【主張①・12.14】:豪州のSNS規制 日本でも子供守る対策を
『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【主張①・12.14】:豪州のSNS規制 日本でも子供守る対策を
16歳未満のSNS利用を禁止する法律が、オーストラリアで制定された。子供たちを有害な情報から守るのが目的だ。英仏などでも規制が進んでいる。
背景には、SNSを通じて子供たちが性犯罪などに巻き込まれたり、いじめ被害を受けたりする状況がある。憎悪(ヘイト)表現や自殺・自傷行為、危険ドラッグなどに関する情報に接しやすいことも指摘されている。
スマートフォンを手にSNSを利用する若者=12月4日午後、東京都渋谷区(岩崎叶汰撮影)
日本でも同じだ。子供たちを有害情報から遠ざけなければならない。政府は各国の取り組みを参考に、規制を含め対策強化を早急に図るべきである。
オーストラリアの法律は、SNS事業者にアカウント作成時の厳格な年齢確認を義務付け、16歳未満は保護者の同意があっても認めないとする内容だ。インスタグラム、フェイスブック、TikTok、X(旧ツイッター)などが対象で、違反には最大4950万豪ドル(約50億円)の制裁金を科す。子供や保護者ら個人に罰則はない。
昨年にはフランスで、保護者の同意のない15歳未満の利用を禁じる法律ができた。英国でも有害情報の閲覧防止策などを事業者に義務付ける制度が導入された。同様の規制はフロリダなど米国の多くの州でも始まっている。
日本は平成20年制定の青少年インターネット環境整備法で、有害情報へのアクセスを制限するフィルタリング導入を進めてきた。だが、こども家庭庁の令和5年度の調査では、フィルタリングを利用していると回答した小学生の保護者は47・1%、中学生の保護者は54・6%にとどまっている。
一方、文部科学省によればSNSなどの「ネットいじめ」の認知件数は年々増加し、昨年度は2万4678件に達した。また警察庁によると、昨年にSNSがきっかけで犯罪被害にあった小学生は139人に上った。いずれも過去最悪であり、抜本的な対策が急がれよう。
ネットには子供たちの学びを深めるコンテンツがあるのも事実だ。表現の自由との兼ね合いもあり、過度な制限に陥ることを懸念する声も根強い。
政府は11月、SNSなどネット利用を巡る青少年保護の検討会を立ち上げた。子供たちを守ることを最優先に、実効性のある対策を講じてもらいたい。
元稿:産経新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【主張】 2024年12月14日 05:00:00 これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。
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