【シリア】:新政権樹立へ、反体制派アッシャラア氏が大きな影響力か…過去にアル・カーイダ参加も穏健姿勢を前面に
『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【シリア】:新政権樹立へ、反体制派アッシャラア氏が大きな影響力か…過去にアル・カーイダ参加も穏健姿勢を前面に
【カイロ=西田道成】シリアのアサド政権崩壊を受け、新政権の樹立に向けた動きが始まった。大きな影響力を持つとみられているのが、反体制派を主導し、アサド政権打倒を宣言したイスラム過激派組織「シャーム解放機構」(HTS)の指導者アフマド・アッシャラア氏だ。
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中東の衛星テレビ局アル・ジャジーラなどによると、アッシャラア氏は1982年、サウジアラビアで生まれ、シリアで育った。2003年に米英軍のイラク攻撃が始まると、米国を敵視してイスラム教スンニ派の過激派組織「イラクのアル・カーイダ」に加わったが、後に米軍に拘束され、5年間収監された。00年に始まった第2次インティファーダ(反イスラエル蜂起)や01年の米同時テロが過激思想に向かわせたとの指摘もある。
11年にシリアで内戦に火が付くと帰国し、イスラム過激派組織「イスラム国」の前身組織の支援を受けて「ヌスラ戦線」を設立した。強権を振るうアサド政権の打倒を掲げて自爆攻撃や拉致を繰り返し、米国からテロ組織に指定された。
14年のアル・ジャジーラのインタビューでは「シリアはイスラム法に基づき統治されるべきだ」と述べ、アサド政権の中核を占めたシーア派の一派・アラウィ派やキリスト教徒ら少数派を認めない強硬姿勢を示した。16年に路線の違いからアル・カーイダと決別すると、他組織との統合の末、ヌスラ戦線をHTSに改組した。
この頃から軍服姿での露出を控え、自身や組織についた過激派のイメージ 払拭 を図り始め、穏健姿勢を示すようになったとされる。21年には米メディアのインタビューにも応じ、ブレザー姿で「HTSは西洋に脅威を与えない」と主張した。
首都ダマスカスを制圧した8日頃から、自身の名前も、アル・カーイダ加入後に使っていた通称の「アブムハンマド・ジャウラニ」から切り替え、本名を名乗り始めた。8日には国営テレビを通じて「シリアは全ての人々のものだ」と述べ、宗教宗派を問わずに共生する融和姿勢を示した。国民や国際社会の支持を得る狙いがあるとみられる。
一方で、首都の著名なモスク(礼拝所)で8日に行った演説では「『イスラム国家』全体の勝利だ」と述べ、イスラム国家樹立への思いものぞかせた。
穏健姿勢への転向を「表面的」と見る向きは根強く、国連や米欧は今もHTSをテロ組織に指定している。シリアには旧アサド政権のほか、HTSなど複数の反体制派やクルド人勢力が支配する地域があり、各勢力を束ねて統治するには困難が伴うと予想される。
エジプトの研究機関「アラブ政治戦略学センター」のムフタル・ゴバシ副所長は「アッシャラア氏の出自を知った上で、今後の振る舞いを見ていく必要がある」と指摘した。
元稿:讀賣新聞社 朝刊 主要ニュース 国際 【中東・イスラエル情勢、アサド政権が崩壊したシリア】 2024年12月11日 05:00:00 これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。
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