジタル化などあらゆる分野が想定されているようだ。

 10年前、地方創生の事業に数値目標を設定し、検証を強く求めたのは首相である。政策効果を検証できない支出が増えるなら「ばらまき」の批判は免れない。

 地方創生の手段も従来と変わらない。今回もまた「好事例の横展開」を始めようとしている。ある地域のうまくいった取り組みを他地域に展開すれば、日本中が良くなるという考えだ。

 ここに地方創生の限界を見る。国の価値観で地方を画一的に捉えるのは、まさに中央集権的な発想である。

 評価される取り組みは、その地域に暮らす人々と風土の上に成り立つ。試行錯誤の末に実を結んだ事例もあるだろう。どこにでも簡単に移植できるわけではない。

 地方の暮らしやなりわいの将来像は自治体や住民、事業者が主体的に考えることだ。地方自治を尊重する理念を地方創生に求めたい。

 国が好事例の収集よりも力を入れるべきは、規制の見直しや財政支援をはじめ、地方が創意工夫を発揮しやすい環境をつくることである。国は国にしかできないことに徹すべきだ。

 元稿:西日本新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2024年11月17日  06:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【社説②・11.12】:強制不妊救済法 長い苦しみへの補償を確実に

2024-11-13 05:00:20 | 【政策・閣議決定・予算・地方創生・能動的サイバー防御・優生訴訟・公権力の暴力】

【社説②・11.12】:強制不妊救済法 長い苦しみへの補償を確実に

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説②・11.12】:強制不妊救済法 長い苦しみへの補償を確実に

 「公益」の名のもと、人の命に優劣をつけた事実は、あまりに重大だ。国や自治体は被害者の苦しみと 真摯 しんし に向き合い、確実な救済に力を尽くさなければならない。 

 旧優生保護法で不妊手術を強制された被害者を救済するため、国が補償金を支払うことを定めた強制不妊救済法が成立した。

 手術を受けた本人に1500万円、その配偶者に500万円を支払うほか、人工妊娠中絶の手術を受けた人にも200万円を支給するという内容だ。

 1948年に施行され、96年まで存続した旧法は、「不良な子孫の出生防止」を目的に、障害や遺伝性疾患を理由とする不妊手術を認めていた。都道府県や医師が適否を判断し、約2万5000人が手術を強いられたとされる。

 旧法を巡って被害者が起こした訴訟で、最高裁は今年7月、個人の尊厳や法の下の平等を定めた憲法に違反すると判断した。この判決を受け、裁判に参加していない人たちも救済するために作られたのが、今回の新法である。

 被害者の中には、偏見を恐れて今も声を上げられない人がいるだろう。障害などの事情で、救済法の内容が十分に伝わっていない可能性もある。国や自治体は、対象となる人たちに向け、丁寧に情報を発信することが大切だ。

 一部の被害者については、手術記録などの資料が都道府県に残っている。このため、訴訟の原告弁護団は、プライバシーに配慮しながら、行政から対象者に個別の通知を出すよう求めている。

 個別の通知には、戸籍を管理する市町村や病院、被害者が生活する障害者施設などとの連携が欠かせない。被害者は高齢化が進んでいる。各自治体で、適切な通知の方法を模索することが重要だ。

 この問題では2019年、国が被害者に320万円の一時金を支払う制度が作られている。

 今回の救済法により、一時金に加えて、新たに補償金も受け取れるようになる。すでに一時金を受け取った人が、自分は補償の対象外だと誤解しないよう、自治体などで周知に努めてもらいたい。

 旧優生保護法に基づく不妊手術の強制は、戦後最大の人権侵害だと言われる。今後、同じような過ちを繰り返さぬよう、歴史に刻まねばならない。

 国は今後、過去の手術や差別の実態を検証するという。被害者を苦しめた旧法の廃止まで、なぜこれほど長い時間を要したのか。社会全体で振り返る必要がある。

 元稿:讀賣新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2024年11月12日  05:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

 

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【金口木舌・11.13】:公権力の暴力

2024-11-13 04:00:10 | 【政策・閣議決定・予算・地方創生・能動的サイバー防御・優生訴訟・公権力の暴力】

【金口木舌・11.13】:公権力の暴力

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【金口木舌・11.13】:公権力の暴力 

 ハンセン病を回復した人への偏見や差別意識を解消するための展示が6月から7月にかけて県立図書館であった。療養所で暮らす回復者の作った作品の一つ、レース編みの産着に目がとまった。毛糸編みの小さな靴が添えられていた

 ▼旧優生保護法下で国が強制不妊手術を強いた負の歴史を伝えるパネルもあった。真っ白な産着に子どもを失った絶望感がしみこんでいるようで胸が痛んだ

 ▼子を産むか産まないか、いつ・何人子どもを持つかを自分で決める権利「リプロダクティブ・ライツ」は誰もが持っている。そこに国家・公権力が介入する暴力を許す法律は最近まで存在した

 ▼許しがたい暴力はここにも。日本保守党代表で作家の百田尚樹氏が、ユーチューブ番組で少子化対策を議論した際に「小説家のSF」と前置きした上で「30歳超えたら子宮摘出」と発言した。出産年齢のリミットを伝えたかったと釈明した。身勝手な暴論だ

 ▼百田氏の率いる同党は衆院選で政党要件を満たした。「発言を撤回して謝罪する」と述べたが、国政に関わる以上、「小説家のSF」では済まされない。政治家の資質は言葉にこそ表れる。

 元稿:琉球新報社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【金口木舌】  2024年11月13日  04:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【社説①・11.06】:経済対策 予算のバラマキに陥らないか

2024-11-07 05:00:40 | 【政策・閣議決定・予算・地方創生・能動的サイバー防御・優生訴訟・公権力の暴力】

【社説①・11.06】:経済対策 予算のバラマキに陥らないか

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説①・11.06】:経済対策 予算のバラマキに陥らないか

 自民、公明の与党と国民民主党の政策協議は、予算のバラマキに陥ることはないのか。国民民主は、財源対策にも責任を持つ覚悟はあるのか。 

 与党と国民民主は、新たな経済対策と税制改正などについて協議を始めることで合意した。最大の焦点が、年収が103万円を超えると所得税が課される「103万円の壁」の解消だ。

 パートやアルバイトなどが働く時間を抑える要因である「年収の壁」の一つとされている。

 国民民主は衆院選で、働く人の「手取りを増やす」ことを公約に掲げ、「178万円」に引き上げるべきだと主張している。

 103万円となった1995年と比べ、最低賃金が1・73倍に伸びたことを根拠に挙げている。

 物価が上昇しているのに、約30年前と課税最低限が同額では弊害が大きい。人手不足の現状では引き上げ自体は検討に値しよう。

 ただし、具体的な引き上げ幅については考慮すべき点が多い。

 国と地方の税収は7兆~8兆円程度減るとされる。その減収分を国債発行で賄えば、将来世代にツケを回す結果になる。

 年収が多いほど減税額が大きくなることを懸念する声もある。減税額は年収200万円だと8・6万円だが、800万円ならば22・8万円と試算されるためだ。

 国民民主は財源について、減税によって消費意欲が高まり、税収も増えると主張するが、楽観的過ぎる。増収分があれば、他に振り向けるべき分野は多い。財政健全化も、その一つである。

 また、年収の壁は、「103万円」だけではない。企業規模などに応じて社会保険料がかかる「106万円」や「130万円」の方が手取り額に大きく影響する。制度全体を見渡して、時間をかけて議論を進めることが大切だ。

 約54円のガソリン税のうち、約25円分の課税を止め、価格を抑制するトリガー条項の発動の是非も論点だ。国と地方で計1・5兆円の減収となるほか、ガソリン消費が増え、脱炭素化に逆行する。

 経済対策や税制は本来、財源対策を含め、政策全体のバランスを考慮して進めるべきものだ。

 国民民主が、単に少数与党の弱点を利用して、自党の要求の実現だけを図ろうというのならば、無責任というほかない。

 また、石破首相が「部分連合」と称する枠組みで自らの延命のために譲歩を重ねれば、第1党が第4党に振り回される結果となり、政局を不安定にするだけだ。

 元稿:讀賣新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2024年11月06日  05:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【社説・11.03】:万博まで6カ月/未解決の課題が多すぎる

2024-11-03 06:00:00 | 【政策・閣議決定・予算・地方創生・能動的サイバー防御・優生訴訟・公権力の暴力】

【社説・11.03】:万博まで6カ月/未解決の課題が多すぎる

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説・11.03】:万博まで6カ月/未解決の課題が多すぎる 

 2025年4月13日の大阪・関西万博開幕まで6カ月を切った。会場となる大阪市の人工島・夢洲(ゆめしま)にはシンボルの木造巨大施設「リング」が完成したが、出展する161の国・地域の多くは内容をまだ示していない。一部のパビリオンは開幕までに完成しない可能性がある。

 前売り券の販売枚数は目標の半分を超えた。ただその大半は割り当てられた企業による購入とみられる。世論調査では「万博に行きたい」との回答は4分の1に満たず、社会全体に機運が高まっているとは言い難い。

 一方で、1日最大22万7千人の来場客を見込む大型事業として課題は山積する。政府や大阪府・市、日本国際博覧会協会は確実に解決していかなければならない。

 一つは混雑だ。会場に直結する鉄道は地下鉄1路線だけで、乗車率は最大140%を見込む。府市は企業に時差出勤や在宅勤務の実施を呼びかけているものの、協力事業所は現段階で目標の2割弱にとどまり、実効性は見通せない。

 大規模災害時には会場の人工島の孤立が懸念される。協会は最大15万人が3日間孤立する想定で食料の備蓄などを進めているが、パビリオンも含め来場者全てが安全に避難できる場所を本当に確保できるのか。

 3月には地中から発生したメタンガスが爆発し、建物の天井や床が破損する事故が起きた。協会は換気強化など再発防止策を講じたが、廃棄物を埋め立てた人工島では今後もガス発生の可能性は否めない。安全確保を最優先に万全の対策を求める。

 会場整備費は現段階で当初計画の1・9倍の2350億円に膨れ上がっている。予算管理が甘すぎる。対策として協会は今年3月に最高財務責任者を置いたが、本来ならもっと早く取り組まねばならない話だ。

 元日の能登半島地震では復旧を優先し、万博の開業延期を求める世論が高まった。豪雨災害も重なり被災地の苦境は深まるが、国際的な信用を考えればもはや延期は難しい。

 だからといって、開幕ありきで突き進むのは許されない。国家事業と位置づける以上、協会や地元任せにせず、政府が主体的に課題解決に関わるべきだ。

 元稿:神戸新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2024年11月03日  06:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【大阪・関西万博】:「万博中のIR工事中断を」 万博協会が大阪府・市に要求 騒音など懸念

2024-08-03 13:53:30 | 【政策・閣議決定・予算・地方創生・能動的サイバー防御・優生訴訟・公権力の暴力】

【大阪・関西万博】:「万博中のIR工事中断を」 万博協会が大阪府・市に要求 騒音など懸念

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【大阪・関西万博】:「万博中のIR工事中断を」 万博協会が大阪府・市に要求 騒音など懸念

 2025年大阪・関西万博(4月13日~10月13日)の会場となる大阪市の人工島・夢洲(ゆめしま)で、30年秋ごろの開業を目指すカジノを含む統合型リゾート(IR)について、万博を運営する日本国際博覧会協会(万博協会)が会期中の建設工事を見合わせるよう大阪府の吉村洋文知事に求めていたことが3日、分かった。複数の関係者が取材に明らかにした。

建設中の大阪・関西万博会場とIR予定地=大阪市此花区の夢洲で2023年10月4日、本社ヘリから滝川大貴撮影

 政府は23年4月、国内で初めて大阪府・市のIR整備計画を認定。万博会場に隣接する約49万平方メートルの敷地にカジノや三つのホテル、国際会議場などを整備する計画で、米MGMリゾーツ・インターナショナルの日本法人やオリックスなどが出資する大阪IR株式会社が同年9月、府と実施協定を結んだ。

 元稿:毎日新聞社 主要ニュース 社会 【話題・大阪・関西万博】  2024年08月03日  13:53:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【それでもバカとは戦え・05.31】:万博用地のガス爆発は「大阪の悪」噴出が招いた

2024-07-01 07:09:30 | 【政策・閣議決定・予算・地方創生・能動的サイバー防御・優生訴訟・公権力の暴力】

【それでもバカとは戦え・05.31】:万博用地のガス爆発は「大阪の悪」噴出が招いた

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【それでもバカとは戦え・05.31】:万博用地のガス爆発は「大阪の悪」噴出が招いた 

 今年3月、大阪・関西万博会場の予定地でメタンガスが爆発し、コンクリートの床が破損した件。万博協会は被害状況の写真を1枚、報道機関に公開していたが、破損箇所が見切れており、被害の全容が分からない状態だった。その後、情報公開請求により出てきた写真も、事故があった建物の外観以外は、黒塗りにされていた。なぜ隠蔽が行われたのか?

<picture>安全は全然ない(児童生徒の無料招待について会見する大阪の吉村洋文府知事)/(C)共同通信社</picture>

 万博協会は5月22日、新たに天井部分に10カ所、床下基礎部分の配管の通り穴に2カ所の損傷が明らかになったと発表。施工業者の報告が遅れたと弁明したが、メディアの報道により、認めざるを得なくなっただけだろう。他にも問題を隠している可能性は高い。

 関西経済連合会の松本正義会長はこの件について、「けしからんですよ。後でこういう話が出てくるっていうのは、やっぱりどこか気の緩みがあるんじゃないかと」と発言。

 おならではあるまいし、気の緩みで問題が噴出したわけではない。大阪の地下的なもの、政治の腐敗、積もり積もった“悪”が、このような形で表れたのである。

 そもそも万博は酔っぱらいの戯言がきっかけだった。堺屋太一と橋下徹が寿司屋で酒を飲んでいるときに堺屋が言い出し、それを実現するために、松井一郎と橋下が安倍晋三に酒を飲ませて、「気持ちよくさせ」、密室で決めたものである。

 大阪市環境局の担当者は万博用地のどこでも爆発する可能性があると認めているが、吉村洋文はこの危険な場所に、府内に住む4歳から高校生までの約102万人を招き入れようとしている。

 避難計画も整備されておらず、学校や親からは不安の声が出ているが、仮に児童が爆死しても、連中は責任を取らないと思う。日常的に嘘やデマを垂れ流している連中を信用するほうがどうかしている。吉村は「万博が大きく批判されるが、どんなに批判されても必要と訴え続ける」とも発言。無責任な大人の犠牲になるのはいつの時代も子供である。特定の勢力のカジノ利権のために児童虐待が許されていいわけもない。

 SNS上には「令和の学徒動員」「令和のインパール」といったハッシュタグが立っていたが、大人は子供を維新から守る義務がある。山積する問題を一気に解決する方法はあるのか。簡単だ。万博の即時中止である。

 ◆本コラム待望の書籍化!重版決定!kindle版も発売中です。

それでもバカとは戦え」(日刊現代・講談社 1430円)

 適菜収

著者のコラム一覧
 ■適菜収 作家

 近著に「日本人は豚になる」「ナショナリズムを理解できないバカ」など。著書40冊以上。購読者参加型メルマガ「適菜収のメールマガジン」も始動。詳細は適菜収のメールマガジンへ。

 元稿:日刊ゲンダイ DIGITAL 主要ニュース 政治・社会 【政治ニュース・連載「それでもバカとは戦え」】  2024年05月31日  17:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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