【社説・11.15】:辺野古崎埋め立て開始 野党は対峙し存在感示せ
『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説・11.15】:辺野古崎埋め立て開始 野党は対峙し存在感示せ
米軍普天間飛行場の移設に伴う名護市辺野古への新基地建設で、沖縄防衛局は13日、辺野古崎付近の埋め立て予定区域での土砂投入を開始した。普天間飛行場にはない弾薬搭載エリアが整備される予定で、移設ではなく機能強化であることは明らかだ。
有事の際に攻撃対象になるのは軍事施設である。弾薬搭載機能がある施設はさらにそのリスクが高まるのは明白だ。辺野古新基地の周辺は久辺3区や二見以北10区などがあり、巻き込まれる恐れは否定できない。国は将来にわたる危険性も想定し、工事を中止すべきだ。
しかも、今回土砂を投入したのは本島北部地区が豪雨によって甚大な被害を被った直後であることを見逃すわけにはいかない。
比地川が氾濫した国頭村をはじめ、北部3村は復旧作業に懸命になっている。そういう時に土砂を海に投じるような行為に憤りを抱く県民もいるはずである。ダンプカーの一部でも豪雨で集落に流れ込んだ土砂の搬出や災害廃棄物の運び出しに活用すべきではないのか。
今回の衆院選で自民・公明は議席を減らし、少数与党となった。しかし、国政の場で新基地建設を巡る与野党間の対立はない。
日本維新の会は新基地建設に賛成し、国民民主党は、埋め立ては「いったん停止」の政策を取り下げた。「中止」を掲げる立憲民主党の野田佳彦代表は、民主党政権における首相時代の2012年4月、オバマ米大統領(当時)と辺野古推進を確認した。新基地を巡り党内では見解が分かれており、新基地建設阻止の勢力となり得ていない。
衆院で野党が多数となりながらも、沖縄に対する自公政権の強硬姿勢を許したままだ。地方を軽視し国策を強行する政府・与党の歯止め役がいないのは憂うべき事態だ。野党第1党の立民はじめ野党は新基地建設を含む安全保障問題で自公と対峙(たいじ)し、存在感を示すべきである。
土砂投入は、国が昨年12月に設計変更申請を代執行して以降初めてとなる。今回着工した埋め立て区域では、約1万6千平方メートルに及ぶ「弾薬搭載エリア」を整備する。艦船が接岸する岸壁も含め、普天間飛行場にはない新たな機能が強化されることが新基地と呼ばれるゆえんだ。
国は今後、軟弱地盤に砂ぐい7万本以上を打ち込み、地盤を固くする工事を進める予定だ。最も深い「B27」地点では、軟弱地盤が水面下約90メートルに達するが、防衛省は70メートルの工事までで問題ないと説明している。完成後も沈下する恐れがあると専門家が指摘する新基地は、完成後も維持管理費に巨額の公金が支出される可能性がある。
普天間飛行場返還・移設問題の原点は「普天間の危険性除去」である。危険性を県内でたらい回しにする愚策を直ちに見直すべきだ。
元稿:琉球新報社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】 2024年11月15日 04:00:00 これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。
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