路地裏のバーのカウンターから見える「偽政者」たちに荒廃させられた空疎で虚飾の社会。漂流する日本。大丈夫かこの国は? 

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【厚労省】:「106万円の壁」見直し、保険料の会社負担増やす特例案…「従業員51人以上」も撤廃へ

2024-11-15 23:47:30 | 【社会保障施策・年金(国民、老齢、共済、障害)・医療、介護保険・生活保護・

【厚労省】:「106万円の壁」見直し、保険料の会社負担増やす特例案…「従業員51人以上」も撤廃へ

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【厚労省】:「106万円の壁」見直し、保険料の会社負担増やす特例案…「従業員51人以上」も撤廃へ

 厚生労働省は15日、社会保障審議会(厚労相の諮問機関)の年金部会で、パートなどの短時間労働者が厚生年金に加入した際に支払う保険料について、会社側の負担割合を増やせる特例制度の導入案を示した。年収が106万円を超えるなどして保険料支払い義務が生じた場合の手取りの減少を緩和し、労働時間の抑制を避ける狙いがある。

 現行制度では、保険料は加入者と会社側が半分ずつ負担している。会社員や公務員の扶養に入っている配偶者は、保険料を払わなくても国民年金などを受け取れるが、パートなどで従業員51人以上の企業に勤め、週20時間以上働く月額賃金8万8000円(年収換算約106万円)以上の人は、厚生年金への加入が義務づけられる。加入すれば、将来受け取れる年金は増えるが、年収が106万円を超えると、保険料の支払いで手取りが年10万円程度減るため、働く時間を抑制する問題が生じていた。

 会社側の負担割合を増やす制度は、労使の合意を前提とする。例えば、週20時間働いて保険料が新たに発生する人の場合は、会社側が9割を負担し、年収が上がるごとに会社側の負担割合を減らし、一定水準で半分ずつの負担に戻す制度を想定する。手取り減を緩和することで働き控えを防ぎ、人手不足の解消を図りたい考えだ。ただ、15日の部会では、「大企業しか負担を増やせない」などと否定的な意見が相次いだ。

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厚生労働省

 同省はこの日の部会で、厚生年金の加入要件のうち、企業規模と賃金の要件は撤廃し、「週20時間以上」の労働時間の要件は維持する方向性や、従業員5人以上の飲食サービス業や理美容業などの個人事業所を加入対象に加える案を提示した。おおむね了承されたが、106万円の賃金要件の撤廃については一部の委員から異論もあり、議論を続ける。

 同省によると、これらの見直しが実現すれば、新たに200万人が加入対象になる。年末までに改革案を取りまとめ、来年の通常国会に年金改革関連法案を提出することを目指す。

 ■あわせて読みたい

 元稿:讀賣新聞社 主要ニュース 政治 【政策・厚労省・社会保障審議会(厚労相の諮問機関)の年金部会・パートなどの短時間労働者が厚生年金に加入した際に支払う保険料について、会社側の負担割合を増やせる特例制度の導入案】  2024年11月15日  23:47:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【国民民主党】:「103万円の壁」で地方が税収減を懸念…玉木代表「総務省が首長に工作」、村上総務相「全くない」

2024-11-15 23:03:30 | 【税制・納税・減税・年収「103万円の壁」・ふるさと納税・物納・脱税・競売】

【国民民主党】:「103万円の壁」で地方が税収減を懸念…玉木代表「総務省が首長に工作」、村上総務相「全くない」

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【国民民主党】:「103万円の壁」で地方が税収減を懸念…玉木代表「総務省が首長に工作」、村上総務相「全くない」

 年収103万円を超えると所得税が課される「103万円の壁」の見直しを巡り、制度改正を求める国民民主党と、地方の税収減を懸念する総務省側が応酬を繰り広げている。

国民民主党の玉木代表
国民民主党の玉木代表

 発端は、同党の玉木代表が13日、「TOKYO MX」の番組で「各自治体の首長に工作をやっている」と同省を名指しで批判したことだ。見直しを行った場合、地方の個人住民税で4兆円程度の減収が見込まれると試算されており、玉木氏は同省が自治体に反対を呼びかけているとみる。

 全国知事会長を務める村井嘉浩・宮城県知事は14日、記者団に「私に何かアプローチがあったということはない」と反応し、村上総務相も15日の記者会見で「依頼を行った事実は全くない」と全面否定した。

 同党の榛葉幹事長は15日の記者会見で「複数の筋から確認されている。(依頼は)あったと思う」と再反論し、「場外乱闘」の様相となっている。

 元稿:讀賣新聞社 主要ニュース 政治 【政策・「103万円の壁」の見直しを巡り、制度改正を求める国民民主党と、地方の税収減を懸念する総務省側が応酬を繰り広げている】  2024年11月15日  23:03:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【倉田真由美氏】:真逆の情報が飛び交う兵庫県知事選に注目「天動説と地動説くらい違う」

2024-11-15 14:17:30 | 【選挙・衆院選、参院選、補選・都道府県市町村長・地方議会・公職選挙法・買収事件】

【倉田真由美氏】:真逆の情報が飛び交う兵庫県知事選に注目「天動説と地動説くらい違う」

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【倉田真由美氏】:真逆の情報が飛び交う兵庫県知事選に注目「天動説と地動説くらい違う」

 

 漫画家の倉田真由美氏が15日、自身のX(旧ツイッター)を更新し、情報が入り乱れている兵庫県知事選(17日投開票)についてつづった。<button class="sc-1gjvus9-0 cZwVg" data-cl-params="_cl_vmodule:detail;_cl_link:zoom;" data-cl_cl_index="26"></button><button class="sc-1gjvus9-0 cZwVg" data-cl-params="_cl_vmodule:detail;_cl_link:zoom;" data-cl_cl_index="26">倉田真由美氏</button>

倉田真由美氏(TOKYO-SPORTS)

 ■【写真】ノリノリ! Perfumeとポーズを取る斎藤知事  

 今回の知事選は、斎藤元彦前知事が、自身のパワハラ疑惑などを挙げた文書の対応を巡り県議会の不信任決議を受けて失職したことに伴い、行われているもの。疑惑を否定する斎藤氏、元尼崎市長の稲村和美氏、元アナウンサーで元維新参院議員の清水貴之氏などが出馬しているほか、NHKから国民を守る党の立花孝志党首が、斎藤氏の疑惑を否定する立場で無所属で立候補した。  

 このため斎藤氏の疑惑が事実なのか虚偽なのか、さまざまな情報が飛び交う中、選挙戦が行われている。こうした状況に倉田氏は「兵庫県知事選、あまりにも真逆の情報が飛び交っていてこれがどう実際の選挙に影響するのか固唾を飲んで見守っている」と明かし、続けて「天動説と地動説くらい違う」と、さまざまな情報が流れる選挙戦の行方に注目しているとつづった。

 【関連記事】

 元稿:東京スポーツ新聞社 東スポWEB 主要ニュース 政治 【選挙・兵庫県知事選・今回の知事選は、斎藤元彦前知事が、自身のパワハラ疑惑などを挙げた文書の対応を巡り県議会の不信任決議を受けて失職したことに伴い、行われている】  2024年11月15日  14:17:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【社説・11.15】:コミュニティーの再生 将来見据えて連帯しよう

2024-11-15 07:00:20 | 【超高齢化・過疎・孤立・終活・認知症・サ高住問題・人口急減・消滅性自治体】

【社説・11.15】:コミュニティーの再生 将来見据えて連帯しよう

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説・11.15】:コミュニティーの再生 将来見据えて連帯しよう 

 地域の担い手が確実に細っていく。厳しい現実と未来図を改めて突き付けられた。

 国立社会保障・人口問題研究所は、2050年に全世帯に占める1人暮らしの割合が広島、山口など27都道府県で40%を超えるとの推計を発表した。広島の1世帯人数は今から11年後に2を割り込む。

 65歳以上が1人で暮らす割合も、50年には多くの都道府県で20%を上回る。中国地方5県の今の独居高齢者は10人に1人強だが、50年には5人に1人となる計算だ。

 人口減と高齢化は既にさまざまな問題を引き起こしている。家族に頼れなくなれば、地域とのつながりが重要になる。備えを急ぎたい。

 広島市では昨年度、新たな地域運営組織「ひろしまLMO(エルモ)」の取り組みが始まった。小学校区の町内会や社会福祉協議会が、市の呼びかけに応える形で設立。市から毎年最大で600万円が交付され、地域課題を解決するための活動を展開する。

 安佐北区のエルモ大林は、地域まつりを開いたり、住民の交流スペースを開設したりと精力的に活動する。地区内外の企業やNPO法人も加入。耕作放棄地での米作りや森林保全など、活動内容が多岐にわたるのも特徴だ。

 他の地区でも地元の小中学校や高校と連携したり、暮らしの困り事や移動を支援したり、空き家を仲介したりと実情に沿った活動が目立つ。

 中山間地域の雲南市波多地区では、住民主導の取り組みが根付く。10年前に地区内の小売店がなくなったのを受け、地元のまちづくり組織がミニスーパーを開設した。送迎付きの介護予防サービスや交流施設の管理運営を行政から受託し、住民のニーズに応えている。

 大切なのは、多くの団体や組織が運営に参加することだろう。若者や現役世代を含めた幅広い年齢層が交流を深めることで、高齢化や世代交代に対応できる。自治体職員や町内会長の奮闘だけでは早晩限界が訪れよう。多様な人材を引き込み、生かすことは地域での孤立を防ぐことにもつながるはずだ。

 課題もある。広島市でエルモが発足した地区は47。申請中の地区を含めても69と全学区の半数程度にとどまる。もともと町内会や社協の活動が活発だった地域がエルモに移行するケースが多いようだ。

 都市部や住民同士の交流が薄れた地域でどのようにしてコミュニティーを再生していくか。広島市や中国地方にとどまらず、全ての地方に共通する難題だ。先進事例を基に官民一体で知恵を絞りたい。住民の手に余る部分は、行政が積極的に補うべきだろう。

 近年は1人暮らしや高齢世帯を狙う強盗も相次ぐ。災害も頻発する。趣味や交流サイト(SNS)で簡単に他人とつながれる時代だが、緊急時に役立つのは近場のコミュニティーだ。近所は「近助」でもある。将来に備え、今から連帯を強めておきたい。

 元稿:中國新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2024年11月15日  07:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【天風録・11.15】:千歳飴と2050年

2024-11-15 07:00:10 | 【超高齢化・過疎・孤立・終活・認知症・サ高住問題・人口急減・消滅性自治体】

【天風録・11.15】:千歳飴と2050年

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【天風録・11.15】:千歳飴と2050年

 きょうは七五三。子どもたちの健やかな成長を祝う日である。神社や写真館には晴れ着姿の親子連れが見られるに違いない。小さな手には千歳飴(ちとせあめ)の袋が握られているはず。粘り強く、細く長くと、子どもの長寿を願う縁起物だ

 ▲医療の進歩や健康意識の高まりもあり、人生100年時代とされる。では子どもたちが大人になる頃、日本は一体どんな社会だろうか。さまざまな政策や技術が進み、誰もが安心して暮らせる世の中が望ましいのだが

 ▲26年後の2050年、1人暮らし世帯は27都道府県で40%を超える―。広島・山口・岡山の中国地方3県も。社会保障や人口問題を調査する国の研究所がはじき出した推計だ。きょう七五三を祝った子どもたちが働き盛りを迎えた頃の日本である

 ▲親を田舎に残し、若者は都会へという傾向は変わらぬようだ。単身世帯が54%に上る東京は未婚の現役世代が多そう。一方、人口が流出した地方は、配偶者との死別などで1人暮らしをする高齢者の割合が高いという

 ▲1人が幸せな人もいるに違いないが、孤独や貧困に悩む人も多いのではないか。単身世帯を支える体制を急がねば。そんな社会でないと、千歳飴を誰も喜ぶまい。

 元稿:中國新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【天風録】  2024年11月15日  07:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【兵庫県知事選】:新人6名と前職の争い!11月17日投票

2024-11-15 06:11:30 | 【選挙・衆院選、参院選、補選・都道府県市町村長・地方議会・公職選挙法・買収事件】

【兵庫県知事選】:新人6名と前職の争い!11月17日投票

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【兵庫県知事選】:新人6名と前職の争い!11月17日投票

 ◆資格混乱する兵庫をなんとかしたい 清水氏

 ◆あなたとともに、地域とともに、新しいひょうごをつくりたい 稲村氏

 ◆知事としてはまだまだ道半ば、兵庫の躍動を止めない! 斎藤氏

 ◆反対の意見があっても、多様な考え、意見が話し合われる中で新しい発展をめざす県庁にしたい 大沢氏

 ◆若者と高齢者が共に支え合い取り残されない社会の実現をめざしたい 福本氏

 ◆本当に前知事は悪人だったのでしょうか? 立花氏

 元稿:選挙ドットコム 主要ニュース 政治 【選挙・兵庫県知事選・元西播磨県民局長が斎藤元彦前知事らのパワハラ疑惑などを告発した文書により前知事が失職しての選挙】  2024年11月15日  06:11:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【財務省】:「解体すべき」「許さない」、SNSに批判殺到 渦中の玉木代表が〝抑制〟求める異常事態

2024-11-15 06:10:30 | 【財務省・財政予算健全化・基礎的収支・会計検査院・国債・国と地方の借金】

【財務省】:「解体すべき」「許さない」、SNSに批判殺到 渦中の玉木代表が〝抑制〟求める異常事態

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【財務省】:「解体すべき」「許さない」、SNSに批判殺到 渦中の玉木代表が〝抑制〟求める異常事態 

 財務省の公式SNSに批判が集まっていると話題だ。

 財務省の公式X(旧ツイッター)をチェックすると、11日の「税制メルマガ第180号を配信しました」という案内の投稿に対して1000以上のリプライが寄せられ、「財務省は解体すべき」「玉木を罠にハメたと思われるあなたたちを許さない」などと批判的な書き込みが多くを占めている。

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国民民主党の玉木雄一郎代表© 東スポWEB

 リプにある「玉木」とは国民民主党の玉木雄一郎代表のこと。同党は年収103万円の壁撤廃を主張し、衆院選で躍進。自公が過半数割れしたことから、同党がキャスティングボートを握る立場になり、玉木氏は〝時の人〟となっていた。

 一方で年収103万円の壁が撤廃された場合、国と地方の税収入が約7兆円減るともされており、財務省が難色を示しているとささやかれていた。

 野党国会議員は「玉木氏の不倫報道もネットでは『財務省のリークだ』と疑惑の目で見られています。しかし、スクープしたFLASHは7月の写真を押さえるなど年収の壁が話題になる前から取材に動いている。地元でウワサになっていたというのが本当なら、どこから話が出てきても不思議ではない。そう考えると財務省リーク説は可能性が低いのではないか」と指摘した。

 国民民主党の支持者を中心に不倫報道のあった玉木氏よりも財務省に批判的な考えを持つ人が増えている。渦中の玉木氏は14日に「財務省に対する誹謗中傷や陰謀論がありますが、政策を進める際に最も大切なことは、事実と数字に基づいた冷静かつ建設的な議論です」とXに投稿。陰謀論に惑わされるべきではないと強調した。

 この日、自民党と国民民主党の税調会長が会談。年収の壁解消について意見を交わした。財務省の公式Xには「頑張れ!玉木!」とのリプもあったが、支持を背景に国民民主党が踏ん張れるか注目だ。

 元稿:東京スポーツ新聞社 東スポWEB 主要ニュース 社会 【話題・財務省・国民民主党・「年収130万円の壁」】  2024年11月15日  06:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【社説・11.15】:COP29 温暖化抑制へ結束を強く

2024-11-15 06:10:20 | 【地球温暖化・温室効果ガス・排出量取引・国連条約COP・IPCC・海水温上昇

【社説・11.15】:COP29 温暖化抑制へ結束を強く

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説・11.15】:COP29 温暖化抑制へ結束を強く

 世界各地で記録的な大雨や洪水、猛暑による被害が起きている。地球規模の温暖化を抑えるには、現状を見据えて世界が結束し、対策を強化することが不可欠だ。

 国際的な温暖化対策を議論する国連気候変動枠組み条約第29回締約国会議(COP29)がアゼルバイジャンで開かれている。

 温暖化対策の要となるのは、国際枠組み「パリ協定」の実現だ。産業革命前からの気温上昇を「1・5度」に抑え、21世紀後半の温室効果ガス排出実質ゼロを目指す目標だが、達成は厳しい。

 世界気象機関(WMO)は、今年の世界平均気温は観測史上最も高くなる見込みだと発表した。今年1~9月の平均気温は、産業革命前と同程度である1850~1900年の推定気温に比べて上昇幅が1・54度を超えた。

 温室効果ガスの排出は2023年に史上最高レベルに達し、24年も上昇が続いているという。

 削減を急がねばならないが、条約事務局によると、各国が現在掲げる削減目標を実現できても、30年の削減幅は19年比2・6%減にとどまるという。1・5度目標の実現には43%減が必要とされ、隔たりが大きい。

 会議では、南太平洋の島国の首脳らが、温室効果ガスの早期削減を訴えている。氷床の融解や温まった海水の膨張で海面上昇が加速し、浸食や洪水で家屋の半数が失われた島国などもあるためだ。

 50年までの30年間で東京で13センチ、大阪で27センチ、海面が上昇するとの推定もある。日本にとっても人ごとではない。

 会議は発展途上国に対する国際支援も焦点だ。途上国側は再生可能エネルギー拡大などの資金が必要だとし、現状目標の年1千億ドル(約15兆円)を大幅に上回る年数兆ドルの支援を求めている。

 これには先進国側が、温室効果ガス排出大国となった中国など新興国にも拠出を期待する一方、新興国側は歴史的に多くの温室効果ガスを排出してきた先進国の責任だとして反発している。

 大量排出国の中国や米国、ドイツの首脳は今回、会議への出席を見送り、石破茂首相も欠席した。主要メンバーがそろわない中で、対策強化の流れに向け、各国が協調できるか試される。

 温暖化対策で気がかりなのは、トランプ次期米大統領の動向だ。

 米国は第1次トランプ政権の20年にパリ協定を離脱した。バイデン現政権下の21年に復帰したものの、先の大統領選ではトランプ氏が再離脱を公約し、当選した。

 気候分野の米中協力を模索するなどしてきた現政権の気候変動対策は覆る可能性が高い。

 米国がパリ協定をはじめ国際枠組みを撤退すれば影響は大きい。トランプ氏は、米国でも甚大な気象災害が起きている実態を踏まえ、冷静に判断するべきだろう。

 元稿:新潟日報社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2024年11月15日  06:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【日報抄・11.15】:雪の降らない地域の視点に基づく「暖国政治」の打破を掲げたのは、

2024-11-15 06:10:15 | 【原発事故・東電福島第一・放射能汚染・デプリ・処理水の海洋放出と環境汚染

【日報抄・11.15】:雪の降らない地域の視点に基づく「暖国政治」の打破を掲げたのは、

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【日報抄・11.15】:雪の降らない地域の視点に基づく「暖国政治」の打破を掲げたのは、 

 雪の降らない地域の視点に基づく「暖国政治」の打破を掲げたのは、本県の初代民選知事・岡田正平だった。1949年の県議会本会議で、こう訴えた

 ▼「日本の政治は明治の薩長藩閥の政治以来常に日の当たる地域に向けての政治だった」「新しい地方自治法が敷かれても今日なお暖国中心の政治が行われ、積雪寒冷地帯は画一行政の弊に苦しんでいる」

 ▼かつては中央省庁に雪対策を陳情しても「どんな大雪でも春になれば解けてなくなるでしょう」と、軽くあしらわれたこともあったという。そんな感覚は今でも根強いのか。先日の本紙記事を読んでそう思った

 ▼原発の重大事故と大雪が重なった際、屋内退避などにはどう取り組めばいいのか。不安を抱える県内の自治体からは詳細な対応基準を求める声が上がる。それなのに中央の当局からは、つれない声しか聞こえてこないようだ

 ▼事故時の屋内退避の運用を検討するチームを設けている原子力規制委員会は、自然災害での対応の検討は「範疇(はんちゅう)外」としている。原子力防災を担当する内閣府は、被ばくを避けるより自然災害対応を優先する「基本的考え方」を提示しているので「解決済み」との立場だという

 ▼自宅に退避したものの、大雪がなお続いたとしたら。雪下ろしはどうしたらいいのか。自宅からさらに別の場所には避難できるのか。この地に生きる身からすれば、不安は尽きない。そうした憂いに寄り添うことがなければ、再稼働の地元同意など到底おぼつかないのだが。

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【社説・11.14】:デブリ初回収 廃炉の難しさ浮き彫りに

2024-11-15 06:10:10 | 【原発事故・東電福島第一・放射能汚染・デプリ・処理水の海洋放出と環境汚染

【社説・11.14】:デブリ初回収 廃炉の難しさ浮き彫りに

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説・11.14】:デブリ初回収 廃炉の難しさ浮き彫りに

 廃炉に向けて重要な一歩であることは間違いない。同時にその困難さが改めて浮き彫りになったともいえる。

 本当に計画通りに廃炉ができるのか。工程を見直す必要はないのか。政府と東京電力は説明を尽くしながら、着実に作業を進めなければならない。

 東京電力が福島第1原発2号機で溶融核燃料(デブリ)を試験的に取り出したと発表した。2011年3月の事故後初めてとなる。

 回収したのは小石状の約5ミリ大で、重さは約0・7グラムだ。12日には原発敷地外に搬出し、茨城県にある日本原子力研究開発機構の大洗原子力工学研究所に輸送した。1年程度かけて詳しく分析する。

 炉心溶融が起きた1~3号機にデブリは計880トンあると推計されている。極めて強い放射線を出し、その取り出しは廃炉工程の最難関とされる。

 試験的とはいえ初めて回収に成功したことは前進だが、課題も明らかになった。

 政府と東電は、事故から30~40年となる41~51年に廃炉を終える計画を描いている。

 デブリの取り出し開始は当初21年の計画だったが、既に3年遅れたことになる。原子炉格納容器の内部調査が難航し、機材の開発も遅れたことが大きな要因だ。

 今後は研究所に輸送されたデブリを活用して取り出しの工法や保管方法の検討に入るが、技術的な課題は山積している。将来の処分場所も決まってない。

 武藤容治経済産業相は「一部の作業に遅れが生じているが、全体の工程に現時点で影響はない」と述べ、計画に変更はないとした。

 しかし、51年までの廃炉は「現実的ではない」「極めて難しい」と指摘する研究者もいる。

 先行きが見通せない状況を最も不安に思っているのは福島原発事故の被災者だ。政府と東電は廃炉を巡る状況について丁寧に説明し、理解を得る必要がある。

 東電の管理能力不足が露呈したことも深刻な問題だ。

 デブリ取り出しは8月に開始したが、格納容器に回収装置を押し込むパイプの並び順を間違える初歩的ミスが初日に発覚し、中断を余儀なくされた。再開後はカメラが映らなくなる不具合が発生し、2度目の中断を迫られた。

 福島第1原発の廃炉は必ず実現しなければならない国家的事業だ。東電はその使命感と緊張感を忘れてはならない。

 11日に発足した第2次石破茂内閣は近くまとめる経済対策で、安全性が確認された原発を最大限活用する方針を明記する予定だ。

 東電柏崎刈羽原発についても政府は再稼働を目指している。岸田文雄前政権時代から原発回帰を鮮明にしているが、福島原発事故と廃炉の行方から目を背けるようなことがあってはならない。

 元稿:新潟日報社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2024年11月14日  06:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【日報抄・11.14】:自動車もバイクも自転車すらない江戸時代である。

2024-11-15 06:10:05 | 【不慮の事故・自動車事故・予期せず、意図せず、発生する惨事、火災他】

【日報抄・11.14】:自動車もバイクも自転車すらない江戸時代である。

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【日報抄・11.14】:自動車もバイクも自転車すらない江戸時代である。 

 自動車もバイクも自転車すらない江戸時代である。そんな社会に道路交通法があったと言ったら言い過ぎか。罰則付き交通ルールだ。将軍徳川吉宗は1742年、幕府の基本法典である公事方御定書を作成させた

 ▼その中に大八車で人を死なせると死罪という規定がある。けがをさせただけでも厳罰が下った。大八車を2人で引いて事故を起こした場合、けが人側にいた引き手は島流し。反対側の引き手は江戸などから追放された。さらに荷主や引き手の家主も罰金である(笛吹明生「大江戸とんでも法律集」)

 ▼荷車の事故については「往来の人をよけ申さずわがままに引き通り候」と書かれた記録も残っている。周囲に注意を払わず、自分勝手な振る舞いが事故の原因になったと言いたかったようだ

 ▼今月、改正道路交通法が施行された。自転車走行中の携帯電話使用、いわゆる「ながら運転」と酒気帯び運転に対し、懲役と罰金の罰則が新たに設けられた。ながら運転の事故は2022年までの5年間、それ以前の5年間より5割も増えた

 ▼ながら運転での死亡・重傷者の7割以上が30歳未満という。動画や交流サイト(SNS)など画面を見詰めながらの運転は、自分も他人も傷つける恐れが大きい

 ▼酒気帯び運転では、当人だけでなく酒の提供者や同乗者にも罰則がある。大八車の荷主や家主を思い浮かべる。自転車は環境にも健康にもいい乗り物だ。江戸時代の記録にある「わがまま」に陥らぬよう戒めながら、ペダルを踏みたい。

 元稿:新潟日報社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【日報抄】  2024年11月14日  06:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【社説・11.15】:医師の偏在/実情に応じ将来像を示せ

2024-11-15 06:00:10 | 【医療・診療報酬・病気・地域・オンライン診療・マイナ保険証・薬価・医療過誤】

【社説・11.15】:医師の偏在/実情に応じ将来像を示せ

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説・11.15】:医師の偏在/実情に応じ将来像を示せ 

 高齢者人口がピークを迎える2040年代に向け、17日投開票の兵庫県知事選では地域医療の将来像も問われる。選挙戦では少子化対策や若者支援が注目されがちだが、高齢者の医療をどう支えるかも避けて通れない大きな課題である。

 近年は医師不足が社会問題となり、国は医学部の定員を広げて増員を図ってきた。しかし、いまだに解決しないのは、地域や診療科間で医師数の偏りがあるからだ。

 厚生労働省は都道府県や医療圏ごとに医師の充足状況を示す「偏在指標」を公表し、下位の少数区域を重点的に支援してきた。全国17位の兵庫県は多数区域の一歩手前に位置する。医療圏では神戸、阪神、東播磨が多数区域、播磨姫路などほかの地域は中程度区域に分類され、差し迫った状況にはないとされる。

 「偏在指標は地域の実態を正確に反映していない」。兵庫県佐用町の尾﨑病院院長、尾﨑公彦さん(64)はこう指摘する。同じ医療圏の中にも医師の偏りがあるからだ。

 佐用町がかつて属していた西播磨医療圏は、姫路市内の医療機関にかかる患者が多いなどの理由で中播磨医療圏と統合された。兵庫県の試算によると、旧西播磨の医師偏在指標は旧中播磨の7割程度で、地域の交通網が先細る中、格差が住民に重くのしかかっている。

 医師の偏りを緩和するため、県はへき地などへの赴任を条件に学費を援助する「養成医師」を大幅に増やした。しかし、派遣先は公立病院に限られ、佐用町のように私立病院しかない地域は直接の恩恵が少ない。

 尾﨑さんは「地域の過疎化と医師の高齢化が進行し、将来は私立病院の経営が立ち行かなくなる恐れがある。民間同士の病院統合を支援するなど、県には中長期的な制度設計を求めたい」と話す。

 医療や福祉を一体的に提供する「地域包括ケアシステム」のてこ入れも不可欠だ。医療機関と高齢者施設などが協力し、家庭事情などによる「社会的入院」を減らさなければ、必要とする人に医療が届かなくなる恐れがある。出先機関を含めた県の調整機能強化は喫緊の課題だ。

 出産に対応できる施設の偏在も少子化対策に影を落とす。24時間対応を求められ訴訟リスクが高い産科は減少に歯止めがかからない。西播磨と丹波は2カ所、但馬、淡路は1カ所に減り、リスクの高い妊婦への対応に不安が生じている。

 旧五国にまたがる兵庫の医療をどう守るか。地域によって異なる課題をつぶさにくみ取り、国や各市町、関連団体などと連携しながら柔軟に対応する力量が、県のトップには求められている。

 元稿:神戸新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2024年11月15日  06:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【兵庫県】:借金1400億円超、県民の負担は? 次期知事の手腕問われる 地域整備と分収造林、二事業が行き詰まり

2024-11-15 05:30:30 | 【地方自治・都道府県市町村・地方議会・議員年金・デジタル田園構想・地方地盤沈下】

【兵庫県】:借金1400億円超、県民の負担は? 次期知事の手腕問われる 地域整備と分収造林、二事業が行き詰まり

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【兵庫県】:借金1400億円超、県民の負担は? 次期知事の手腕問われる 地域整備と分収造林、二事業が行き詰まり

 高度経済成長期に始まり、兵庫県の成長を支えた二つの事業の行き詰まりが露呈した。産業団地や住宅用地などを造成して民間に売却する「地域整備事業」と、民有地で木を育てて売却益を土地所有者と分け合う「分収造林事業」だ。

     神戸新聞NEXT

 しかし、バブル崩壊や長引く不況、人口減などの社会経済情勢の変化を背景に事業収支が崩れ、積み上がった借金は総額1400億円を超える。解決には県民負担が発生する恐れが指摘されており、次の知事の手腕が問われる。(西井由比子、三宅晃貴)

 域整備事業で2022年度末までに積み上がった企業債残高(借金)は768億円。この事業を所管する県企業庁は「本年度中に何らかの結論を出す」と対応を急ぐ。

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 元稿:神戸新聞社 朝刊 主要ニュース 政治 【地方自治・兵庫県・財政状況】  2024年11月14日  05:30:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【社説①・11.15】:特別国会閉幕 政策論争を置き去りにするな

2024-11-15 05:00:40 | 【国会(衆議院・参議院・議運 ・両院予算委員会他・議員定数・「1票の格差」...

【社説①・11.15】:特別国会閉幕 政策論争を置き去りにするな

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説①・11.15】:特別国会閉幕 政策論争を置き去りにするな

 先月の臨時国会はわずか9日間で衆院が解散された。この特別国会も、政府と与野党が何ら論戦を行うことなく、4日間で閉幕した。 

 石破内閣発足後、政策論争が置き去りにされているのはゆゆしき事態だ。こうした状況に陥っているのは、石破首相が内外の課題について、明確な対処方針を持ち合わせていないためではないか。

 衆院選の結果、与党だけでは予算案も法案も通すことはできなくなった。少数与党になったからこそ、開かれた国会の場で与野党で議論を深め、接点を見いだすことが重要になっているはずだ。

 6月の通常国会閉幕後、国会で成立したのは旧優生保護法の被害者救済法だけだ。審議を通じて行政や法案の問題点を洗い出し、改善を図る、という役割を果たしていないのは問題だ。

 日本周辺の安全保障環境は極度に悪化している。防衛力の強化やその財源を確保することは急務だ。人口減少に歯止めがかからない。経済をどう再生し、成長させていくのかも難題だ。

 内外の課題が山積しているにもかかわらず、首相が先月1日の就任以降、最もこだわりを見せているのが、派閥の政治資金規正法違反事件への対応だ。

 首相は、政策活動費の廃止に意欲を示している。政治資金収支報告書に不記載があった旧安倍派などの議員のうち、政治倫理審査会で弁明していない議員に対しては、改めて出席を促すという。

 衆院選で政治とカネの問題に焦点があたって自民党が惨敗したため、首相は政権を維持するには政治改革に積極的な姿勢を示す必要があると考えているようだ。

 政治資金の透明性を高めることが重要なのは論を 俟  たない。

 だが、この問題は東京地検特捜部が捜査を尽くして派閥の会計責任者らを立件し、既に刑事事件として決着がついている。強制力のない政倫審を開いても新事実を見つけるのは容易ではあるまい。

 首相は、不記載のあった議員を第2次内閣の副大臣、政務官に登用しなかった。衆院選で審判を受けて当選した議員をなお問題視するなら、政治とカネの問題にいつ終止符を打つつもりなのか。

 そもそも収支報告書への不記載という形式的なミスを、重大な贈収賄事件などと同列に扱うかのような対応は理解に苦しむ。

 首相が政治資金問題で定見を示さず、延命のため野党の主張を受け入れようとしていることが、混乱を招いているのではないか。

 元稿:讀賣新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2024年11月15日  05:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【社説②・11.15】:日本の酒造り 内外に伝えたい文化的な価値

2024-11-15 05:00:30 | 【国連・ユネスコ・世界遺産・世界有形無形文化遺産・記念物遺跡会議

【社説②・11.15】:日本の酒造り 内外に伝えたい文化的な価値

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説②・11.15】:日本の酒造り 内外に伝えたい文化的な価値

 日本酒や焼酎、泡盛などを造る技術の文化的な価値が、世界に認められた。国内外の多くの人々に、その歴史や技法、洗練された味わいを知ってもらう契機としたい。 

 国連教育・科学・文化機関(ユネスコ)の評価機関が日本の「伝統的酒造り」を無形文化遺産に登録するよう勧告した。12月に正式決定される見通しだ。

 日本の酒造りは、こうじ菌を使って米や麦の発酵を促し、酒の風味を豊かにするのが特徴だ。室町時代に原型が確立され、その技は今も受け継がれている。

 酒は、神への感謝を示すため、神棚などに供え、結婚や誕生といった祝いの場でもふるまわれてきた。一年の無事を祈る正月の 屠蘇 とそ や、ひな祭りの白酒などは、季節の風物詩でもある。

 今回、ユネスコの評価機関は、日本の酒が「社会文化的な行事に欠かせず、地域の結束に貢献している」と評価した。

 古来、日本の生活に溶け込み、暮らしを彩ってきた酒の文化に触れることは、日本文化を考えることにも通じるだろう。

 無形文化遺産の制度は、芸能や行事、伝統工芸などの保護を目的としている。これまで日本からは、能楽や歌舞伎、和食など22件が登録された。日本酒は和食と相性がいい。共に発展できるようなメニューなども工夫したい。

 日本酒の国内出荷量は、ピークだった1973年度の4分の1以下まで減り、酒蔵の数も半分以下の1600程度となっている。好みの多様化で他の酒を飲む人が増え、若者らの「日本酒離れ」も指摘されている。

 一方、海外では日本食レストランが増え、日本酒の需要が高まっている。輸出量はこの10年で約2倍に増えた。日本の酒造りの現場を見てもらう「酒蔵ツーリズム」で、訪日外国人客を呼び込もうという取り組みも広がっている。

 日本酒でも、ワインの新酒「ボージョレ・ヌーボー」の発売時期のように、大きなキャンペーンを行ってはどうだろうか。

 各地の酒造会社は、能登半島地震で被災した酒蔵を支えるためのプロジェクト「能登の酒を止めるな!」を展開している。クラウドファンディングで寄付を募ったところ、これまでに約5200万円が集まったという。

 日本の伝統技法をこれからも守っていかなければならない。国や業界は、日本の酒造りへの理解を深め、消費を拡大させるため、さらに知恵を絞ってほしい。

 元稿:讀賣新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2024年11月15日  05:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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