《社説①・12.17》:旧ソ連2カ国の選挙 外国の介入は分断深める
『漂流する日本の羅針盤を目指して』:《社説①・12.17》:旧ソ連2カ国の選挙 外国の介入は分断深める
ロシアと欧州の間に位置する旧ソ連圏の2カ国で相次いで選挙が実施された。
ロシアの侵攻が続くウクライナの隣国モルドバと、ロシアの南隣に位置するジョージア(グルジア)である。
モルドバでは、欧州連合(EU)加盟の是非を問う国民投票と大統領選挙があった。国民投票は加盟賛成が僅差で多数となり、大統領選でも親欧米の現職が決選投票で親露派候補を破った。
接戦となった背景として、米国やEUは全欧安保協力機構(OSCE)の選挙監視団などの情報を基に、「ロシアによる大規模な介入があった」と批判した。親露派候補に有利となる不正な資金提供や偽情報キャンペーンなどが指摘されている。
ジョージアの議会選では、対露関係を重視する与党「ジョージアの夢」が過半数を獲得した。議員らの投票による大統領選でも、与党の候補が選ばれた。
しかし、親欧米の野党や市民らは「議会選で不正があった」と訴え、抗議デモを繰り返している。国内では2008年にロシアの侵攻を受けた経験も記憶に新しい。
ロシアで財を成した富豪が率いる与党の下、社会統制が強化されてきたことも対立の背景にある。
他国から資金提供を受けた団体を「外国の代理人」として抑圧する法律や、性的少数者の権利を制限する法律を成立させた。いずれも同様の法律がロシアにある。
「民主主義が後退する」といった欧米からの批判にコバヒゼ首相は反発し、議会選後、EU加盟交渉を一時凍結すると表明した。
いずれも人口数百万人の小さな国だ。1991年のソ連崩壊に伴う独立以来、親欧米と親露の路線対立が続いてきた。親露派勢力が実効支配する地域を抱える点でも共通する。
元稿:毎日新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】 2024年12月17日 02:01:00 これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。
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