「老人タイムス」私説

昭和の一ケタ世代も高齢になりました。この世代が現在の世相をどう見て、考えているかーそのひとり言。

"豊かな人々の群れ”

2006-04-21 20:37:04 | Weblog
30数年前勤めたことがある郡山の会社のOB会に出席した。
折から開成山公園の桜は満開、週末のお花見を楽しもうと
早くも公園のあちこちに青ビニールが敷かれ、場所の陣取
が始まっていた。


開成山の周辺は、明治16年オランダ人のお雇い技師の
指導で猪苗代湖から水を引き、安積疎水を完成させるまでは
荒地の原野であった。当時の農民の貧しさについては、
プロレタリア作家、宮本百合子の"貧しき人々の群れ”の
中によく描かれている。貧しさの度合いは、今いう所得
格差なんていうものではなかった。

もともと、この公園は安積疎水の水を貯水するために掘った
三つの池の周りにつくられたもので、同じ郡山ゆかりの作家、
久米正雄は、この三つの池を号にして「三汀」と称していた。

いまや郡山は福島県では最大の都市、かっての"貧しい人々”
が生活していた面影はない。"豊かな人々の群れ”で週末は
大賑わいを見せることでしょう。”豊かな人々”は多分、
プロレタリアの言葉を知らないのではないだろうか。