つづき その3
NHK どうなる南北首脳会談 北朝鮮は″本気度″示すか(1)4月21日 12時57分 北朝鮮情勢
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20180421/k10011412561000.html?utm_int=detail_contents_news-related_001
NHKの記事の目次は以下のとおり
事態の急展開 背景には何が?
南北会談70~80%が賛成のわけは
北朝鮮の核 日韓で異なる認識
南北会談で何を?トーンダウンしたムン政権
ムン政権が傾く″段階的非核化が現実的″
″サラミ戦術″に不信感 ムン政権どう仲介?
中朝関係の修復で韓国側は混乱か?
ムン政権 すでに長期戦の構えか?
「太陽政策」昔と今とでは大違い
制裁は効いているのか?見方分かれる
韓国は当事者であり仲介者 難しい立場
韓国は″ドイツ型″ 北朝鮮は″ベトナム型″ ネックは在韓米軍
″北に歩み寄るな″ 米は″FTA見直し合意破棄″で圧力
南北会談 北朝鮮は″非核化″の本気度 米との溝埋まるか?
アメリカ 平和協定のハードルは高くない
ムン大統領″南北がともに繁栄するという経済共同体″
対米抑止力として位置付けている北朝鮮の核兵器を脅威論を利用する安倍政権と韓国国民、若者の意識のズレの原因は何か!北朝鮮の本気度ばかりを問題にする安倍政権にアリ! 2018-04-22 | マスコミと民主主義
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韓国と米国と日本の北朝鮮と核兵器に対する認識は微妙に違っている!
核兵器軍事抑止力安全神話の悪魔のサイクルが理解できていない!
南北会談で何を?トーンダウンしたムン政権
有馬:もう1回、今度の南北会談に話を戻していきたいと思うんですけど、今まさに支局長が言ったように、目前の危機、軍事衝突を回避しようというのはわかったんですけども、非核化に向けてはどこまでムン・ジェイン政権の腰が入っているのか。もちろん「非核化を進める」という言葉にうそはないわけなんですけれども、どこまで具体的に北朝鮮と本腰を入れて話をするのか。もちろんアメリカが決めていっているのと変わりませんけど、ムン・ジェイン政権って、今回の南北会談のゴールは何なのか。具体的に何を成果にしようとしているんですか。
池畑:非核化を最優先しているのは間違いないですし、そこは別に日本、アメリカとそんなに大きな差はないんですけれども…。
有馬:そごはない?
池畑:ただ、制裁と対話ということを考えれば、対話がベストというのは間違いないです。だけど、対話だけではうまくいっていないので、圧力も強めるというスタンスなんですね。結局、非核化を進めるときに問題は、北朝鮮が求める見返りにどこまで応じるのかという、そこに尽きると思うんですよ。
ムン・ジェイン政権の高官たちは、最初はこんなふうに言った。ちょっと世界史の勉強になっちゃうんですけど、「ゴルディアスの結び目を解く」というふうに言ったんです。これは何かというと、私もちょっと調べたんですけど、古代ギリシアのアレキサンダー大王、伝説の1つなんですけど、その″ゴルディアスの結び目″という、極めて複雑に結ばれた縄の結び目があって、それをほどくことができた者はアジアを制覇できる。そこでみんなやるんですけど、複雑過ぎて誰も解けない。そこでアレキサンダー大王がやってきて、刀でスパーンと切って解けたという。
要するに何を言わんとするかというと、これまでにない大胆な発想で複雑な問題を解くんだというふうに、最初はムン・ジェイン政権もかなり力が入ったんです。ただ、北朝鮮のキム・ジョンウン委員長は電撃的に中国へ行って、習近平主席との間で、非核化というのは段階的でお互いが同時に行動していくという方式を言って、中国もそれに合意したとなってから、とたんにちょっと今トーンダウンした。韓国側が。
最近出てきた言葉で印象的だったのが、アメリカが言う、まず最初に核放棄してその後で制裁解除するといういわゆる「リビア方式」、これは現実的じゃないよねと。そんな簡単にできるわけがない。テレビの電源を抜いたらテレビが消えるのとわけが違うと言うんですね。なんかわかるようなわかんないようなことなんですけど。
北朝鮮にとっての「脅威」は
米軍の核兵器!
米国の「核兵器」抑止を大義名分に核兵器開発をしている北朝鮮を理解していない日米政権!
北朝鮮が日韓両国に核兵器を使う必然性はあるか!
核兵器を配備している可能性のある在韓・在日米軍こそ
北朝鮮が「脅威」を感じている!
だからこそ在韓・在日米軍基地を攻撃するとしている!
北朝鮮は一貫して米国に核兵器を防衛的に使用するとしている!
北朝鮮の意図=獲得目標に沿った
対話と交流=平和外交が必要不可欠だろう!
安倍政権と応援団の日本のメディアは
これ以上国民を欺くのは止めるべき!?
ムン政権が傾く″段階的非核化が現実的″
有馬:わかるようなわからないような。
池畑:要するに、そんな簡単にはいかないというふうに、だいぶ今トーダウンしているんですよね。そうすると、北朝鮮が言う段階的で同時行動というのは、つまり北朝鮮が非核化で何か一歩ステップを踏めば、アメリカ、韓国、日本もそれに応じて何か見返りをあげる。制裁を緩和するのか、いろいろあると思うんですけど、だんだん、それが現実的だというふうに変わってきたんですよね。
では、南北の後に予定されている米朝首脳会談を考えたとき、そこまで北朝鮮の要求に合わせると、むしろ米朝はうまくいかない。あまりにもギャップが大きすぎて。今度の南北首脳会談、たぶんムン・ジェイン大統領のいちばん大事な役割というのが、北朝鮮の求める段階的に少しずつ見返りをもらいながらというところと、アメリカが言う、いや、まずは核放棄してほしい。そのギャップをどこまで埋めることができるか。そこが非常に難しい課題ですけど、そこがいちばん求められていると。
″サラミ戦術″に不信感 ムン政権どう仲介?
有馬:つまり段階的・同時的、見返りをもらいつつ、ステップを踏んで時間をかけて非核化というのを進めるんだという北朝鮮の、どこまでそれを具体的に、項目、アジェンダをつくれるかという感じですか。
池畑:そうですね。北朝鮮の言う段階的って、けっこう既視感があるというか…。
有馬:ありますよね。何度同じことを繰り返してきたのだろうか、という思いは禁じえない。
池畑:かつては「サラミ戦術」というふうな言い方もありますけど、サラミをうす~く、うす~く、少~しずつ切るかのように、少しずつ少しずつ非核化に向けて動いて見返りを得るという、北朝鮮はこれまでやってきた手法をまた繰り返すのかと。これはさすがに韓国国内でも批判が強いし、ましてやアメリカは乗ってこないだろう。
そうなると、やっぱりかつてのように北朝鮮のそういう段階的な要求にそのまま応じることはできない。ということはたぶんムン・ジェイン大統領もわかっているので、キム・ジョンウン委員長がどこまでそういう、言葉は悪いですけど「サラミ戦術化」してくるか、それをどこまで説得して、それでは無理だと。もう少し思い切った手法をとらないとダメだと。その調整といいますか、仲介が非常に難しいですよね。
有馬:北朝鮮にとっての″サラミ″というのは何ですか。ミサイル技術だったり核のいろんな技術だったりするわけですよね。
池畑:例えばミサイル発射を凍結します。それから、一部の核施設を公開しましょうと。かつては一部の施設を爆破したりもしたんですよ。そういうのもやった実績がありますし、そういうのをやっていきましょう。そのかわりアメリカ、韓国、日本、あるいは国連制裁、それはどこまで緩和してもらえますかという小刻みな駆け引きになってくると、これはやっぱり過去の失敗を繰り返すことになるぞという批判が強いです。
「日米韓対中朝」という「対立構図」でも
最大脅威保有国の米国の核兵器をどうするか!
北朝鮮の核兵器悪玉論ではなく
米国の核兵器善玉論ではなく
東アジアの非核化でしか解決できない北朝鮮の核兵器問題!
中朝関係の修復で韓国側は混乱か?
有馬:そこに陥る心配は、ムン・ジェイン政権はないんでしょうか。
池畑:うーん…心配ゼロではないですね。見ていると。ちょっと最近気になるのが、ムン・ジェイン政権は今回の南北首脳会談を若干ちょっとパフォーマンスに走りすぎているきらいがあるんですよね。例えば、今回の南北首脳会談にスローガンをつけたんですよ。
有馬:首脳会談にスローガン?
池畑:スローガン。スローガンですよ。「平和、新たな始まり」という、なんか映画のタイトルのようなスローガンをつけられちゃったんで。首脳会談にスローガンというのはちょっとどうかなと思いますし、首脳会談の様子をいかに自分たちは逐一インターネット上に公開して国民に知らせるかというのも、またすごい今アピールしているんですよね。
有馬:でも、それは国民にとっては歓迎ではありますけどね。
池畑:歓迎ではあるんですけど、それが最優先じゃないはずですよね。
有馬:実を取らないと、ということですよね。
池畑:ええ。やっぱり大事なのは実を取ることなんですけど、ここ1週間ほどのムン・ジェイン政権から出てくる発言とか、そういうスローガンを見ても、ちょっとですね。いかに自分たちがうまくやっているか。いかに自分たちが緊張緩和と平和のために頑張っているかというアピールが先に来ちゃってて、非核化でどこまで強く北朝鮮に求めるかというのがややかすんでいるのが、正直、気になるんですよ。
有馬:なんなんですかね、それは。自信のなさの表れなのか…。
池畑:やっぱり、中朝が関係を修復したというのは大きいと思うんですよね。それまでは要するに、言ってみれば北朝鮮に中国の後ろ盾がない状態で南北・米朝といけば、たぶんかなり強く出れるというとこがあったんですけど、中国と北朝鮮がまた伝統的な友好関係を修復しちゃって、段階的な非核化で合意したとなったときに、日米韓対中朝という、またいつもの構図に戻ってきたんです。ということで、やや今ちょっと韓国側も混乱しているというのが現実だと思うんですね。
有馬:中国という後ろ盾が、また出てきたわけですからね。
池畑:ここにさらにまたロシアが加わって…。
有馬:あるかもしれない。
池畑:ロシアも北朝鮮の手法をバックアップするとなったら、いつもの構図ですよね。そうすると、なかなかすぐには物事が進まないということになるかもしれません。
ムン政権 すでに長期戦の構えか?
有馬:じゃ、やっぱり平和、その始まり?
池畑:「平和、新たな始まり」。
有馬:つまりファートステップだということを、長期戦ですよということを、もしかするとあらかじめ印象づけようとしているの?
池畑:そうです。そんな気が非常にしますね。これは長期戦ですよ。今回は「新たな始まり」。「新た」って何をもって「新た」と言うのか。「平和、新たな始まり」というのを今のうちからだいぶちょっと印象づけて、非核化がすぐに進まない結果となったとしても、これは平和を定着させるためだというふうにアピールしたいのかなってちょっと思うんですよね。
「太陽政策」昔と今とでは大違い
有馬:あえて辛口な見方を言うと、「太陽政策」を進めてきたムン・ジェイン政権は、北朝鮮との対話、融和路線をまっしぐらに進んできたように見えるムン・ジェインさんという人は、今後の北との交渉についても、日本人が思っているような形で話が進まないんじゃないか。つまり、北に譲歩、譲歩して、南北の関係改善、南北の対話・融和路線を優先するあまりに、非核化というのは結局後回しにされていくんじゃないか。あるいは北朝鮮に翻弄されたまま話が進むんじゃないかというような厳しい見方も日本にはあるんですよね。
池畑:そういう厳しい見方は韓国国内にもあるんですね。保守系の野党なんかは「非核化を後回しにしちゃだめだ」とかなり批判しているんですけど、1つ昔の「太陽政策」、つまり2000年代初めの金大中大統領が進めた「太陽政策」と今とで大きく違うのは、昔は北朝鮮の核兵器の能力が今ほどなかったわけです。そんなにだから軍事的脅威も大きくなかった。だからこそ対話でまずは物事をよくしていこうとしたんですけど、今は北朝鮮の核能力は格段に進んでしまったので、その対話だけでやるのは限界があるというのは、ムン・ジェイン政権もそこはよくわかっている。
有馬:わかっている?
池畑:わかっています。なので、アメリカや日本と足並みをそろえて制裁措置は強化していくんですよ。ただ、制裁が最優先ではない。制裁がベストではないというのもまたあるんですよね。対話がベスト。しかし、それだけではダメなので制裁も強めるというスタンスではあるんで、そこは日本からすると、やっぱり非核化を後回しにするんだろう、という懸念が出ると思うんですけど。
一方で、戦争を避けながら非核化を成し遂げようとすれば、どっかでは対話が必要なわけですよね。ましてや軍事境界線を隔てただけの隣り合っている南北は、どっかで対話が必要だと。その対話のタイミングというのは、常に探ってきたというのはあると思うんですね。そこは日本とはちょっと違ったのかもしれません。
国連決議をいうのであれば
核兵器禁止条約批准を問題にしなければならない!
「米中の仲介役の韓国」論こそ
北朝鮮問題が米国の核兵器問題であることを証明している!
制裁は効いているのか?見方分かれる
有馬:なるほど。今、制裁の話が出ました。かつての「太陽政策」と違うんだと。核の脅威のなる中での「太陽政策」なのでという話でしたけれども、今、経済制裁が行われて、最大限の圧力を国際社会がかけているわけですけど、これについては効いているとムン・ジェイン政権は見ているのか。それから制裁の継続ですよね。これは非核化の交渉の中でそれをいたずらに緩めていくなんていうことになる可能性はないのか。これ、どうなんですか。
池畑:まず、制裁が効いているかどうかというのは、やっぱり見方が分かれるんですね。つまり、かつての1990年代のように、北朝鮮でものすごい食糧難が起きて餓死する人が出ているような状態では、明らかにそれは違うんですよね。首都・平壌の映像とか見ても、昔より新しいビルが増えているし、車も増えているし、人々の服装もだんだんカラフルになっているし、少なくとも首都・平壌を見ると経済成長は起きているんですね。
もちろん地方はだいぶ厳しいんですけど。そういう意味で、制裁が効いているだけでいま北朝鮮が対話に出てきたと見るのはちょっと無理がある。ただし、徐々に効いている。徐々に効いているのは間違いないので、有効なカードであることも確かで。だから、制裁だけではしょせん変えられないけど、今、緩めるのは逆効果だというのはありますよね。
有馬:むしろ今、北朝鮮の制裁逃れ、北の制裁逃れがいかに巧妙であるか。いかに経済制裁を効率的に実際的に行うのが難しいかということもわかっているわけですよね。これは、韓国としてはどう考えるんでしょうか。
池畑:制裁逃れは許さないというのは韓国も同じで、そこはそんなにブレてないんですね。特に国連決議に基づく制裁というのは、韓国、アメリカだけの問題じゃなくて、国際社会全体の制裁なので、それは厳格に履行する必要があるというふうにムン大統領も繰り返し言っていますし、特に中国は北朝鮮に対する制裁をだいぶ履行している。けっこう厳格にやっているということを韓国も歓迎しています。なので、必ずしも隙あらば制裁を緩めようと、そこまでではないんです。そこまでではない。
ただし、北朝鮮が具体的に何か非核化に向けたステップを取ったら、そのときに、それに見合うだけの制裁緩和とか経済支援をやりたい。それを実施する上でのハードルは、もちろんアメリカよりははるかに低いですよ。少し動いたら、じゃ、それに見合う見返りを与えてもいいんじゃないかというのはもちろんあります。そこはアメリカのトランプ政権と決定的に違うところ。ムン大統領としては、少しずつ段階的にやりたい北朝鮮と、一気にやらなくちゃいけないというアメリカ・トランプ政権の間に立って、そのある種バランスをどう近づけるか。かなり、そこは難しい役回りを今回求められているんですね。
だから南北首脳会談の後、ムン大統領がアメリカへまず行って、トランプ政権にこうこうこうだと、北朝鮮はここまで本気なのでそういうふうにして進めてはどうかというふうに説明しに行くというふうな見方もあるんですね。そこはまさに、米朝の仲介役を果たさなければいけない状況になってきたということですね。
((2)につづく)
NHKは安倍政権の代弁者ではない!
憲法平和主義と非核三原則を具体化し核兵器禁止条約批准を促すべき!