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路地裏のバーのカウンターから見える「偽政者」たちに荒廃させられた空疎で虚飾の社会。漂流する日本。大丈夫かこの国は? 

 路地裏のバーのカウンターから見える「偽政者」たちに荒廃させられた空疎で虚飾の社会。漂流する日本。大丈夫かこの国は? 

【外交】:「石破×トランプ会談」実現暗礁で透けるシゲル・パッシング…対米外交の前途にも暗雲

2024-11-16 15:00:30 | 【外交・外務省・国際情勢・地政学・国連・安保理・ICC・サミット(G20、】

【外交】:「石破×トランプ会談」実現暗礁で透けるシゲル・パッシング…対米外交の前途にも暗雲

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【外交】:「石破×トランプ会談」実現暗礁で透けるシゲル・パッシング…対米外交の前途にも暗雲

 せっかくの晴れ舞台に暗雲が垂れ込めている。石破首相は15日(日本時間)、APEC首脳会議に出席するため、ペルーに到着。16日にはバイデン米大統領や中国習近平国家主席との初会談に臨む。ブラジルで開かれるG20首脳会議に出席した後、21日に帰国する予定だ。

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リマでのAPEC首脳会議に出席する石破首相(C)ロイター

 今回の外遊は石破外交の試金石。石破首相は帰りがけに米国へ立ち寄り、返り咲くトランプ前大統領と直接会談しようとしているものの、日程調整は困難を極めている。トランプは次期政権の人事を優先。就任前の各国首脳との面会を断っていると報じられたが、14日にアルゼンチンのミレイ大統領と再選後初めて会談した。トランプとの電話協議で「なるべく早く会談をしようということで一致した」と胸を張った石破首相は、先を越された格好だ。

 そもそも約束を取り付けたはずの電話協議は、たった5分で終了。自民党の小野寺政調会長は、会合を中座したというトランプに「首相が配慮し、早めに戻ってもらった」と説明したが、最新の週刊新潮(11月21日号)は「トランプは“忙しいので”と言って一方的に電話を切ってしまった」と内幕を暴露した関係者のコメントを紹介している。

<picture></picture>
トランプ氏とアルゼンチンのミレイ大統領(AFPIの祝賀会)/(C)ロイター

 ◆米通商政策のトップには強硬派が

 いずれにせよ、早期の直接会談の実現は暗礁に乗り上げ、「ドナルド」「シゲル」と呼び合う親密な関係の構築どころか、「シゲル・パッシング」の感すら漂う。こうも相手にされないのでは、対日政策も見通しが暗い。トランプ政権の人事がネックだ。

 「タリフ(関税)・マン」を自称するトランプは、輸入品に10~20%の関税を課す方針を掲げている。保護主義全開の通商政策トップに抜擢される見通しなのが、USTR(米通商代表部)の代表を務めたロバート・ライトハイザー氏。日本に対米貿易黒字の是正を求め、日本製鉄によるUSスチール買収に反対の立場だ。石破政権に関税引き上げをチラつかせ、何らかの「ディール」(取引)を持ちかけてくる可能性がある。

 「トランプ氏はEVの補助金制度を廃止する見通しです。EV化の遅れが指摘される日本の自動車産業にとって勝機ではありますが、米国第一主義のトランプ政権は高関税を課してくるのではないか。日本の基幹産業は自動車の『一本足』。大事な産業を守らんとすればこそ、石破首相は真っ先にトランプ氏に対面するべきでしたが、悲しいかな、さほど相手にされていない印象です」(高千穂大教授・五野井郁夫氏=国際政治学)

 トランプからどんな踏み絵を迫られるだろうか。手ぶらであろうとなかろうと、石破外交の前途は暗い。 いずれにせよ、早期の直接会談の実現は暗礁に乗り上げ、「ドナルド」「シゲル」と呼び合う親密な関係の構築どころか、「シゲル・パッシング」の感すら漂う。こうも相手にされないのでは、対日政策も見通しが暗い。トランプ政権の人事がネックだ。

 「タリフ(関税)・マン」を自称するトランプは、輸入品に10~20%の関税を課す方針を掲げている。保護主義全開の通商政策トップに抜擢される見通しなのが、USTR(米通商代表部)の代表を務めたロバート・ライトハイザー氏。日本に対米貿易黒字の是正を求め、日本製鉄によるUSスチール買収に反対の立場だ。石破政権に関税引き上げをチラつかせ、何らかの「ディール」(取引)を持ちかけてくる可能性がある。

 「トランプ氏はEVの補助金制度を廃止する見通しです。EV化の遅れが指摘される日本の自動車産業にとって勝機ではありますが、米国第一主義のトランプ政権は高関税を課してくるのではないか。日本の基幹産業は自動車の『一本足』。大事な産業を守らんとすればこそ、石破首相は真っ先にトランプ氏に対面するべきでしたが、悲しいかな、さほど相手にされていない印象です」(高千穂大教授・五野井郁夫氏=国際政治学)

 トランプからどんな踏み絵を迫られるだろうか。手ぶらであろうとなかろうと、石破外交の前途は暗い。

 ■関連記事

 元稿:日刊ゲンダイDIGITAL 主要ニュース マネー 【トピックスニュース・石破政権・外交】  2024年11月16日  15:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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《今日の視角・11.16》:独立と安全のはざま(姜尚中)

2024-11-16 14:05:30 | 【韓国・在韓米軍・従軍慰安婦問題・強制労働・島根県竹島(韓国名・独島)の領有権】

《今日の視角・11.16》:独立と安全のはざま(姜尚中)

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:《今日の視角・11.16》:独立と安全のはざま(姜尚中)

 韓国の京畿道広州市、河南市、城南市に広がる南漢山には、1636年から翌年にかけて清が李氏朝鮮に侵攻し、服属させた戦争「丙子の乱」の際、清の大軍を避けて李氏朝鮮の第16代国王、仁祖(インジョ)と臣民たちが身を隠した城山がある。南漢山城である。その城の名前をタイトルにした名優イ・ビョンホン主演の時代劇映画『南漢山城』(邦題・天命の城)は、現代の国際関係における「安全」と「独立」の関係を考えるとき、深い示唆に富んでいる。

 映画は強大な大国、清の暴圧による屈辱に…、(残り707文字/全文939文字)

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 元稿:信濃毎日新聞社 主要ニュース 社説・解説・コラム 【今日の視角】  2024年11月16日  14:05:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【東国原英夫】:玉木代表TV同席「疑惑文書」見せてもらった←総務省の裏工作「103万の壁」知事らに反対依頼疑惑 文書内容明かす

2024-11-16 14:00:30 | 【税制・納税・減税・消費税・ふるさと納税・物納・脱税・競売】

【東国原英夫】:玉木代表TV同席「疑惑文書」見せてもらった←総務省の裏工作「103万の壁」知事らに反対依頼疑惑 文書内容明かす

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【東国原英夫】:玉木代表TV同席「疑惑文書」見せてもらった←総務省の裏工作「103万の壁」知事らに反対依頼疑惑 文書内容明かす 

 16日のカンテレ「ドっとコネクト」では、「103万の壁」改正など収入増加策を訴えている国民民主党の玉木雄一郎代表がテレビ番組で、総務省が全国の地方首長に対し「(減税策に反対するよう)工作している」と発言したことを取り上げた。

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東国原英夫© (C)デイリースポーツ

 玉木氏は「村上大臣から知事会長などに連絡し、発言要領まで作っているのはいかがなものか」と発言。「ドっとコネクト」では、全国知事会会長の村井嘉浩宮城県知事が「大臣や総務省から私に何かアプローチがあったということはない」、村上誠一郎総務相も「発言要領を見たことも依頼したこともない」と否定していることを伝えた。

 東国原英夫は、自身が玉木氏が発言した番組で隣席にいたと説明。「玉木さんの横にいたんです。文書を見せてもらいました、スマホの中に」と明かした。その内容は、「一部の知事ですけど、総務省からお達しが行ったという文書」だったと語った。

 「お達しがあったのは事実なんだな」と感じたとし、「お達しというか、こういう風な発言趣旨にしてくださいみたいな、たたき台みたいなものが発令されてましたね」と語った。

 この是非について聞かれると「微妙ですね」とする一方で、有権者に選ばれた知事の会に対して、過去にも総務省がシナリオを描いているのではないかと疑われ、批判された経緯があると指摘した。

 元稿:デイリースポーツ新聞社 主要ニュース 社会 【話題・年収「130万円の壁」・国民民主党・総務省】  2024年11月16日  14:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【兵庫県知事選】:前知事への支持拡大をアシスト…立花孝志候補「当選目指さない」は公選法でアリなのか?

2024-11-16 11:00:30 | 【選挙・衆院選、参院選、補選・都道府県市町村長・地方議会・公職選挙法・買収事件】

【兵庫県知事選】:前知事への支持拡大をアシスト…立花孝志候補「当選目指さない」は公選法でアリなのか?

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【兵庫県知事選】:前知事への支持拡大をアシスト…立花孝志候補「当選目指さない」は公選法でアリなのか?

 兵庫県知事選は17日、投開票を迎える。斎藤県政の継続か否か。県民の判断が揺れる中、県内29市長でつくる市長会の有志22人が、前尼崎市長の稲村和美候補(52)の支持を表明。出直しを狙う斎藤元彦前知事(47)の猛追に危機感が広がっていることをうかがわせる。

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      兵庫県知事選候補者の立花孝志氏(C)日刊ゲンダイ

 斎藤候補に追い風を吹かせているのは、無所属で立つ「NHKから国民を守る党」の立花孝志氏(57)だ。「社会正義を通すため」の立候補で、当選は目指さないと公言。斎藤失職の要因となったパワハラ問題をめぐり、「デマだ」と擁護するなど、斎藤支持拡大をアシストしている。

 こうした動きに、有志の会のある市長はこう疑問を呈した。

 「知事選にあたっては300万円の供託金が必要。候補者1人あたりの選挙カーや配布ビラの数なども、公選法で定められている。他候補の当選を後押しするための立候補がOKなら、カネと人を用意できる陣営が有利になる。選挙が歪められてしまうのではないか」

 公選法に抵触するのか、しないのか。県選挙管理委員会の回答はこうだった。

 「公選法は、立候補者が当選を目指さないという事態を想定していません」

 もっとも、立花候補は「斎藤氏に投票して」といった具体名を挙げて呼びかけているわけではない。「自分には票を入れないで」と言うにとどめているあたり、巧妙だ。パワハラ問題をめぐっては、「元県民局長 自殺の真相」などと書かれた選挙ポスターを掲示。パワハラ問題そのものに疑義を呈しているわけだが、問題はないのか。

 「虚偽の内容や、特定の商品などの宣伝が含まれている場合を除き、公報やポスターの表現に制限はありません」(兵庫県選管)

 とんでもない選挙戦の結果はいかに──。

           ◇  ◇  ◇

 立花孝志氏は3年前、東京都内で街頭演説した際、「政治家としてテレビ局に出て、お金もらうの初めて」と言いながら、出演料が「6万9852円」だったと明かしたが、その真偽は…関連記事【もっと読む】で詳しく報じている。

 ■関連記事

 元稿:日刊ゲンダイDIGITAL 主要ニュース ライフ 【暮らしニュース・選挙・兵庫県知事選】  2024年11月16日  11:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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《社説①・11.16》:敦賀原発不合格 原電は見切りをつける時

2024-11-16 09:31:55 | 【電力需要・供給、停電・エネルギー政策・原発再稼働・核ゴミの中間最終貯蔵施設他

《社説①・11.16》:敦賀原発不合格 原電は見切りをつける時

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:《社説①・11.16》:敦賀原発不合格 原電は見切りをつける時 

 このままでは無駄な費用が増えていくだけではないか。

 原子力規制委員会が敦賀原発2号機(福井県)の再稼働について正式に不合格とした。運営する日本原子力発電は再稼働を諦めず、再審査を申請する方針を示している。

 不合格となったのは、長年にわたった規制委の審査によって、原子炉建屋の直下に活断層がある可能性が否定できないとの結論に至ったからだ。新規制基準の要件を満たすことができなかった。

 規制委の調査団がこの活断層の存在を指摘したのは2013年。原電は反論する形で15年に申請したが、資料の不備やデータの無断書き換えが発覚するなど、審査は異例の経過をたどった。

 仮に再審査に進んでも、再稼働のハードルは極めて高い。原電は追加の地質調査を実施するというが、不合格を覆すようなデータが得られる見通しはない。原電は再稼働に見切りをつけ、廃炉を受け入れるべきだ。

 無理筋の再稼働にこだわる背景には、原発専業という原電特有の事情もあるとみられる。

 原電は1957年に設立。大手電力会社9社が出資する。原発で発電した電力を大手電力に販売することで収益を得てきた。

 だが東日本大震災後の2011年5月以降、1基も動かせない状態が続く。保有する4基中2基は廃炉中で、敦賀2号機と東海第2原発(茨城県)の再稼働を目指している。東海第2は審査に合格したが、避難計画の策定などが難航して再稼働は見通せない。

 売電収入がないのに存続できているのは、売電契約を結んだ大手5社が原発の維持費として「基本料金」を支払っているからだ。

 24年3月期の基本料金は計944億円。12年3月期以降の総額は1兆4千億円を超える。大手各社の電気料金に上乗せされ、消費者が間接的に負担してきた。

 敦賀2号機の廃炉を認めれば基本料金の根拠の一部を失い、経営が一気に厳しくなる。大手各社にしても、債務保証している関係などから簡単にはつぶせないとの考えもあるのではないか。

 浮かび上がるのは、会社存続のため役立つ見込みのない原発をただ維持し続けている構図だ。

 原電のあり方を根本から見直していく必要がある。廃炉を専門に担う組織へとつくり変えていくのも一案だろう。

 先送りすれば消費者の負担が膨らむ。原電と大手各社はそのことを強く意識すべきだ。

 元稿:信濃毎日新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2024年11月16日  09:31:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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《社説②・11.16》:米国とイスラエル お墨付きを与え続けるな

2024-11-16 09:31:50 | 【外交・外務省・国際情勢・地政学・国連・安保理・ICC・サミット(G20、】

《社説②・11.16》:米国とイスラエル お墨付きを与え続けるな

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:《社説②・11.16》:米国とイスラエル お墨付きを与え続けるな

 表向き厳しい態度を取っているかのように見せつつ、イスラエルの軍事行動に加担し続けている。米国の姿勢は強く非難されなければならない。

 米政府がイスラエルへの武器の供与を続けると表明した。先月、ガザ地区の人道状況を改善する措置を1カ月以内に取らなければ軍事支援を停止する可能性があると警告していたが、一定の改善が図られたと判断したという。

 そもそもバイデン米政権に軍事支援を止めるつもりはなかったとしか受け取れない。大統領選が迫り、後継の候補への支持が離反するのを防ごうとする意図があらわなやり方だった。

 国際NGOのオックスファムをはじめ8団体は、状況はさらに悪化したと報告している。とりわけイスラエル軍の攻撃が集中するガザ北部は、食料や物資の搬入が先月初めからほぼ途絶え、飢餓が深刻化している恐れがある。

 イスラエルのメディアは、ガザ北部で「将軍の計画」が実行されつつあると報じた。退役した元将校らが立てた計画だ。住民に中・南部への退避を命じ、従わない者は戦闘員と見なして殲滅(せんめつ)する。食料支援を断ち、飢えさせることも計画の一部だという。

 北部以外でも攻撃はやまず、避難民が集まる学校や、イスラエル軍が「人道地区」に指定した区域への爆撃も相次ぐ。とめどない殺りくと破壊を止めるため、各国、国際社会は最大限の努力を続けなくてはならない。

 最大の武器供与国である米国が責任に向き合う姿勢は一向に見えない。イスラエルを支持し続ける現政権に増して気がかりなのが、トランプ氏の政権復帰だ。

 次期大統領に就任が決まり、イスラエルの極右閣僚らの言動が激しさを増している。ガザとともに占領下に置くヨルダン川西岸地区の入植地を、領土として併合する動きも表面化した。

 トランプ前政権は、露骨なイスラエル寄りの姿勢を取り、入植地の拡大を支持した。次期政権の人事でも、イスラエルに肩入れする人物を要職に指名している。

 大統領選で「私ならガザの戦争を止められる」と訴えたが、根拠や具体策を示してはいない。イスラエルの強硬姿勢をむしろ後押しする懸念がある。

 日本政府は手をこまぬいていてはならない。米国に追従する姿勢を改め、停戦に向けて、国際社会と連携して何ができるかを真剣に探るべきだ。世論の力を強め、政府に行動を促したい。 

 元稿:信濃毎日新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2024年11月15日  09:30:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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《社説①・11.15》:死刑制度の存廃 議論を棚上げにするな

2024-11-16 09:31:45 | 【法務省・法制審議会・検察庁・地検・保護司・刑法・刑罰・死刑制度】

《社説①・11.15》:死刑制度の存廃 議論を棚上げにするな

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:《社説①・11.15》:死刑制度の存廃 議論を棚上げにするな 

 現行の死刑制度と運用には、放置できない多くの問題がある。現状のまま存続させてはならない―。政府、国会が正面から受けとめるべき問題提起だ。

 学識者らによる「日本の死刑制度について考える懇話会」が報告書をまとめた。死刑の存廃を含め、制度を根本的に検討する会議体を国会、内閣の下に早急に設けることを提言している。

 懇話会は、日弁連が呼びかけて2月に発足した。刑法学者の井田良・中央大教授を座長に、与野党の国会議員、犯罪被害者の遺族、元検事総長、元警察庁長官ら16人が加わっている。

 検討すべき事柄としてまず挙げたのは、国際社会の動向を踏まえた日本の立場と責務だ。死刑を廃止するか執行を停止した国は144カ国に上り、世界の7割を超す。国連総会で廃止や執行停止を求める決議が繰り返し採択され、日本政府は人権条約機関から再三、廃止の勧告を受けてきた。

 懇話会は、そのことが日本の国益を損ねている疑いを指摘するとともに、現行の制度や運用が人権保障の国際標準に合致しているかを再検討すべきだと述べている。政府は、国際社会の懸念や批判に向き合おうとしない姿勢それ自体を改める必要がある。

 提言が次に挙げたのは、誤った裁判による冤罪(えんざい)の可能性だ。袴田巌さんが再審で無罪となった事件は、無実の人が死刑に処される恐れが現実のものであることを、あらためて突きつけた。

 死刑が再審で覆った事例は、1980年代に無罪となった4事件を含め5件に上る。人の命を奪う死刑は、執行されてしまえば取り返しがつかない。提言は、誤判を排除する特別な裁判手続きの要否も検討の必要があるとした。

 懇話会はまた、実態が明らかでない執行手続きについて政府に情報公開を求めている。死刑を続ける根拠として政府は国民世論の支持を挙げてきたが、制度のあり方について国民が意見を形成する前提が欠け、現状を正当化する理由にならないと指摘している。

 日本はこの先も死刑を続けるのか、議論が不可欠だ。内向きの論理に閉じこもって、棚上げにしておけない。懇話会の提言を踏まえて国会は会議体の設置に動くべきだ。政府は情報を公開し、議論の土台をつくる必要がある。

 何より肝心なのは、主権者である私たちが自らの問題として向き合うことだ。国会、政府に働きかけるとともに、開かれた議論の場を社会に広げたい。

 元稿:信濃毎日新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2024年11月14日  09:31:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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《社説②・11.15》:米新政権の運営 歯止めなき暴走が心配だ

2024-11-16 09:31:40 | 【外交・外務省・国際情勢・地政学・国連・安保理・ICC・サミット(G20、】

《社説②・11.15》:米新政権の運営 歯止めなき暴走が心配だ

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:《社説②・11.15》:米新政権の運営 歯止めなき暴走が心配だ

 「忠臣」で脇を固めて独善的な政権運営を強めていきそうだ。

 米国のトランプ次期大統領による政権の主要人事だ。手腕を危ぶむ声をよそに熱烈な支持者を重用するという。第1次政権はトランプ氏をいさめる側近もいたが、現状では見当たらない。

 大統領選と同時の連邦議会選では、共和党が上院を奪還し、下院も多数派を維持した。赤をシンボルカラーとする共和党が大統領職と上下両院を独占する「トリプルレッド」を達成した。

 議会による監視機能すら弱まれば、トランプ氏が掲げる過激な「米国第一主義」の暴走に歯止めが利かなくなる。

 政権人事は「論功行賞」が鮮明だ。政府業務の効率化を担う新組織「政府効率化省」のトップには、実業家のイーロン・マスク氏を起用する。選挙戦ではトランプ陣営を巨額の献金で支えた。

 マスク氏が率いる電気自動車や宇宙関連の企業は政府の規制や予算措置の影響が大きい。利益誘導を招くとの疑念が拭えない。

 米軍を統括する国防長官には、陸軍州兵出身で保守系テレビFOXニュースの司会者ピート・ヘグセス氏を充てる。トランプ氏と相性はいいが、軍や政府要職の経験はない。安全保障政策の力量には疑問の声が上がる。

 外交や安保を取り仕切る閣僚や高官は他にも、自身に近い人物を用いる。米国の内向きな姿勢が強まり、世界情勢の混迷に拍車がかかる恐れがある。

 米国では議会に立法権と予算編成権があり、上院は閣僚や連邦最高裁判事の人事承認権を持つ。上下両院を共和党が握り、トランプ氏が掲げる関税引き上げや不法移民の強制送還、減税といった政策が実現しやすい環境となる。

 インフレの再燃や財政悪化、貿易摩擦の激化といったリスクを伴う。だが、共和党は異論を唱える穏健派が排除され、「トランプ党」の色彩を以前にも増して強めている。絶大な権力基盤を手にする状況ができつつある。

 連邦最高裁はトランプ氏が第1次政権で保守派判事3人を送り込み、保守化が進んだ。7月には、大統領在任中の公的な行為は刑事訴追されない「免責特権」を認める司法判断を示した。トランプ氏が意のままに振る舞うことを容認したとも言える。

 権力が分立し、政権内外でチェックし合う仕組みを放棄すれば、民主主義国とは言えなくなる。政権スタッフや議員の良識に期待するしかない。

 元稿:信濃毎日新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2024年11月15日  09:30:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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《社説①・11.14》:神城地震10年 活断層の存在を意識して

2024-11-16 09:31:35 | 【災害・地震・津波・台風・竜巻・噴火・落雷・豪雪・大雪・暴風・土石流・気象状況】

《社説①・11.14》:神城地震10年 活断層の存在を意識して

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:《社説①・11.14》:神城地震10年 活断層の存在を意識して

 白馬村と小谷村を中心に住宅の倒壊が相次いだ2014年の神城断層地震から、今月22日で10年になる。

 最大震度は6弱。計46人の重軽傷者を出した。住民同士が助け合って救助活動し、死者はなかった。

 小谷村から松本市などを通り、諏訪湖付近を経由して山梨県南部へと延びる「糸魚川―静岡構造線(糸静線)断層帯」の最北部にある活断層、神城断層がずれ動いた直下型の地震だった。

 活断層を原因とする地震は、その真上付近の地域に集中的に被害をもたらす。1995年の阪神大震災や2016年の熊本地震、そして今年1月に発生した能登半島地震がそうだ。

 糸静線には、全国的にも地震発生確率の高い活断層が走る。同じような被害は県内の多くの地域でいつ起きてもおかしくない状況にあると言える。地下に潜む危険を改めて意識し、地域や家庭での備えを確認しておきたい。

 33棟が全壊するなど大きな被害が出た地区の一つ、白馬村堀之内地区では当時、助けが必要な高齢者らの自宅を載せた「災害時住民支え合いマップ」を使い、倒壊した家屋から迅速に救助した。

 住民による共助が力を発揮して死者を出さなかった経緯は「白馬の奇跡」と呼ばれ、後の地域防災のモデルともなった。

 能登半島地震でも見られたように、中山間地では道路の寸断などで支援の到達に時間がかかることも想定される。住民の防災組織がどれだけ具体的に備えを進められるかは、対策の鍵を握る。

 ただ、高齢化が著しいと救助に対応できる人が限られ、助け合いが難しい地域も少なくない。複数の地区に広げて協力関係を構築するなど、住民の活動を支える行政の役割も重要になる。

 こうした取り組みの土台となるのは、住民一人一人の危機意識である。全国で地震が相次いで、関心は高まっているが、被災時のことを具体的にイメージできている人は多くはないだろう。

 神城地震の被災地は、経験を伝える活動に力を入れている。白馬村では先日、村公民館が、断層の動きによって大きく隆起した田んぼなど地震の爪痕をたどるツアーを行った。白馬中学校の生徒たちも、当時を知る人から話を聞いて考える学習を進めている。

 防災庁設置を目指す国は今後、避難所の指針改定など防災強化に力を注ぐ構えだ。効果的なものとしていくためにも、地域での地道な積み重ねが重要になる。

 元稿:信濃毎日新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2024年11月14日  09:31:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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《社説②・11.14》:パリ協定と米国 再離脱を止めなくては

2024-11-16 09:31:30 | 【地球温暖化・温室効果ガス・排出量取引・国連条約COP・IPCC・海水温上昇

《社説②・11.14》:パリ協定と米国 再離脱を止めなくては

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:《社説②・11.14》:パリ協定と米国 再離脱を止めなくては 

 米国は世界第2位の温室効果ガスの排出大国である。その米国が削減に後ろ向きでは温暖化対策の枠組みそのものが壊れかねない。憂慮すべき状況だ。

 国連気候変動枠組み条約の締約国が集う第29回会議(COP29)がアゼルバイジャンで始まった。最大の懸念材料に浮上しているのが、トランプ氏が大統領に返り咲く米国の動向である。

 条約に基づく対策の国際ルール「パリ協定」からの再離脱を訴え大統領選で勝利した。

 協定は、産業革命前からの気温上昇幅を1・5度に抑えるため、今世紀後半の温室効果ガス排出の実質ゼロを目指す。約200カ国の締約国がそれぞれの排出削減を強化していく約束である。

 「米国第一」を掲げるトランプ氏はこれに背を向けている。協定は国内の雇用や産業に不利益をもたらし、中国などの他国に有利になるとの主張だ。第1次政権時の2020年に離脱し、バイデン政権で復帰した経緯がある。

 トランプ氏は選挙中、石油や天然ガスといった化石燃料を「掘って、掘って、掘りまくれ」と演説した。すでに再離脱の準備を始めているという。

 トランプ氏は地球温暖化そのものを「でっち上げ」としてきた。だが、極端な豪雨や干ばつ、異常な高温に伴う健康被害など、温暖化による影響は明らかだ。

 世界気象機関(WMO)は今年1~9月の世界平均気温について、産業革命前の水準からの上昇幅が1・54度を超え、今年の平均気温は観測史上最も高くなりそうだと発表した。1・5度以内に抑えるとの協定の目標達成は険しくなってきている。

 少なくとも向こう4年間、米国が脱炭素に消極的になるのだとしたら、その影響は見過ごせないものになるだろう。

 COP29では、途上国に対して先進国が拠出する温暖化対策資金の上積みが焦点になっている。現状目標の年1千億ドル(約15兆円)を大きく上回る年数兆ドルが求められているが、どこがどう負担するのか、合意は容易でない。

 世界最大の排出国で、かつ世界第2位の経済大国なのに途上国扱いの中国、インドなどの新興国の協力を引き出すためにも、とりわけ先進諸国は国際協調の足並みを乱すべきではない。

 長期的に見て脱炭素が共通の利益になることを粘り強く説き、米国が協定にとどまるよう、日本をはじめ各国は強く働きかけていく必要がある。

 元稿:信濃毎日新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2024年11月14日  09:30:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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《社説①・11.13》:「年収の壁」論議 財政への影響熟慮せねば

2024-11-16 09:31:25 | 【税制・納税・減税・消費税・ふるさと納税・物納・脱税・競売】

《社説①・11.13》:「年収の壁」論議 財政への影響熟慮せねば

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:《社説①・11.13》:「年収の壁」論議 財政への影響熟慮せねば

 少数与党となった自民、公明と野党の国民民主による3党の政策協議で、「年収103万円の壁」の引き上げが焦点となっている。

 パート従業員らは現在、年収が103万円を超えなければ所得税が発生しない。この非課税枠を178万円にまで引き上げ、税負担の軽減を図るべきだというのが国民民主の主張だ。

 手取り収入の減少を意識し、年収が103万円の水準を超えないよう労働時間を抑える人がいるため「壁」と言われている。

 非課税枠の存在はそもそも、最低限の生活費には課税しないという考え方に基づいている。食料や燃料など生活必需品の物価が上昇している以上、これを見直すこと自体は必要な作業である。

 だが、国民民主の言うように一気に75万円も引き上げるというのは現実的なのか。

 政府試算によると、これを実施した場合、国と地方の年間の税収が計約7兆6千億円減る。うち地方分が約4兆円を占める。

 財源不足をどうカバーしていくのか。国民民主が衆院選で掲げた政策集などには、説得力のある提案が見当たらない。

 財政への影響を十分に考慮しない政策は将来に禍根を残す。協議を進める際、3党はそのことを強く意識してほしい。

 衆院選の与党大敗を受けて発足した第2次石破内閣は、野党の協力なしに予算や法案が通らない状態となった。政権維持を優先するあまり、後先を考えず安易に妥協するようでは困る。

 国民民主は「未来志向の積極財政」を掲げる。うかがえるのは、減税や財政出動で消費や投資を促して経済が活性化すれば税収が増え、必要な財源もそこから得られるという発想だ。

 うまくいくだろうか。景気回復で税収増が実現したとしても安定財源ではない。増大する社会保障負担などをどう分け合うかといった厳しい議論から目をそらし、国民に聞こえのよい収入向上策を訴えているようにも見える。

 パートやアルバイトの労働時間抑制につながっている「壁」を取り除く観点なら、所得税だけでなく、年金や医療などの社会保険料負担が生じるようになる年収水準にも目を向けるべきだろう。

 「106万円の壁」や「130万円の壁」と言われる問題だ。政府は昨年、従業員の保険料負担を軽減した企業に補助金を出す対策をまとめている。これまでの議論を踏まえ、負担のあり方を広く見直していく必要がある。

 元稿:信濃毎日新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2024年11月13日  09:31:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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《社説②・11.13》:不審な住宅訪問 隙見せぬ気持ちの備えを

2024-11-16 09:31:20 | 【事件・未解決・犯罪・疑惑・詐欺・闇バイト・オウム事件・旧統一教会を巡る事件他】

《社説②・11.13》:不審な住宅訪問 隙見せぬ気持ちの備えを

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:《社説②・11.13》:不審な住宅訪問 隙見せぬ気持ちの備えを

 犯罪につながる前触れかもしれない。よくよく注意したい。

 県内で不審な戸別訪問が報じられている。リフォーム工事の営業や不要品の買い取りと称し、家に上がって中を見て回ろうとするという。

 首都圏で相次ぐ押し込み強盗事件では、犯行グループが業者の営業を装い、狙いをつける住宅を下見していたとみられている。それに似た動きに見える。

 長野市や千曲市では、業者を名乗って訪れ、「近くで工事がある」などと事実と異なる説明をする例があった。「電気工事の関係で来た」と言い、しつこく家の中に入ろうとした例もあった。茅野署管内、塩尻署管内でも類似の訪問が確認されている。

 全国でも多発しており、訪問の名目はリフォームや屋根の修理、水道管の検査、貴金属の買い取りなどさまざまだ。

 電話で家族構成や資産状況に探りを入れた上で押し入る「アポ電」を想起させる例もある。伊那署管内では、消防関係者を名乗って家族構成や近所づきあいなどを聞く不審な電話があった。

 なかには以前からある押し売りや法外な請求をする業者の例もあるだろうが、県警は侵入盗や強盗の下見、特殊詐欺の情報収集のおそれもあるとみている。

 あやしげな訪問や電話には身分証や連絡先の提示を求め、安易に家に上げない、話に乗らないといった気持ちの備えが要る。

 過去には下見どころか、宅配便などを装って訪れ、玄関を開けるなり押し入る強盗もあった。カメラ付きのインターホンやドアチェーン越しに対応し、違和感を覚えたらはっきり断ること、警察に連絡することも念頭におきたい。

 防犯カメラの設置や、ドアなどの鍵を二重にしたり、割れにくい窓ガラスにしたりといった自衛策も考えられる。だが、それらの備えを破る粗暴な手口の強盗がこのところ目立つ。匿名・流動型犯罪グループ(匿流(とくりゅう))だ。

 高額報酬、即日即金―とうたってバイト希望の若者をつり、強盗や窃盗をさせる。秘匿性の高い通信アプリを使い、首都圏を中心に相次ぐ関連事件では実行役ら50人以上が逮捕された一方、指示役は特定できていない。若者が軽い気持ちで犯罪に加担し、使い捨てにされる状況が憂慮される。

 まずは被害に遭わないようにしたい。自治会などを通じて住民間で情報を共有し、地域ぐるみで隙を見せない工夫を話し合う必要もあるだろう。

 元稿:信濃毎日新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2024年11月13日  09:31:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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《社説①・11.12》:第2次石破内閣 丁寧な議論で政治改革を

2024-11-16 09:31:15 | 【国会(衆議院・参議院・議運 ・両院予算委員会他・議員定数・「1票の格差」...

《社説①・11.12》:第2次石破内閣 丁寧な議論で政治改革を

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:《社説①・11.12》:第2次石破内閣 丁寧な議論で政治改革を

 衆院選を受けた特別国会で、自民党総裁の石破茂氏が第103代首相に選出された。

 衆院選で自民党と公明党は過半数を得られなかったため、首相指名選挙は立憲民主党の野田佳彦代表との間で1994年以来、30年ぶりとなる決選投票が行われた。

 石破氏は閣僚の大半を再任した上で、第2次石破内閣を発足させている。2012年末の第2次安倍晋三内閣の発足以降、「自民1強」だった政治状況は一変し、国会運営で野党と真摯(しんし)に協議していく姿勢が欠かせない。

 衆院選で示された民意は、自民党派閥の政治資金パーティー裏金事件を契機とした政治不信だ。早急に取り組むべきは「政治とカネ」にかかわる改革である。

 石破氏は首相指名選挙に先立ち、野田氏、日本維新の会の馬場伸幸代表、国民民主党の玉木雄一郎代表と、それぞれ個別に会談。使途公開が不要な政策活動費の扱いなど、政治改革に関する協議で協力を要請した。

 野田氏は企業・団体献金の禁止を含む野党案を提出し、国会で審議したいとの意向を伝えた。馬場氏は月額100万円の調査研究広報滞在費(旧文通費)の使途公開などについて臨時国会までに結論を出すよう求めた。

 玉木氏は政治改革に関する与野党協議の場を設け、必要な法改正を行うよう要求している。

 自民党はこれまで、企業・団体献金の禁止などには消極的な姿勢を続けてきた。野党の要望を国民の声と受け止め、国会の場で丁寧な議論を積み上げて、最優先で「政治とカネ」問題を解決していく必要がある。

 国民民主党は経済対策の一環として、年収が103万円を超えると所得税が発生する「年収の壁」の見直しなども自民、公明に要請している。今後3党で協議していく方針だ。

 与党は政策ごとに野党と連携する「部分連合」を構築したい考えだ。国会運営を優先し、政策の財源や影響を曖昧にしたまま論議を進めることはあってはならない。

 衆院では野党が一致できれば野党提出法案が可決できる状況だ。野党連携は極めて重要になる。

 ただ、首相指名選挙の決選投票では、共産党以外の野党が無効票となることを承知の上で自党の党首に投票した。各党の思惑が異なる中、協調する難しさも浮き彫りになった。政治改革や経済対策、選択的夫婦別姓導入など、今後の国会で焦点になる法案で、野党が一致できるのかが問われる。

 元稿:信濃毎日新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2024年11月12日  09:31:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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《社説②・11.12》:個人通報制度 たなざらしにし続けるな

2024-11-16 09:31:10 | 【人権・生存権・同性婚・人種差別・アイヌ民族・被差別部落・ハンセン病患者】

《社説②・11.12》:個人通報制度 たなざらしにし続けるな

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:《社説②・11.12》:個人通報制度 たなざらしにし続けるな 

 選択的夫婦別姓の導入と並んで、国連の女性差別撤廃委員会から重ねて勧告を受けていることがある。個人通報の制度を定めた「選択議定書」の批准だ。

 委員会は、女性差別撤廃条約の締約国の取り組みを定期的に審査し、総括所見(勧告)を出す。選択議定書の批准について、検討中との回答を繰り返す日本政府に対し、先月の勧告で、あらためて早期の批准を促した。

 個人通報は、国内で裁判などの手だてを尽くしても人権侵害の回復が図られない場合に、当事者が国連の条約委員会に対して直接、救済を申し立てる制度だ。女性差別撤廃条約については、付属する1999年の選択議定書で制度が設けられた。

 条約の締約国189カ国のうち115カ国が既にこの議定書を批准し、制度を受けれている。委員会は今回、日本政府の対応を、時間がかかり過ぎていると指摘し、議定書批准の障壁を速やかに取り除くよう求めた。

 ほかにも、国際人権規約や人種差別撤廃条約をはじめとする人権条約はそれぞれ、個人通報の制度を置いている。日本は各条約を批准しながら、個人通報については一つも受け入れていない。

 政府は理由として、国内の司法制度と関連して問題が生じる恐れがあると説明する。関係省庁による研究会を設けているというが、いつになっても結論は出ず、非公開の会合で何が検討されているのかさえ定かでない。

 2009年からの民主党政権下では、受け入れに向けた動きがあり、子どもの権利条約の個人通報制度を定める選択議定書の共同提案国にもなった。自民党が政権に復帰して以降、機運はしぼんだが、女性差別撤廃条約をめぐって、地方から声が広がっている。

 全国のおよそ350自治体の議会で、選択議定書の批准を求める意見書が採択されたという。とりわけ県内は、市民らの働きかけで県議会を含む70議会で可決され、県内全自治体の9割に上る。

 国際条約によって人権を確保するための重要な制度であり、当事者の救済にとどまらず、国内の人権状況の改善を図る上で有益だ。通報を踏まえて条約委が示す見解は、司法の独立を脅かすのではなく、人権のとりでとしての司法の役目を補い、支える。

 背を向ける理由はなく、たなざらしのままにしてはならない。国会が動き、すべての人権条約について、個人通報制度の受け入れに必要な手続きを取るべきだ。

 元稿:信濃毎日新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2024年11月12日  09:30:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【記者ノートfrom湊町】:政局に飛び交うブーメラン

2024-11-16 08:00:30 | 【社説・解説・論説・コラム・連載・世論調査】:

【記者ノートfrom湊町】:政局に飛び交うブーメラン

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【記者ノートfrom湊町】:政局に飛び交うブーメラン 

 10月に東京から大阪に赴任し、27日の衆院選を中心に取材した。自民党と公明党の連立与党は衆院465議席の過半数に満たない惨敗を喫した。永田町では、過去の言動が自身に対する攻撃材料となることを「ブーメラン」というが、政局のキーマンに、ブーメラン使いがそろった感がある。

衆院選の開票が進む中、険しい表情を浮かべる石破茂首相=10月27日午後、東京・永田町の自民党本部(春名中撮影)

 石破茂首相は平成19年参院選で自民党が敗れて衆参で与野党が逆転する「ねじれ国会」となった際に、当時の安倍晋三首相に「続投なら自民が終わる」などと述べ、退陣を迫った。今回の衆院選では、与党過半数という目標を果たせなかったが、続投を決め込んだ。

 国民民主党は衆院選公示前から4倍となる28議席を獲得して「キャスチングボート」を握り、玉木雄一郎代表は一躍脚光を集めた。その直後、女性との不倫疑惑を認めた。玉木氏は過去にX(旧ツイッター)で不倫問題で議員辞職した宮沢博行氏に関し「政務三役にもセキュリティクリアランスが必要なことを示している。(中略)性的行動をチェックする国民民主党の修正案を取り入れてもらいたい」と投稿した。自身は代表を続けている。

 野党第一党の立憲民主党の野田佳彦代表は、民主党時代の21年衆院選の際に「マニフェストに書いていないことはやらない」「シロアリ(=天下り)を退治しないで増税はおかしい」と演説で述べたが、首相に就任すると公約にない消費税増税に動いて批判を浴び、24年衆院選で下野した。

 まあ、結果を出してくれれば、ブーメランもご愛嬌(あいきょう)と笑い飛ばせるか。(沢田大典)

 元稿:産経新聞社 主要ニュース 政治 【政局・記者ノートfrom湊町】  2024年11月16日  08:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。
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