「老人タイムス」私説

昭和の一ケタ世代も高齢になりました。この世代が現在の世相をどう見て、考えているかーそのひとり言。

「爆弾一勇士」

2006-05-09 06:00:44 | Weblog
銃後の小国民世代にとって「爆弾三勇士」の名前は懐かしい。
僕自身、戦争ごっこで青竹を破壊筒にみたてて遊んだ記憶が
ある。「爆弾三勇士」は昭和9年上海事件のさい、攻めあぐんだ
廟行鎮の敵陣地に向かって、長さ4mの破壊筒を抱えた久留米
旅団の三兵士が爆死して鉄条網を破壊,味方を勝利に導いた
という戦争美談である。

「爆弾三勇士」の話は国定教科書にも紹介され、歌や映画にも
なった。昭和9年、江下,北川、作江三勇士を讃えた銅像が
東京・芝の古刹、青松寺前に建てられて、当時東京名所の
ひとつともなった。戦後60数年経過、「爆弾三勇士」を知る
世代も少数派となり「三勇士」も忘れられた。

いま「三勇士」の銅像は江下武二・一等兵だけとなり、青松寺
墓地奥深くの地に、お墓として大切に保存されている。他の
二人の一等兵の銅像は、戦後の"戦犯銅像"破壊運動の犠牲に
なって破壊され行方がわからない。かって万世橋駅前にあった
広瀬中佐の銅像と同じ運命をたどったわけだ。江下一等兵の
銅像は、その時代の証人だ。