《社説①・09.24》:立憲新代表に野田氏 政権担い得る力量示す時
『漂流する日本の羅針盤を目指して』:《社説①・09.24》:立憲新代表に野田氏 政権担い得る力量示す時
立憲民主党の新代表に野田佳彦元首相が選出された。政権に批判的な民意の受け皿になることができるか。野党第1党の党首として力量が問われる。
上位2人による決選投票で枝野幸男前代表を破った。最年少の泉健太代表が3位、衆院当選1回の吉田晴美氏は4位に終わった。
同時期に実施されている自民党総裁選では、派閥裏金事件を受けて党の刷新がキーワードになっている。一方、立憲は、今秋の衆院解散・総選挙が取り沙汰される中、安定感重視でトップを選んだ。
野田氏が目指すのは、従来のリベラル層だけでなく、保守・中道層を含めて幅広い支持を得られる政党だ。そのために「現実路線」の政策を打ち出した。
安倍晋三政権下で憲法解釈を変え、集団的自衛権の行使を一部容認した安全保障関連法について、「すぐに見直すことはしない」と述べているのが象徴的だ。
過去2回の国政選挙で公約した「時限的な5%への消費税減税」を封印し、党綱領でうたう「原発ゼロ」も「原発に依存しない」に表現を修正した。
背景にあるのは旧民主党政権時代、自公政権との違いを出そうとするあまりに実現性の乏しい政策に傾斜し、行き詰まったことへの反省だ。
しかし、与党との違いが分かりにくくなり、存在感が薄れるジレンマがある。リベラル層の支持離れを招くリスクもはらむ。
野田氏は「徹底した政治改革で自民のうみを出し切る」と訴え、裏金事件で自民に愛想を尽かした保守・中道層を取り込みたい考えだ。同時に選択的夫婦別姓制度の導入などジェンダー問題に取り組み、従来の支持者固めも狙う。
ただ、経済や安全保障で国民に信頼される政策を打ち出さなければ、評価は得られまい。
野党連携の形も変わりそうだ。野田氏は自民への対抗策として、憲法改正に前向きな日本維新の会との候補者調整に意欲を示す。これまで協力してきた共産党との関係も課題となる。
「自民1強」が続き政治の緊張感が失われて久しい。国民の政治不信が募る中、政権を託すに足る信頼感を取り戻し、最大野党の存在意義を示す時である。
元稿:毎日新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム【社説】 2024年09月24日 02:03:00 これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。
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