《記者の目・01.09》:アサド政権崩壊直後のシリア 恐怖政治が残した亀裂=金子淳(カイロ支局)
『漂流する日本の羅針盤を目指して』:《記者の目・01.09》:アサド政権崩壊直後のシリア 恐怖政治が残した亀裂=金子淳(カイロ支局)
昨年12月8日のアサド政権崩壊から4日後、シリアに入り、首都ダマスカスや近郊を取材した。わずか1週間の滞在だったが、実感したことがある。独裁体制が続いたこの国で常に国民を縛り続けてきた「恐怖」の深さだ。
ダマスカス近郊から市内に戻る道すがら、同行してくれた現地スタッフのフアードさん(44)が突然、車を止めた。政権崩壊とともに放棄された旧政府軍の検問所だった。
建物の裏手に向かうと、真っ暗な部屋が並んでいた。そのうち一つの扉を開けると、いつもは落ち着いている彼が「うおおおお!」と叫び始めた。毎日新聞の現地スタッフとして約10年間、生真面目に取材に取り組んできた彼がここまで感情をあらわにするのは珍しい。「ここだ、この場所だ。20年前、おれはここにいた。徴兵されていた。上官に逆らったから、ここに閉じ込められたんだ」、
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元稿:毎日新聞社 東京朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【記者の目】 2025年01月09日 02:00:00 これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。
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