「老人タイムス」私説

昭和の一ケタ世代も高齢になりました。この世代が現在の世相をどう見て、考えているかーそのひとり言。

大和撫子からの電話

2006-05-07 06:50:46 | Weblog
連休中、なんにんかの人生の先輩たちから電話を頂いた。
その一人,大正9年早生まれの大和撫子は86歳。とても
お元気である。ただ、正直言って30分をこす長電話は
やはり”おとし”であるのはあらそえない。

電話の骨子はこうである。昭和20年6月、民間商社の
タイピストとしてジャカルタ(インドネシア)に勤務して
いた彼女は当時ガンビル駅前にあった忠霊塔へ派遣され、
塔内に安置されていたご遺骨の整理に従事した。大きな
ご遺骨の箱を小さな箱に入れ替え内地のご遺族にお送り
する作業だった。

彼女の僕に対する質問は(1)ご遺骨はどなたのお骨だった
のか(2)ご遺骨は無事ご遺族の元へ届いただろうかー
というものだった。大東亜戦争中、地上戦のなかったジャワは
兵隊の間で”天国”といわれていたそうだが、それでも
8,500人の方が亡くなっている(千鳥が淵墓苑)。
彼女が奉仕したお骨がこの方々のものであるのは間違いない。
しかし、ご遺骨がご遺族のもとに届いたかどうかは、時期
からみて確信はもてないーというのが僕の回答。

当時、彼女は20歳前半の大和撫子、改めて今の世の同じ
年頃の若い女性は幸せだな、と思った。