《木語・12.12》:そして誰もいなくなった=会川晴之
『漂流する日本の羅針盤を目指して』:《木語・12.12》:そして誰もいなくなった=会川晴之
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まるで羽柴秀吉の「中国大返し」を見ているような鮮やかな進軍劇だった。それも倒したのは「三日天下」の明智光秀ではなく、50年以上も独裁を続けたシリアのアサド政権だ。反体制派は、戦闘開始からわずか12日間で首都ダマスカスまでの道を駆け抜けた。
アサド政権のあっけない崩壊は、後ろ盾のロシア、イラン、レバノンのイスラム教シーア派組織ヒズボラの力の低下が原因だ。ロシアはウクライナで、イランとヒズボラはイスラエルとの戦闘で疲弊、反体制派がその隙(すき)を突いた。
シリア政府軍の士気低下も原因だ。当初は援軍の派遣を含め「全面支援」を約束したイランは、政府軍が戦わずに逃げる姿を見て、政権はもたないと諦める。首都陥落の2日前から、外交官や家族などが脱出を始めた。ロシアの反撃も、限定的な空爆にとどまった。
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元稿:毎日新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【木語】 2024年12月12日 02:01:00 これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。
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