《社説①・12.26》:年金制度の見直し 持続性高める対策が必要
『漂流する日本の羅針盤を目指して』:《社説①・12.26》:年金制度の見直し 持続性高める対策が必要
少子高齢化時代を乗り切るには、公的年金の持続性を高める取り組みが不可欠だ。
厚生労働省が年金制度の見直し案をまとめた。来年の通常国会に改正法案を提出する。
見直しは5年ごとに行われる。今回は、暮らしを支える年金の機能強化が焦点だった。
年金改革案をまとめた社会保障審議会年金部会=東京都千代田区で2024年12月24日、宇多川はるか撮影
全国民が受給する基礎年金は、老後の生活の支えに十分とは言いがたい。保険料を40年払い続けた場合でも月7万円弱にとどまる。
経済の伸び悩みなどのため、給付水準は今後、低下する見通しだ。基礎年金だけを受け取る人たちの所得の確保が急務である。
対応策として、会社員らが受け取る厚生年金の対象者を広げる。パートなど短時間労働者が新たに加入し、給付額が上乗せされる。
一方、基礎年金自体の底上げについては、来年の与党などとの協議に結論を先送りした。
厚労省が提案したのは、厚生年金の積立金の一部を基礎年金に回し、財政基盤を強化する案だ。将来的には、基礎年金の給付が増えて、ほぼすべての世帯が恩恵を受ける。
しかし、判断を先送りすれば、その後の改革がさらに難しくなるだけだ。負担増から逃げず、確実に実施しなければならない。
基礎年金の見直しを巡っては、自営業者らが加入する国民年金の保険料納付期間を5年間延長し、65歳までとする案もあった。だが、負担が重くなることへの世論の反発を警戒し、見送られた。
元稿:毎日新聞社 東京朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】 2024年12月26日 02:01:00 これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。
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