【主張①・12.11】:島根原発2号機 再稼働の後続を期待する
『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【主張①・12.11】:島根原発2号機 再稼働の後続を期待する
中国電力は島根原子力発電所2号機(松江市、出力82万キロワット)を7日、起動させた。
同機は東日本大震災後の平成24年1月から運転を停止しており、ほぼ13年ぶりの再稼働だ。今後、徐々に出力を上げて来年1月上旬には、フル出力での営業運転に移行する。
中国電力島根原発2号機(手前)。奥は1号機=11月、松江市
島根2号機は、東日本大震災で炉心溶融事故を起こした東京電力福島第1原子力発電所と同じ沸騰水型軽水炉(BWR)であるために、安全審査に歳月を要した。
BWRでは10月末に再稼働した東北電力・女川原子力発電所2号機(宮城県、出力82・5万キロワット)が近く営業運転に入る予定で、島根2号機はそれに続く2番目の位置づけだ。
一方、関西電力などの加圧水型軽水炉(PWR)の方は、既に12基が営業運転に復帰している。PWRは西日本に、BWRは東日本に多いため、電気料金の東高西低が生じており、格差解消などのためにも他のBWRの早期復活が望まれる。
その実現には、原子力規制委員会の安全審査に合格したものの地元同意や司法判断に関わる問題で前に進めていない原発の再稼働が必要だ。具体的には日本原子力発電の東海第二原子力発電所(茨城県)と東京電力の柏崎刈羽原子力発電所(新潟県)のBWRである。
地元同意を難しくしているのは主に避難計画の問題だ。人口の多い地域での実効性や、豪雪や地震による道路不通と事故が重なった場合などを心配する声が上がっている。
だが再稼働待ちの原発は福島事故の教訓を反映し、過酷事故防止に多重の安全対策を積み上げている。だからゼロリスクを追求する原子力規制委員会の安全審査に合格しているのだ。
こうした事故防止策の構築にもかかわらず、再稼働に難色を示す意見に対しては、政府が前面に出て説明を行うとともに議論の交通整理に当たることが必要だ。原子力規制委員会も積極的に協力してはどうか。
原子力発電の問題は、地域と国全体の将来を見つめて考えるべきである。国内の全原発33基中、19基が未稼働だ。エネルギー安全保障面で原発の長期停止によるリスクが各方面で増している。原子力抜きで日本のエネルギー自立はあり得ない。石破茂政権の覚醒が急務だ。
元稿:産経新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【主張】 2024年12月11日 05:00:00 これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。
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