「老人タイムス」私説

昭和の一ケタ世代も高齢になりました。この世代が現在の世相をどう見て、考えているかーそのひとり言。

蝉の鳴き声と東京の町

2006-08-07 05:56:20 | Weblog
東京で一番住みたい町は自由が丘だそうだ。その町周辺から最近
めっきり蝉の声が聞けなくなった。そして、かっては夏の風物詩
だった網を手にした麦わら帽子の少年たちの姿も消えた。いつ頃
からの現象だろうかー。

昭和の10年代、皇后陛下の実家のあった池田山は、僕らの蝉、
トンボ取りの宝庫であった。家のあった目黒川添いでも油蝉やムギ
ワラ,シオカラ・トンボはいたが、稀少価値のミンミン蝉,オーヒー
ツク、オニヤンマ,ギン、チャンを求めて遠征したものだ。近くの
駄菓子屋でモチと竿を買い、竿の先にモチを塗りつけ、屋敷町を
”渉猟”した。

池田山にはまだ”原っぱ”もあって、殿様バッタ(雌雄の色の区別で
僕らは”源氏””平家”と呼んでいた)やショウリョウ・バッタ(
チキチキ・バッタ)カマキリもいた。野生のブドウの木にはカナブンが
飛来し、時にはタマムシが取れることもあった。トカゲのしっぽ切りは
悪童たちの日常の遊びであった。

かっては子供の”遊び仲間”だった蝉もトンボもバッタもいつか東京
から姿を消そうとしている。わずか半世紀ちょっとの間にである。まだ
緑が残る地方ではどうなのであろうかー。開発による自然破壊の結果で
ある。人間の有史にこのような現象はあったことはない。エコロジー
全体に影響がなければよいのだがー。