「週刊文春」が報じた片山さつき地方創生担当相(59)による国税庁への口利き疑惑で、口利きを依頼したとされる会社経営者は19日、弁護士を通じて「(片山氏の)私設秘書から要求された100万円を口座に振り込んだのは事実だ」とするコメントを発表した。文春の取材に応じた理由について、「片山氏サイドから情報がもれ、弊社について虚偽の情報が流された」「このままでは歪曲(わいきょく)された報道がなされてしまうと懸念した」などと説明。口利きを依頼したことについて「不徳の致すところで反省している」としている。

片山さつき氏、口利き疑惑否定「裁判で明らかに」
インタビューに答える片山地方創生相(共同)

 一方、片山氏は18日の会見で一連の疑惑を否定し、報道は名誉毀損(きそん)に当たるとして文春を訴える意向を示した。しかし、当事者同士の主張が食い違う事態になり、今後片山氏に説明責任を求める声が強まるのは避けられない。片山氏は訴訟準備を理由に、報道の事実関係への言及を避けている。この日の会見でも、100万円の受け取りや口利きの事実をあらためて否定。「裁判の場を通じて明らかにしていきたい」などと述べるにとどめた。

 一方、会社経営者に「100万円を要求した」と指摘された、片山氏の元私設秘書の税理士は19日、取材に、100万円は「税理士業務の着手金として受け取った」と説明。片山氏の関与は「知らない」とし、週刊誌報道は事実ではなく、名誉毀損に当たると主張している。

 文春の報道によると、会社経営者は15年、確定申告に絡み「青色申告の承認取り消し」を避けたいとして、片山氏側に相談。当時片山氏の私設秘書を務めていた税理士に「大丈夫ですから」などと言われ、同年7月に指定された口座に100万円を振り込んだという。結局青色申告は取り消され、後日、元私設秘書の税理士にただすと、「100万円は片山に取られた」と話したと報じている。