【社説①・01.13】:「成人」のあなたに SNS情報、ひと呼吸置いて
『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説①・01.13】:「成人」のあなたに SNS情報、ひと呼吸置いて
♪信じれる何かが欲しい 解(ほど)けない絆が欲しい そうすればきっと僕らは 呆(あき)れないで居られる―
3人組の人気ロックバンド「Mrs. GREEN APPLE」(ミセス・グリーン・アップル)が昨年11月の音楽イベントで、18歳の若者たち千人と一緒に歌うため作ったオリジナル曲です。聴いた人も多いでしょう。
きょうは「成人の日」。18歳以上を「成人」とする改正民法の施行から3年となり、全国で109万人を数えます。少子化で、過去2番目の少なさだそうです。式典を開く市町村の大半は20歳が対象で、京都府は約2万6600人、滋賀県は約1万4800人といいます。
皆さんの節目、社会を担う大人としての門出を歓迎します。
多感な時期を新型コロナウイルス禍に直面し、社会や人とのつながりが阻まれる中で育ってきましたね。上の世代より、コミュニケーションツールで交流サイト(SNS)を多彩に使いこなすでしょう。
昨年の衆院選や東京都、兵庫県の両知事選では、政党や候補者がライブ配信するなど、SNSの活用に若い世代も加わり、投票行動につながったとの指摘があります。自らの1票で従来の政治を変えられると、実感した人もいたのでは。
本来、政治は身近なものなのです。
世界最速の高齢化で社会保障費が膨らみ、現役世代の負担が増しています。国や自治体は少子化対策に力を入れます。
でも一番大事なのは、皆さんが結婚、出産したいと思える社会かどうかではないですか。
2016年に選挙権年齢が18歳に下げられましたが、10代、20代の投票率は3割台と低いです。今夏は参院選が行われ、京滋でも首長選を控える市町があります。ぜひ1票を投じ、思いを社会に伝えましょう。
ただ、SNSで真偽不明な情報や誹謗(ひぼう)中傷が激しく飛び交っているのは、知っての通りです。自分でネット情報を探したつもりでも、根拠は信頼できるものなのか、ひと呼吸置いて考えてみましょう。
身近な人と直接言葉を交わしたり、この新聞を役立ててもらったりしてはどうでしょうか。
深刻化する「闇バイト」の問題も同じ。SNSやネットの掲示板で「ホワイト案件」「高額報酬」とうたい、応募すると個人情報を知られ、犯罪の実行役として加担してしまいます。
気になるのは、SNSでたくさんの人とつながっていても、孤独を感じる若者が多いことです。10代、20代で自ら命を絶つ人も少なくありません。
一人で悩まず、声を上げてください。大人の一員として、誰もが将来に不安を抱えないような社会づくりを考えていきませんか。
元稿:京都新聞社 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】 2025年01月13日 16:00:00 これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。
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