【社説①】:皇族数の確保 制度維持へ政治の責任は重い
『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説①】:皇族数の確保 制度維持へ政治の責任は重い
政府の有識者会議は2021年、皇族女子が結婚後も皇族の身分を保持する案や、1947年に皇籍を離れた旧宮家の子孫の男系男子を、現在の皇族の養子として皇室に復帰させる案を示した。
与野党協議では、この2案の妥当性を検討する。
皇室は現在、17人で構成されている。このうち皇位継承の資格があるのは秋篠宮さま(58)、秋篠宮家の長男悠仁さま(17)、常陸宮さま(88)の3人だけだ。
悠仁さま以外の未婚の皇族は、天皇、皇后両陛下の長女愛子さま(22)や秋篠宮家の次女佳子さま(29)ら計5人で、全員女性だ。
現行の皇室典範は、皇族女子が結婚した場合、皇族の身分を離れると定めており、将来、悠仁さまのほかに皇族がいなくなってしまう可能性がある。皇族数の確保は喫緊の課題だ。
与野党協議の初会合では、皇族女子が結婚後も身分を保持することで 概 ね一致した。一方、皇族女子の配偶者とその子を皇族とするかどうかでは見解が分かれた。
自民党は、配偶者と子は皇族としないことが適切だと主張した。将来、皇族女子の子が皇位を継ぐことになれば女系天皇となり、男系で126代継承してきた皇室の伝統を覆すことになるからだ。
ただ、配偶者と子を一般国民とした場合、政治活動や自らの意見表明が自由にできることになる。皇室の政治的中立性や品位を保てるのだろうか。
そもそも皇室典範は、皇位の継承を男系男子に限っている。万が一、皇室を維持できなくなるような事態に備え、少なくとも皇族女子の子を皇族とすることは選択肢としてあり得よう。
旧宮家出身の男系男子の皇族復帰案についても、支持する意見が大勢を占めた。自民党は、養子となった男性には皇位継承の資格を与えず、その後生まれた男子に資格を与えるよう主張した。
憲法は、天皇の地位を「日本国民の総意に基づく」と定めている。戦後長い間、一般国民として過ごしてきた人を皇族とし、さらにその子に皇位継承資格を与えることが「国民の総意」に沿うと言えるのか、慎重な検討が必要だ。
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