【社説①・11.25】:ネタニヤフ首相 戦争犯罪直ちにやめよ
『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説①・11.25】:ネタニヤフ首相 戦争犯罪直ちにやめよ
国際刑事裁判所(ICC)が、イスラエルのネタニヤフ首相とガラント前国防相に逮捕状を出した。
パレスチナ自治区ガザの戦闘を巡り、飢餓を起こすなどの戦争犯罪や殺人、迫害といった人道に対する罪を犯した疑いだ。
昨年10月に戦闘が始まって以降、イスラエルはガザで無差別に攻撃を続けており、死者は4万4千人を超えた。7割近くが子どもや女性である。壊滅的な人道状況にあり、国連のグテレス事務総長は「生き地獄だ」と警告している。
ネタニヤフ氏は直ちに戦闘をやめ、恒久的な和平に取り組まねばならない。
イスラエルはICCに非加盟だが、ネタニヤフ氏が日本などの加盟124カ国・地域を訪問すれば逮捕され得る。外交活動は大きく制約されよう。
国際社会はイスラエルが戦争犯罪をやめるよう、働きかけをいっそう強める必要がある。
イスラエルの攻撃は学校や病院などの民間人も対象で、200万人超の住民の大半が避難民になっている。物資の搬入は不十分で、食料や水の不足、衛生環境の悪化が深刻だ。
こうした情勢にもかかわらず停戦のめどは立っていない。
イスラエルには国際司法裁判所も1月にジェノサイド(民族大量虐殺)を防ぐよう命じたが、聞き入れていない。人道危機は深まる一方だ。
イスラエルを支えているのは米国である。同様にICC非加盟で、バイデン大統領は逮捕状の発行を非難した。
国連安全保障理事会は無条件かつ恒久的な即時停戦を求める決議案を準備していたが、14理事国が賛成する中、米国だけが反対して拒否権を行使した。ガザ戦闘に関する決議案に拒否権を行使するのは5回目だ。
米国は戦争犯罪を容認していると言うほかない。親イスラエルのトランプ次期大統領が就任すれば、さらなる状況の悪化が憂慮される。
ICCはハマスの軍事部門トップのデイフ指導者にも逮捕状を出したが、イスラエル軍は殺害したとしている。
昨年3月にはウクライナ侵攻を巡ってロシアのプーチン大統領にも逮捕状を出した。プーチン氏は加盟国訪問を見送っていたが、9月に加盟国モンゴルを訪れた。これでは国際法に反した蛮行の歯止めにならない。
日本はICC最大の資金拠出国で、所長は日本人の赤根智子氏が務める。法の支配の重要性を訴える政府は、各国が規範を順守するよう尽力すべきだ。
元稿:北海道新聞社 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】 2024年11月25日 04:00:00 これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。
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