路地裏のバーのカウンターから見える「偽政者」たちに荒廃させられた空疎で虚飾の社会。漂流する日本。大丈夫かこの国は? 

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【社説・01.11】:学術会議見直し 独立性を保ち役割果たせ

2025-01-11 06:05:50 | 【日本の学術(理学・工学・基礎科学・生命科学・人文・社会科学・教養・教養教...

【社説・01.11】:学術会議見直し 独立性を保ち役割果たせ

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説・01.11】:学術会議見直し 独立性を保ち役割果たせ 

 政府と科学者たちがいつまでも対立している状況は好ましくない。原因をつくった政府は誠実な姿勢で関係を修復すべきだ。

 日本学術会議の在り方について内閣府の有識者懇談会が最終報告書をまとめた。現在の「国の特別機関」から新たな法人に移行し、国に助言する権限、国からの財政支援を保障することが主な内容だ。

 学術会議の光石衛会長は法制化に向けて政府と協議する意向を示した。とはいえ、内部は政府への反発が収まっていない。最大の懸念は独立性が保たれるかだ。

 そもそもこの問題は、2020年に当時の菅義偉首相が会員候補6人の任命を拒否したことから始まった。それまでは、学術会議が選んだ候補者を首相がそのまま任命するのが通例だった。

 政府は拒否した理由を説明せず、学術会議の在り方に矛先を向けた。政府の関与を強めるための、あからさまな論点のすり替えである。

 報告書は会員選考に関し、外部有識者からなる選考助言委員会を新設し、投票制を採用することを提起した。首相による任命は廃止する。

 予算執行や財務状況を監査する監事を置くことや、活動の評価委員会を設けることも盛り込まれた。こちらはいずれも首相が任命する。

 報告書の評価は分かれる。政府による財務状況の監査や活動評価を問題視する声が上がるのは無理もない。一方で年間10億円の公費を支出している以上、政府が活動の妥当性を点検するのは当然だという見方もある。

 政府と学術会議は協議を重ね、合意点を見いだしてほしい。その過程で任命拒否の理由を明らかにすべきだ。学術会議の存在意義を国民に周知する努力も求めたい。

 学術会議は1949年、行政や産業、国民生活に科学を反映、浸透させることを目的に設立された。

 50年には「戦争を目的とする科学の研究には、今後絶対に従わない」とする声明を発表した。科学者が戦前、軍事研究に動員された反省を踏まえ、軍事に関わる研究をしない姿勢を貫いてきた。

 これに不満を持つ政府関係者、政治家は少なくない。任命拒否は、6人が安全保障法制や特定秘密保護法に批判的だったこととの関連が指摘されている。

 学術会議は22年、軍民両用の研究を事実上容認する見解を公表した。

 学術会議には独立性が欠かせない。その使命は政治的な思惑に左右されることなく、学術の知見に照らして言うべきことを言うことだ。

 たとえ時の政権の意に沿わなくても、政府は尊重し、最適な政策判断を探るのが本来の関係ではないか。

 法人化に向けた法案は24日に召集予定の通常国会に提出される。与野党は学術会議の役割が最大限発揮できるように議論を深めてほしい。

 元稿:西日本新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2025年01月11日  06:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。


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