「大阪都構想」の制度案(協定書)を作る大阪市と大阪府の法定協議会が26日、府庁で開かれた。2025年元日に政令指定都市である大阪市を廃止し、現行の24行政区を再編して4特別区を新設する制度案の大枠に関する採決を実施、大阪維新の会と公明党の賛成多数で可決、了承された。大阪維新が目指す来年11月の住民投票実施に向け、大きく前進した。

「大阪都構想」の制度案の大枠が可決され、取材に応じる松井一郎大阪市長(左)と吉村洋文大阪府知事(共同)

  「大阪都構想」の制度案の大枠が可決され、取材に応じる松井一郎大阪市長(左)と吉村洋文大阪府知事(共同)

 法定協の今井豊会長は「協定書案の基本的方向性が決定された」と宣言した。今後、特別区の住所表記に関する議論などを進める一方で、年明けから国との事前協議を開始。市民向け説明会を経て6月に法定協で制度案を正式決定する日程が想定される。大阪維新は府議会で単独過半数、市議会では公明と合わせて過半数の議席があり、両議会の承認を得た上で、大阪市民対象の住民投票を実施したい考えだ。

 法定協では府市の事務局が作成した素案をベースに論点ごとの修正協議を実施。4特別区の名称は「淀川区」「北区」「中央区」「天王寺区」とし、各区が独立した本庁舎を置くものの、コスト削減のため一部の部署は現在の市役所本庁舎に入ることになった。児童相談所は各区に配置され、特別区の財源を設置から10年で計370億円上積みすることも固まった。

 松井一郎市長は「都構想は大阪が成長するために必要だ」と改めて強調。吉村洋文知事は「大阪の抜本的改革の第一歩になった」と話した。

 採決に先立つ意見表明で大阪維新は「二重行政の解消は大阪の成長にとって必要だ」と改めて主張。公明党も「住民サービスを低下させないことなど、よりよい案になった」と話した。自民党は「都構想のメリットの具体的な説明がなく、サービス低下の恐れがある」と懸念を表明。共産党は「地方分権の流れに逆行する」と反対した。

 都構想は15年の住民投票で5特別区設置案が僅差で否決された。再挑戦を進める大阪維新は今春、都構想を争点に知事・市長の大阪ダブル選を仕掛けて圧勝、府議選、市議選でも躍進した。(共同)