【社説・01.13】:きょう成人の日 自ら道を切り開く挑戦を
『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説・01.13】:きょう成人の日 自ら道を切り開く挑戦を
きょう13日は「成人の日」だ。大人への仲間入りを果たした新成人の皆さん、おめでとう。進学や就職などさまざまな道に進んでいくことだろう。これまで支えてくれた家族や学校、地域への感謝を忘れず、「社会の一員」としての自覚と責任をもち、それぞれの目標に向かって、ひるむことなく挑戦してほしい。
これから多くの試練が待ち受けているだろう。ことしの新成人は、新型コロナウイルスの感染拡大で、学校生活をはじめさまざまな制限を受けた経験を持つ。学校行事の中止などで悔しい思いもしただろう。だが困難な時期を乗り越え、成人を迎えたことに自信をもってほしい。その経験はきっと人生の糧になるはずだ。
社会は大きな転換期を迎えている。それは人口減と急速な少子高齢化だ。
総務省が公表した2025年1月1日時点の人口推計によると、06年生まれの新成人は109万人。24年より3万人増えたものの、過去2番目に少ないという。新成人の人口は第2次ベビーブーム世代(1971~74年生まれ)が成人した90年代前半は200万人超だったが、その後は減少傾向が続いている。
日本の総人口は2024年1月1日時点で1億2488万5175人、日本人は前年に比べ約86万1千人減で、最大の減少幅となった。出生率は低下傾向にある一方、40年には65歳以上が全人口の35%を占め、高齢者1人を支える現役世代(15歳~64歳)は1・6人となる。
出生率の高い沖縄でも、少子高齢化は避けられない。沖縄県の人口は20年前後にピークを迎え、その後は減少に進むと推計されている。
人口減、少子高齢化が加速し現役世代の比率が低下すれば、社会の活力が失われる。社会保障制度の持続も危うくなり、過疎の市町村は「消滅する可能性」も指摘されている。
これまで誰も経験したことのない大きな社会の転換期だ。ややもすれば将来への希望を見失ってしまうこともあるだろう。しかし、社会をよりよい方向にしていくには、若者の情熱と行動が必要だ。目覚ましく進歩する情報技術を活用するなどして、変革へ挑戦してほしい。その挑戦を支える環境づくりが社会全体に求められている。
また、政治への関心も高めてほしい。沖縄を含め各選挙で低投票率が続いている。将来を担う若者たち自らが将来を築き上げていくためにも、投票行動で自らの意思を示していくことが大切だ。
皆さんが成人を迎えた25年は「戦後80年」という節目の年であることを、心に留めてほしい。戦争を生き抜き、いくつもの困難を乗り越えてきた県民の歩みの延長に、皆さんの歩みが続くのだ。過去の歴史を学びながら自らを信じ、一歩ずつ歩めば、必ず希望にあふれる道を切り開くことができるはずだ。
元稿:琉球新報社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】 2025年01月13日 04:00:00 これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。
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