【天風録・01.10】:令和の冬将軍
『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【天風録・01.10】:令和の冬将軍
きょうが生誕190年の福沢諭吉は、お天気の歴史にも足跡を残している。明治期に創刊した時事新報にいち早く天気予報を載せ、他紙も追随した。その日暮らしだった日本人に、もっと先を見据えよと願ってのことらしい
▲予報が一目で分かるよう晴れや雨など五つの挿絵を使い分けた。編みがさ、みので体を覆い、とっくりを持つ男性が描かれたのが「雪」。酒好きで知られた諭吉ならではの絵柄といえる
▲気象台職員も新聞を引き合いに、大雪の時は酒で防寒すべしと冗談を交わしたと伝わる。一杯引っかけたかはともかく、きのうは防寒に努めた人が多かろう。中国山地は白く染まり、街も小雪が舞い散った。暖冬続きですっかり弱まった令和の冬将軍の印象を、改めねばなるまい
▲混乱を避けようと、雪深いローカル線は計画運休した。高速道路も同様だ。過去の災害を教訓に、世間の理解や準備が進んだ証しだろう。日本に先見の明を。諭吉の願いは実りつつある
▲将軍はしばらく居座る予報だ。先ばかり見ると、足元や手元がおろそかになるのも世の常。防寒具で身を固めたら、気持ちも引き締め直そう。凍る路面で転ばぬように、ハンドルを取られぬように。
元稿:中國新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【天風録】 2025年01月10日 07:00:00 これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。
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