「老人タイムス」私説

昭和の一ケタ世代も高齢になりました。この世代が現在の世相をどう見て、考えているかーそのひとり言。

蕎麦の刺身

2006-04-22 06:26:16 | Weblog
旅先の郡山で蕎麦の刺身をご馳走になった。駅から近い
住宅街の中にある昭和初期の民家を店にした「隆仙坊」
という名の御蕎麦屋さんである。蕎麦と刺身という妙な
取り合わせだが、決してゲテ物ではない。「稜飩蕎麦刺し」
というのが正式名称。氷で冷やした蕎麦を山葵で食べる
のど越しがなんともいえない。

食糧難時代を経験した世代は出たものは何でも残さない。
絶えず飢餓感を持つ"悲しい性”の持ち主が多い。この
世代には「隆仙坊」の絶品は量的には物足りないが、やはり
うまいものはうまい。「揚げそばがき」、など他の絶品と
ともに地酒にあい、昼間から陶然とした気分になった。
店の民芸的な調度が、いっそう料理をうまくする。

ここでは”とっくり”に”おちょこ"、"床の間”に
"日本髪"が似合いそうである。あの戦前の貧しかったが
人間味豊かだった時代を想起した。